【標準】指数関数・対数関数の微分
ここでは、積の微分や合成関数の微分が絡んだ、指数関数や対数関数の微分の計算を見ていきます。
対数関数の微分
【基本】対数関数の微分で見たように、対数関数の微分で一番重要なものは、\[
(\log x)'=\frac{1}{x} \]です。底が $e$ でない場合は、底の変換を行ってから計算するようにします。
これを踏まえて、次の問題を考えましょう。
(1) $y=\log_2 (x^2+1)$
(2) $y=x\log x$
(3) $y=\log(x+\sqrt{x^2+1})$
まず、(1)は、底の変換を行いましょう。【基本】底の変換公式の内容より、\[ \log_2 (x^2+1)=\frac{\log (x^2+1)}{\log 2} \]となります。この分子を微分すると、合成関数の微分より
\begin{eqnarray}
y'
&=&
\frac{1}{\log 2} \cdot \frac{1}{x^2+1} \cdot (x^2+1)' \\[5pt]
&=&
\frac{2x}{(x^2+1)\log 2}
\end{eqnarray}となります。
(2)の $y=x\log x$ は、積の微分より、
\begin{eqnarray}
y'
&=&
(x)'\log x+x(\log x)' \\[5pt]
&=&
\log x+1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
(3)の $y=\log(x+\sqrt{x^2+1})$ は、合成関数の微分より、
\begin{eqnarray}
y'
&=&
\frac{1}{x+\sqrt{x^2+1} }\cdot\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)' \\[5pt]
&=&
\frac{1}{x+\sqrt{x^2+1} }\cdot \left\{1+\frac{(x^2+1)'}{2\sqrt{x^2+1} }\right\} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{x+\sqrt{x^2+1} }\cdot \frac{\sqrt{x^2+1}+x}{\sqrt{x^2+1} } \\[5pt]
&=&
\frac{1}{\sqrt{x^2+1} } \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。長々とあった $x+\sqrt{x^2+1}$ がスッキリ消えて、この形が答えとなります。
指数関数の微分
【基本】指数関数の微分で見た通り、一番重要な微分の式は、\[ (e^x)'=e^x \]です。底が $e$ でないときは、この場合も変換してから考えたほうがいいでしょう。
これを踏まえて、次の問題を考えてみます。
(1) $y=e^{-x+2}$
(2) $y=3^{x^2+x}$
(3) $y=xe^{\cos x}$
(1)は、合成関数の微分だと考えて
\begin{eqnarray}
y'
&=&
e^{-x+2}\cdot(-x+2)' \\[5pt]
&=&
-e^{-x+2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
(2)は、底を変換して $3=e^{\log 3}$ となることを利用して
\begin{eqnarray}
y'
&=&
(3^{x^2+x})' \\[5pt]
&=&
(e^{(x^2+x)\log 3})' \\[5pt]
&=&
e^{(x^2+x)\log 3} \cdot \log 3 \cdot (x^2+x)' \\[5pt]
&=&
(2x+1) e^{(x^2+x)\log 3} \log 3 \\[5pt]
&=&
(2x+1) 3^{x^2+x} \log 3 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
最後の (3)の $y=xe^{\cos x}$ はなんとも気持ち悪い関数ですね。こんなところに $\cos x$ が来ることがありえるんですね。この正体はよくわかりませんが、しかし微分はできます。積の微分・合成関数の微分より
\begin{eqnarray}
y'
&=&
(x)'\cdot e^{\cos x} +x(e^{\cos x})' \\[5pt]
&=&
e^{\cos x} +xe^{\cos x}\cdot (\cos x)' \\[5pt]
&=&
e^{\cos x} -x\sin x e^{\cos x} \\[5pt]
&=&
(1-x\sin x)e^{\cos x}
\end{eqnarray}となります。
おわりに
ここでは、指数関数や対数関数の微分を用いた計算を見てきました。 $e$ を底にすると考えやすくなるので、一度変換してから考えたほうがいいと思います。