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【基本】正接の加法定理の使い方

ここでは、正接 $\tan$ の加法定理を使うと、どのような値が求められるかを見ていきます。

📘 目次

正接の加法定理

正接の加法定理は、角の和や差に対して $\tan$ の値が求められる、という内容です。式で書くと、次のようになります。

正接の加法定理
正接に関して、次の式が成り立つ。
\begin{eqnarray} \tan(\alpha+\beta) &=& \frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta} \\[5pt] \tan(\alpha-\beta) &=& \frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta} \end{eqnarray}

正弦・余弦の加法定理とはまた形が違います。

証明は別の場所で見ることにしますが、以下では、この定理を使えば何ができるのか、を見ていきます。

正接の加法定理の使い方

正接の加法定理を用いて、次の値を考えてみましょう。

例題
次の値を求めなさい。
(1) $\tan 75^{\circ}$
(2) $\tan 15^{\circ}$

75度は、45度と30度の和です。また、15度は、45度と30度との差です。これらを踏まえ、加法定理にあてはめてみましょう。

まず、(1)は次のようになります。
\begin{eqnarray} & & \tan 75^{\circ} \\[5pt] &=& \tan (45^{\circ}+30^{\circ}) \\[5pt] &=& \frac{\tan45^{\circ}+\tan30^{\circ} }{1-\tan45^{\circ}\tan30^{\circ} } \\[5pt] &=& \frac{1+\frac{\sqrt{3} }{3} }{1-1\cdot\frac{\sqrt{3} }{3} } \\[5pt] &=& \frac{3+\sqrt{3} }{3-\sqrt{3} } \\[5pt] &=& \frac{(3+\sqrt{3})^2}{(3-\sqrt{3})(3+\sqrt{3})} \\[5pt] &=& \frac{12+6\sqrt{3} }{6} \\[5pt] &=& 2+\sqrt{3} \end{eqnarray}と求められます。

(2)も同じように計算しますが、 $\tan30^{\circ}$ のかき方をほんの少し変えて計算してみます。
\begin{eqnarray} & & \tan 15^{\circ} \\[5pt] &=& \tan (45^{\circ}-30^{\circ}) \\[5pt] &=& \frac{\tan45^{\circ}-\tan30^{\circ} }{1+\tan45^{\circ}\tan30^{\circ} } \\[5pt] &=& \frac{1-\frac{1}{\sqrt{3} }}{1+1\cdot\frac{1}{\sqrt{3} }} \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{3}-1}{\sqrt{3}+1} \\[5pt] &=& \frac{(\sqrt{3}-1)^2}{(\sqrt{3}+1)(\sqrt{3}-1)} \\[5pt] &=& \frac{4-2\sqrt{3} }{2} \\[5pt] &=& 2-\sqrt{3} \end{eqnarray}このように求められます。

【応用】15度の三角比でも、15度や75度の $\tan$ の値を求めています。同じ値になっていますね。

加法定理を使えば、よく知っている角の三角関数の値を用いて、他の角の三角関数の値を簡単に求められるようになります。

加法定理を使って鋭角の三角関数に変換する

【基本】正弦・余弦の加法定理の使い方でも見た通り、【基本】一般角の三角関数と鋭角の三角関数で見た $\tan$ に関する内容を、加法定理を使って導くことができます。

例えば、 $\tan(\theta+\pi)=\tan\theta$ という式がありますが、加法定理を使ってこの左辺を変形していくと
\begin{eqnarray} & & \tan(\theta+\pi) \\[5pt] &=& \frac{\tan\theta+\tan\pi}{1-\tan\theta\tan\pi} \\[5pt] &=& \tan\theta \\[5pt] \end{eqnarray}なので、加法定理からも導けます。また、負の角については \begin{eqnarray} & & \tan(-\theta) \\[5pt] &=& \frac{\tan0-\tan\theta}{1+\tan0\tan\theta} \\[5pt] &=& -\tan\theta \\[5pt] \end{eqnarray}なので、加法定理からも $\theta(-\theta)=-\tan\theta$ となることがわかります。

一つ注意なのは、 $\tan\theta$ は $\theta=\dfrac{\pi}{2}+n\pi$ (n は整数)に対しては定義できないので、このような角を含む場合、加法定理を用いることはできません。なので、先ほどの例題では、15度の $\tan$ を計算するときに、90度と75度の差と見て $\tan$ の加法定理を使うことはできません。計算してみようとしても、右辺が計算できません。

90度との差に関して加法定理を使うことはできませんが、【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数でみた、\[ \tan\left(\dfrac{1}{2}\pi-\theta\right)=\dfrac{1}{\tan\theta} \]は使うことができます。先ほどの例題では、これを用いて、\[ \tan15^{\circ}=\dfrac{1}{\tan75^{\circ} } \]として(2)を求めることもできます。

おわりに

ここでは、正接 $\tan$ の加法定理の使い方を見ました。90度に関する角度には注意しないといけませんが、いろいろな角の $\tan$ が求められるようになるので、便利ですね。

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