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【標準】三角関数の積から和への公式(積和の公式)

ここでは、三角関数の積を和に変換する公式を見ていきます。

📘 目次

三角関数の積から和への公式(積和の公式)

$\sin$ の加法定理は、次のような形をしていました。
\begin{eqnarray} \sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\ \sin(\alpha-\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\ \end{eqnarray}普通は、左辺の値を求めたいので、右辺を計算する、というように使います。ただ、この2つの式を組み合わせれば、三角関数の積を分解する、という式を得ることができます。実際、この2つの式を左右入れ替えてから辺々足すと \begin{eqnarray} \sin\alpha\cos\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta) \right\} \end{eqnarray}が得られます。

これを使えば、例えば $\sin75^{\circ}\cos15^{\circ}$ といった値を、それぞれ計算することなく、次のように求められます。
\begin{eqnarray} & & \sin75^{\circ}\cos15^{\circ} \\[5pt] &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \sin(75^{\circ}+15^{\circ})+\sin(75^{\circ}-15^{\circ}) \right\} \\[5pt] &=& \dfrac{1}{2} (\sin90^{\circ}+\sin60^{\circ}) \\[5pt] &=& \dfrac{2+\sqrt{3} }{4} \end{eqnarray}

上では、 $\sin$ と $\cos$ の積を分解して $\sin$ の和にしましたが、 $\sin$ の加法定理を辺々引くことで、 $\cos$ と $\sin$ の積を分解することもできます。
\begin{eqnarray} \cos\alpha\sin\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \sin(\alpha+\beta)-\sin(\alpha-\beta) \right\} \end{eqnarray}

また、 $\cos$ の加法定理は次のような形でした。
\begin{eqnarray} \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\ \cos(\alpha-\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta \end{eqnarray}これらを辺々足したり、辺々引くことで、 $\cos$ 同士の積や $\sin$ 同士の積を分解することもできます。 \begin{eqnarray} \cos\alpha\cos\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \cos(\alpha+\beta)+\cos(\alpha-\beta) \right\} \\[5pt] \sin\alpha\sin\beta &=& -\dfrac{1}{2} \left\{ \cos(\alpha+\beta)-\cos(\alpha-\beta) \right\} \end{eqnarray}

例えば、 $\cos75^{\circ}\cos15^{\circ}$ は
\begin{eqnarray} & & \cos75^{\circ}\cos15^{\circ} \\[5pt] &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \cos(75^{\circ}+15^{\circ})+\cos(75^{\circ}-15^{\circ}) \right\} \\[5pt] &=& \dfrac{1}{2} (\cos90^{\circ}+\cos60^{\circ}) \\[5pt] &=& \dfrac{1}{4} \end{eqnarray}と求められます。

ここで挙げた4つの式は、積から和に分解するので、積和の公式 などと呼ばれています。

三角関数の積から和への公式
\begin{eqnarray} \sin\alpha\cos\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta) \right\} \\[5pt] \cos\alpha\sin\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \sin(\alpha+\beta)-\sin(\alpha-\beta) \right\} \\[5pt] \cos\alpha\cos\beta &=& \dfrac{1}{2} \left\{ \cos(\alpha+\beta)+\cos(\alpha-\beta) \right\} \\[5pt] \sin\alpha\sin\beta &=& -\dfrac{1}{2} \left\{ \cos(\alpha+\beta)-\cos(\alpha-\beta) \right\} \end{eqnarray}

加法定理の右辺のどのパーツを分解するか、を考えれば、積から和へどう変形すればいいかがわかるでしょう。

おわりに

ここでは、三角関数の積から和へ変形する公式を見ました。積を和にする場面は、当面はあまり多くないかもしれませんが、将来、三角関数の積分を学ぶときにはよく使うことになります。どちらかというと、和から積へ変換することのほうが多いのですが、その方法についてはまた別の機会に見ていくことにします。

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