【標準】対数微分法の計算

ここでは、対数微分法を使って、導関数を求める計算例を見ていきます。

【広告】

対数微分法その1

対数微分法とは、【標準】対数微分法と実数乗の微分で見た通り、両辺の対数をとって微分する、という手法です。これによって、積の微分・商の微分が計算しやすくなるなどのメリットがあります。次の例題を見てみましょう。

例題1
次の関数を微分しなさい。\[ y=\frac{(x^2+1)(x^2+2)^2}{(x^2-1)^3} \]

商の微分を使い、積の微分も使って計算することも可能ですが、少し計算が大変です。しかし、対数をとってから微分すれば、積や商の部分をバラバラに分解できるので、計算しやすくなります(といっても大変ですが)。

まず、右辺の分子は正です。分母は負になることもあるので、絶対値をつけて対数を考えると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
\log|y|
&=&
\log \left|\frac{(x^2+1)(x^2+2)^2}{(x^2-1)^3}\right| \\[5pt] &=&
\log (x^2+1)+2\log (x^2+2)-3\log |x^2-1|
\end{eqnarray}ここで、両辺を $x$ で微分すると
\begin{eqnarray}
\frac{y’}{y}
&=&
\frac{2x}{x^2+1}+\frac{2\cdot 2x}{x^2+2}-\frac{3\cdot 2x}{x^2-1} \\[5pt] &=&
2x\cdot \frac{(x^2+2)(x^2-1)+2(x^2+1)(x^2-1)-3(x^2+1)(x^2+2)}{(x^2+1)(x^2+2)(x^2-1)} \\[5pt] &=&
2x\cdot \frac{-8x^2-10}{(x^2+1)(x^2+2)(x^2-1)} \\[5pt] &=&
-\frac{4x(4x^2+5)}{(x^2+1)(x^2+2)(x^2-1)} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。途中で分子の計算が大変ですが、一気に展開せずに、 $x^4$, $x^2$, 定数項、と順番に計算していくとそれほど大変ではないでしょう。

ここで、両辺に $y$ を掛けると
\begin{eqnarray}
y’
&=&
-\frac{4x(4x^2+5)}{(x^2+1)(x^2+2)(x^2-1)}\cdot\frac{(x^2+1)(x^2+2)^2}{(x^2-1)^3} \\[5pt] &=&
-\frac{4x(4x^2+5)(x^2+2)}{(x^2-1)^4} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。

【広告】

対数微分法その2

先ほどの例は、直接計算するよりは対数微分法を使ったほうがマシ、というレベルで、使ったとしても結構計算が大変でした。しかし、以下で示す、指数に $x$ の式が入っている例は、本当に計算が楽になります。

例題2
次の関数を微分しなさい。\[ y=x^x \ (x\gt 0) \]

不思議な関数です。今まで、 $a^x$ や $x^p$ などは扱ったことはありますが、底も指数もどちらも $x$ ということはなかったですね。どちらも動く場合は、少し工夫をして計算する必要があります。

指数の部分にこのようなめんどくさいものがある場合は、対数を考えればわかりやすくなります。今の場合は、
\begin{eqnarray}
\log y
&=&
\log x^x \\[5pt] &=&
x\log x \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで両辺を微分すると
\begin{eqnarray}
\frac{y’}{y}
&=&
\log x +x\cdot\frac{1}{x} \\[5pt] &=&
\log x +1 \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、両辺に $y$ をかけて\[ y’=(1+\log x)x^x \]となることがわかります。これが答えです。

この結果からもわかる通り、 $a^x$ や $x^p$ の微分をそのまま応用することはできません。 $a^x$ を微分すると $a^x \log a$ ですが、単純に $a=x$ としたものにはなりません。また、 $x^p$ を微分すると $px^{p-1}$ ですが、 $p=x$ としたものにもなりません。 $x^x$ のようにどちらも動く場合は、 $a^x$ や $x^p$ の微分とは違った考え方が必要となります。

一応、対数微分法を使わないやり方も紹介しておきましょう。先ほども書いた通り、 $y=x^x$ というように、底も指数も両方動くから困るわけなので、片方を止めるようにすればいいんですね。次の式を使って、底を変えましょう。\[ x=e^{\log x} \]この変形を使えば、\[ y=e^{x\log x} \]となります。この形になれば、指数関数の微分が使えます。これより、
\begin{eqnarray}
y’
&=&
(e^{x\log x})’ \\[5pt] &=&
e^{x\log x} \cdot (x\log x)’ \\[5pt] &=&
x^x \cdot \left(\log x +x\cdot \frac{1}{x}\right) \\[5pt] &=&
x^x (\log x+1) \\[5pt] \end{eqnarray}と求めることができます。底を変換すればいい、ということに気づけるなら、こちらのやり方でもいいでしょう。

おわりに

ここでは、対数微分法を使った計算例を見てきました。これが使えないと計算できなくなる、ということはないですが、計算しやすくなることがあるので、覚えておくといいと思います。