【基本】三角関数の微分

ここでは、三角関数の微分を導いていきます。

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sinの微分

今までは、 $x^n$ や分数関数、無理関数などを微分してきましたが、他にも関数はあります。これから、いろいろな関数の微分を見ていきます。今まで見た関数の中で微分可能なものは、どんどん微分していくことになります。

まずは、 $f(x)=\sin x$ の微分を考えてみます。ここで使うのは、加法定理(参考:【標準】三角関数の加法定理の証明#加法定理のまとめ)と、次の公式\[ \lim_{h\to0}\frac{\sin x}{x}=1 \]です(参考:【基本】三角関数の極限)。これらを使って定義通りに微分を計算してみます。
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{h\to 0} \frac{\sin(x+h)-\sin x}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to 0} \frac{\sin x\cos h +\cos x\sin h-\sin x}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to 0} \left\{ \sin x\cdot\frac{\cos h-1}{h} +\cos x\cdot \frac{\sin h}{h} \right\} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、後半部分は $\cos x\cdot 1$ に収束することがわかります。前半部分は、【標準】三角関数の極限 の3問目で見たように、相互関係を使います。これにより
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{h\to0} \frac{\cos h-1}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to0} \frac{(\cos h-1)(\cos h+1)}{h(\cos h+1)} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to0} \frac{-\sin^2 h}{h(\cos h+1)} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to0} \frac{\sin h}{h}\cdot \frac{-\sin h}{\cos h+1} \\[5pt] &=&
1\cdot \frac{0}{2}=0 \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。以上から
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{h\to 0} \frac{\sin(x+h)-\sin x}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to 0} \left\{ \sin x\cdot\frac{\cos h-1}{h} +\cos x\cdot \frac{\sin h}{h} \right\} \\[5pt] &=&
\sin x\cdot0 +\cos x\cdot 1 \\[5pt] &=&
\cos x
\end{eqnarray}となることがわかります。よって、\[ (\sin x)’=\cos x \]となります。

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cosの微分

$\cos$ の微分も、 $\sin$ のときのように定義から計算してもいいのですが、【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数で見たように、\[ \cos x=\sin \left(x+\dfrac{\pi}{2}\right) \]と書けることを使うと楽ができます。これ自体は、右辺に対して加法定理を使えば示すことができます。また、【標準】三角関数のグラフでは、 $y=\sin x$ と $y=\cos x$ のグラフが $\dfrac{\pi}{2}$ だけズレている、ということに対応することも見ました。

ここでは、この式を、合成関数だと考えることにして、合成関数の微分を使いましょう。【基本】合成関数の微分で見たように、 $u=x+\dfrac{\pi}{2}$ とし、 $y=\sin u$ とすると、
\begin{eqnarray}
\dfrac{dy}{dx}
&=&
\dfrac{dy}{du}\cdot \dfrac{du}{dx} \\[5pt] &=&
\cos u \cdot \left(x+\dfrac{\pi}{2}\right)’ \\[5pt] &=&
\cos \left(x+\dfrac{\pi}{2}\right) \\[5pt] &=&
-\sin x
\end{eqnarray}となります。最後は、加法定理からわかります(他にも考え方はあります)。これより、\[ (\cos x)’=-\sin x \]が成り立つことがわかります。

tanの微分

さて、最後に、 $\tan$ の微分を考えましょう。相互関係から $\tan x=\dfrac{\sin x}{\cos x}$ が成り立ちます。ここで、商の微分を使いましょう。分母・分子の微分も計算できるので
\begin{eqnarray}
(\tan x)’
&=&
\left(\dfrac{\sin x}{\cos x}\right)’ \\[5pt] &=&
\dfrac{(\sin x)’\cos x-\sin x(\cos x)’}{(\cos x)^2} \\[5pt] &=&
\dfrac{\cos x\cos x-\sin x(-\sin x)}{\cos^2 x} \\[5pt] &=&
\dfrac{\cos^2 x+\sin^2 x}{\cos^2 x}=\dfrac{1}{\cos^2 x} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

三角関数の微分のまとめ

ここまでの内容をまとめておきましょう。

三角関数の微分
\begin{eqnarray}
(\sin x)’ &=& \cos x \\[5pt] (\cos x)’ &=& -\sin x \\[5pt] (\tan x)’ &=& \dfrac{1}{\cos^2 x}
\end{eqnarray}

これらは、単体で出てくることはありません。すでに学んだ積の微分や合成関数の微分と組み合わされて出てきます。例えば、 $(\sin x)^2$ や $\sqrt{\cos x+1}$ の微分といった感じです。これらの計算はまた別の機会に見ていくことにします。

符号を間違いやすいので注意しましょう。予告しておくと、積分を学ぶと符号はかなり混乱する要因となります。積分を学び始める前に、しっかり身につけておきましょう。