【基本】加法定理をどう覚えるか、あるいは、どう思い出すか

ここでは、加法定理を習って間もないときに加法定理をどうやって覚えるか、久しぶりに使うときにどうやって思い出すか、について見ていきます。

【広告】

加法定理の内容

加法定理には、 $\sin,\cos,\tan$ に関するものがありますが、ここでは、 $\sin,\cos$ だけについて考えていきます。 $\tan$ は、加法定理の証明のところでも見ますが、 $\sin,\cos$ の2種類から導けるからです。

さて、 $\sin,\cos$ の加法定理の内容は以下の通りです。

正弦・余弦の加法定理
正弦、余弦に関して、次の式が成り立つ。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\
\sin(\alpha-\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\[5pt] \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha-\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta \\
\end{eqnarray}

【基本】正弦・余弦の加法定理の使い方でも見ましたが、この加法定理があると、他のいろんな角の三角関数の値が求められるようになります。ただ、この定理自体を覚えるのが大変です。

何度も使っていけば自然と覚えられるのかもしれませんが、はじめのころは時間もかかるだろうし、久しぶりに使う場合には正しく思い出せるか怪しいこともあります。

語呂合わせで覚える方法もありますが、それでも間違いやすいです。【基本】図で理解する正弦・余弦の加法定理で紹介したように、図をかく方法もいいですが、以下では別の方法を考えていきます。

$\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ }}\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ }}$

【広告】

大まかな形とはじめの部分だけは覚える

まず、 $\sin$ も $\cos$ も、どちらの加法定理も、次のような形をしています。\[ \mybox{???}\ \mybox{???}\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \mybox{???} \]そして、 $\sin$ の加法定理も、 $\cos$ の加法定理も、左辺と右辺のはじめの部分は同じ並びです。この対応をまずは関連付けて覚えましょう。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\mybox{???}\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \mybox{???} \\[5pt] \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\mybox{???}\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \mybox{???} \\[5pt] \end{eqnarray}

ベータに0を入れる

まだだいぶ空欄が多いですね。次に、 $\beta=0$ としてみましょう。このとき、加法定理の左辺は、それぞれ、 $\sin\alpha$, $\cos\alpha$ となります。なので、右辺もそうならないといけません。

ところで、 $\sin 0=0$, $\cos 0=1$ なので、右辺が左辺と同じなら
\begin{eqnarray}
\sin\alpha &=& \sin\alpha\cdot1\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \cdot0 \\[5pt] \cos\alpha &=& \cos\alpha\cdot1\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \cdot0 \\[5pt] \end{eqnarray}とならないといけないですね。なので、この対応から、 $\cos\beta$ と $\sin\beta$ が次のように入る、と関連付けましょう。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \sin\beta \\[5pt] \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta\ \mybox{?}\ \mybox{???}\ \sin\beta \\[5pt] \end{eqnarray}

あと一つ、「???」がありますが、これはまだでてきていないものを入れればいいですね。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta\ \mybox{?}\ \cos\alpha\sin\beta \\[5pt] \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta\ \mybox{?}\ \sin\alpha\sin\beta \\[5pt] \end{eqnarray}

これで、だいぶ埋まってきました。あとは、真ん中の符号だけです。

角が0になるようにする

最後に、符号の部分を合わせるために、角の差のほうの加法定理から考えましょう。 $\beta=\alpha$ のときを考えます。

$\sin$ の場合、次のようになります。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha-\alpha) &=& \sin\alpha\cos\alpha\ \mybox{?}\ \cos\alpha\sin\alpha \\[5pt] \end{eqnarray}左辺は $0$ なので、右辺が $0$ になるには、?にはマイナスが入ります。よって、角の差のときは、間の符号はマイナス、逆に、角の和のときはプラスになります。

こうして、次にたどりつけます。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\
\sin(\alpha-\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\
\end{eqnarray}

また、 $\cos$ の場合も、角の差の方の符号を考えます。
\begin{eqnarray}
\cos(\alpha-\alpha) &=& \cos\alpha\cos\alpha\ \mybox{?}\ \sin\alpha\sin\alpha \\[5pt] \end{eqnarray}ここで、左辺は $1$ なので、等号が成り立つのは、?にプラスが入ったときです(相互関係の式です)。よって、角の差のときは符号がプラス、逆に、角の和のときはマイナスになります。

こうして、次にたどりつけます。
\begin{eqnarray}
\cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha-\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta \\
\end{eqnarray}

これで全部埋まりましたね。

また、自分で加法定理の式を書いてみて、実際にあっているかどうか不安だからチェックしたい場合は、上にように $\beta=0$ としてみたり、 $\alpha-\alpha$ としてみて、成り立つことを確認する方法があります。

角の和のほうが間違っていないかチェックするために、 $\alpha=\beta=\dfrac{\pi}{4}$ を代入したり、 $\alpha=\dfrac{\pi}{6},\beta=\dfrac{\pi}{3}$ を代入して考えてもいいでしょう。

おわりに

ここでは、加法定理をどう思い出すか、また、覚えていた式が間違っていないかをチェックする方法を紹介しました。定理の内容が間違っていたら、すべての計算を間違ってしまうため、自信がない時には具体的な値を入れてチェックしてから計算するようにした方がいいでしょう。