【標準】微分を利用して最大値・最小値を求める

ここでは、微分を利用して、最大値や最小値を求める問題を見ていきます。

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最大値・最小値を求める問題

例題
関数 $f(x)=\dfrac{\sin x\cos x}{3\sin^2 x+\cos^2 x}$ $\left(0\leqq x\lt \dfrac{\pi}{2}\right)$ の最大値と最小値を、 $t=\tan x$ とおいて求めなさい。

最大値・最小値を求める問題は、【標準】微分と三角関数のグラフの後半で見たように、増減表をかいて考えていきます。極大・極小と、定義域の両端に注意して考えていきます。

さて、まずはヒントの通りに、 $t=\tan x$ を使って、関数を置き換えましょう。三角関数の相互関係\[ \tan x=\dfrac{\sin x}{\cos x} \]を利用するため、分母・分子を $\cos ^2 x$ で割って変形します。
\begin{eqnarray}
\dfrac{\sin x\cos x}{3\sin^2 x+\cos^2 x}
&=&
\dfrac{\frac{\sin x}{\cos x}}{3\cdot\frac{\sin^2 x}{\cos^2 x}+1} \\[5pt] &=&
\dfrac{t}{3t^2+1} \\[5pt] \end{eqnarray}このように変形し、 $t$ の関数だと思って、最大値・最小値を考えていきましょう。

$g(t)=\dfrac{t}{3t^2+1}$ とすると
\begin{eqnarray}
g'(t)
&=&
\frac{1\cdot(3t^2+1)-t\cdot 6t}{(3t^2+1)^2} \\[5pt] &=&
\frac{-3t^2+1}{(3t^2+1)^2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、 $g'(t)=0$ とすると、 $t=\pm\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ となります。

最大・最小を考える場合は、グラフの凹凸まで調べる必要はありません。なので、この $g'(t)$ をもとに増減表をかくのですが、そもそも $t$ の取りうる値を考えなくてはいけません。これは、新しい変数を導入するときには、必ず気にしなければいけないことです。

今の場合、 $0\leqq x\lt \dfrac{\pi}{2}$ なので、 $t=\tan x$ の取りうる値は、0以上の実数全体です。よって、増減表は次のようになります。
\begin{array}{c|cccc}
t & 0 & \cdots & \dfrac{1}{\sqrt{3}} & \cdots \\
\hline
g'(t) & & + & 0 & – \\
\hline
g(t) & 0 & \nearrow & & \searrow
\end{array}この増減表から、 $g(t)$ が最大となるのは $t=\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ のとき、つまり、 $x=\dfrac{\pi}{6}$ のときで、そのときの値は
\begin{eqnarray}
& &
\frac{\dfrac{1}{\sqrt{3}}}{3\cdot\dfrac{1}{(\sqrt{3})^2}+1} \\[5pt] &=&
\frac{\sqrt{3}}{6} \\[5pt] \end{eqnarray}であることがわかります。最小値は、 $t=0$ のときのように思うかもしれませんが、右端の方がどうなっているかを考えなくてはいけません。ここがもしマイナスの値を取りうるなら、 $t=0$ で最小値をとるとはいえないからです。ただ、今の場合は負の値をとることはなくて
\begin{eqnarray}
\lim_{t\to\infty} \dfrac{t}{t^2+2}=0
\end{eqnarray}なので、 $t=0$ のときに最小値をとることがわかります。つまり、最小値をとるのは $x=0$ のときで、その値は $0$ です。

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相加相乗平均の関係を使う方法

先ほどの例題では、 $0\leqq x\lt \dfrac{\pi}{2}$ の範囲を考えていたため、 $t=\tan x$ はつねに0以上です。なので、\[ g(t)=\frac{t}{t^2+2} \]は0以上であることがわかります。 $t=0$ のときに $g(t)=0$ なので、最小値は、微分をしなくてもすぐにわかります。

問題は最大値です。ただ、実はこれも、微分を使わずに解く方法があります。

$t\gt 0$ の範囲で、 $g(t)$ の逆数を考えてみましょう。
\begin{eqnarray}
\frac{3t^2+1}{t}
&=&
3t+\frac{1}{t}
\end{eqnarray}これは、相加・相乗平均の関係を使うと、
\begin{eqnarray}
3t+\frac{1}{t}
\geqq
2\sqrt{3t\cdot \dfrac{1}{t}}=2\sqrt{3}
\end{eqnarray}となることがわかります。等号は、 $3t=\dfrac{1}{t}$ のとき、つまり、 $t=\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ のときです。\[ \dfrac{1}{g(t)}\geqq 2\sqrt{3} \]が成り立つので、\[ g(t)\leqq \dfrac{1}{2\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{6} \]となります。上で求めた答えと一致します。

微分を学ぶと、いろんな関数の増減を調べられるようになります。守備範囲が広いのがメリットですが、道具としては少し大げさです。微分を使わなくても、スマートな解決法で解けることもあります。微分について学んでいる間は、微分を用いて考えればいいのですが、入試問題などでは、微分を使わなくていい場面ではわざわざ使う必要はありません。微分は、他に手がない時の最終手段として使いましょう。

おわりに

ここでは、微分を利用して、最大値や最小値を求める問題を見ました。文字で置いたときに範囲を考えること、微分を使わなくても最大値・最小値が求められることがあること、も見ました。特に、平方完成が使えるとか、相加・相乗平均の関係が使える場面では、微分を用いない方がはやく解けることが多いので、「微分を使わなくても解けるのでは?」という視点は持っておくようにしましょう。