【基本】正弦・余弦の加法定理の使い方

ここでは、正弦 $\sin$ と余弦 $\cos$ の加法定理の使い方について見ていきます。

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正弦・余弦の加法定理

正弦・余弦の加法定理は、角の和や差に対して $\sin, \cos$ の値が求められる、という内容です。式で書くと、次のようになります。

正弦・余弦の加法定理
正弦、余弦に関して、次の式が成り立つ。
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\
\sin(\alpha-\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\[5pt] \cos(\alpha+\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha-\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta \\
\end{eqnarray}

証明は別の場所で見ることにしますが、以下では、この定理を使えば何ができるのか、を見ていきます。

正弦・余弦の加法定理の使い方

正弦・余弦の加法定理を用いて、次の値を考えてみましょう。

例題
次の値を求めなさい。
(1) $\sin 75^{\circ}$
(2) $\sin 15^{\circ}$
(3) $\cos 75^{\circ}$
(4) $\cos 15^{\circ}$

これらの値は、【応用】15度の三角比でも図をかいて求めています。しかし、加法定理を使えば、図をかく必要はなく、式だけで考えることができます。

(1)について考えます。75度の三角比を直接考えることは難しいので、加法定理を使うことを考えましょう。75度を、30度と45度の和と考えて加法定理を使えば
\begin{eqnarray}
& &
\sin 75^{\circ} \\[5pt] &=&
\sin (30^{\circ}+45^{\circ}) \\[5pt] &=&
\sin 30^{\circ}\cos 45^{\circ}+\cos 30^{\circ}\sin 45^{\circ} \\[5pt] &=&
\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{2}+\sqrt{6}}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められます。

(2)は、15度を45度と30度との差と考えて、
\begin{eqnarray}
& &
\sin 15^{\circ} \\[5pt] &=&
\sin (45^{\circ}-30^{\circ}) \\[5pt] &=&
\sin 45^{\circ}\cos 30^{\circ}-\cos 45^{\circ}\sin 30^{\circ} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{2}}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}-\dfrac{\sqrt{2}}{2}\cdot\dfrac{1}{2} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

(3)(4)も角の分解の仕方は(1)(2)と同じです。(3)は
\begin{eqnarray}
& &
\cos 75^{\circ} \\[5pt] &=&
\cos (30^{\circ}+45^{\circ}) \\[5pt] &=&
\cos 30^{\circ}\cos 45^{\circ}-\sin 30^{\circ}\sin 45^{\circ} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{3}}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}-\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となり、(4)は
\begin{eqnarray}
& &
\cos 15^{\circ} \\[5pt] &=&
\cos (45^{\circ}-30^{\circ}) \\[5pt] &=&
\cos 45^{\circ}\cos 30^{\circ}+\sin 45^{\circ}\sin 30^{\circ} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{2}}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\dfrac{\sqrt{2}}{2}\cdot\dfrac{1}{2} \\[5pt] &=&
\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

当たり前ですが、【応用】15度の三角比で見た内容と同じ値になっています。加法定理を使えば、よく知っている角の三角関数の値を用いて、他の角の三角関数の値を簡単に求めることができるようになります。これが加法定理の便利な点です。

加法定理を使って鋭角の三角関数に変換する

先ほどの例題で見た通り、15度と75度の三角比を求めることができましたが、 $\sin 75^{\circ}=\cos 15^{\circ}$ と $\cos 75^{\circ}=\sin 15^{\circ}$ が成り立っています。これは、一般に\[ \sin\left(\dfrac{1}{2}\pi-\theta\right)=\cos\theta,\ \cos\left(\dfrac{1}{2}\pi-\theta\right)=\sin\theta \]が成り立つことからもわかります(参考:【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数)。

ただ、この関係式さえも、加法定理を使って示すことができます。例えば、1つ目の式は
\begin{eqnarray}
& &
\sin\left(\dfrac{1}{2}\pi-\theta\right) \\[5pt] &=&
\sin \dfrac{1}{2}\pi\cos \theta-\cos \dfrac{1}{2}\pi\sin \theta \\[5pt] &=&
\cos \theta \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

【基本】一般角の三角関数と鋭角の三角関数【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数で見た一連の公式は、上と同じように加法定理を用いて示すことができます。つまり、上のリンク先の式はすべて導けるのだから、加法定理さえ覚えておけばいい、ということです。加法定理は強力ですね。

おわりに

ここでは、正弦・余弦の加法定理を使えば、どのような値が求められるようになるかを見ました。今まで求めることが難しかった角の三角関数の値も求められるようになることが、加法定理の強みです。