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【基本】微分と関数のグラフ

ここでは、微分を利用して、関数のグラフをかく方法を見ていきます。

📘 目次

例題

例題
関数 $y=e^{-\frac{x^2}{2} }$ のグラフをかきなさい。

微分を利用して、この関数のグラフをかいてみましょう。基本的には、今までに見てきた、関数の増減、極値、凹凸(上に凸か下に凸か)、変曲点などを調べていくことになります。そして、増減表をかいて、それをもとにグラフをかく、という流れです。

順番に流れを見ていきましょう。

定義域を考えよう

まず、いきなり微分してしまうのではなく、関数の定義域について考えましょう。

$0\leqq x\leqq 1$ などと制限がついていれば、もちろんその範囲で考えます。

$\log$ や $\sqrt{\quad }$ が含まれている場合は、範囲について暗黙の条件がついているので注意が必要です。分母に文字を含む分数関数も、「分母が $0$ でない」という条件がつくことに注意しましょう。

今の場合はどれにも該当しないので、実数全体を考えることになります。

微分して増減を考えよう

$y=e^{-\frac{x^2}{2} }$ のグラフを考えるために、増減について調べましょう。これを調べるには、微分した結果 $y'$ の符号を調べればいいですね(参考:【基本】微分と関数の増減(平均値の定理を利用))。

合成関数の微分を使って微分すると
\begin{eqnarray} y' &=& e^{-\frac{x^2}{2} }\cdot \left( -\dfrac{x^2}{2} \right)' \\[5pt] &=& -x e^{-\frac{x^2}{2} } \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、 $x\leqq 0$ では単調増加、 $x\geqq 0$ では単調減少であることがわかります。また、 $x=0$ の前後で、 $y'$ の符号がプラスからマイナスに変わるので、 $x=0$ で極大となることがわかります(参考:【基本】極大値と極小値(の復習))。

第二次導関数を求めて凹凸を考えよう

$y=e^{-\frac{x^2}{2} }$ のグラフを考えるため、増減だけでなく、凹凸も求めましょう。第二次導関数を学んだ後で、「グラフをかくこと」がメインの問題に答える場合は、通常は凹凸まで調べます。

$y'=-x e^{-\frac{x^2}{2} }$ だったので、これをもう一度微分して
\begin{eqnarray} y^{\prime\prime} &=& - e^{-\frac{x^2}{2} } -x e^{-\frac{x^2}{2} }\cdot (-x) \\[5pt] &=& (x^2-1) e^{-\frac{x^2}{2} } \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、 $-1\lt x\lt 1$ で上に凸、 $x\lt -1, x\gt 1$ で下に凸となることがわかります。(参考:【基本】上に凸と下に凸)。 $x=\pm 1$ のところが変曲点になることもわかります(参考:【基本】変曲点)。

増減表をかこう

$\def\EtoN{\class{EtoN}{} }\def\EtoS{\class{EtoS}{} }\def\NtoE{\class{NtoE}{} }\def\StoE{\class{StoE}{} }$増減表をかくためのパーツがそろいました。増減表をかくと次のようになります。

\begin{array}{c|ccccccc} x & \cdots & -1 & \cdots & 0 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline y' & + & + & + & 0 & - & - & - \\ \hline y^{\prime\prime} & + & 0 & - & - & - & 0 & + \\ \hline y & \EtoN & e^{-\frac{1}{2} } & \NtoE & 1 & \EtoS & e^{-\frac{1}{2} } & \StoE \end{array}

$y'$ の符号ががプラスなら増加、マイナスなら減少です。また、 $y^{\prime\prime}$ の符号がプラスなら下に凸、マイナスなら上に凸です。これらを組み合わせると、一番の行にあるように $y$ が変化することがわかります。

範囲の端っこがどうなっているか考えよう

増減表によって、増減や凹凸はわかるのですが、今のままでは、グラフの左側や右側がどこに近づいていくかはわかりません。 $e^{-\frac{1}{2} }$ より小さい値をとることしかわからず、このままではグラフがかけません。

今の場合、定義域は実数全体だったので、 $x\to\infty$, $x\to -\infty$ のところで、 $y$ がどんな値になるかを考えておく必要があります。

$y=e^{-\frac{x^2}{2} }$ なので、 $x\to\infty$, $x\to -\infty$ 、どちらの場合も、 $-\dfrac{x^2}{2}\to -\infty$ なので、 $y\to 0$ となります。つまり、右端も左端も、 $x$ 軸に近づいていくようにグラフをかけばいいことがわかります。

グラフをかこう

ここまでくれば、あとは図にするだけです。増減、凹凸、両端に注意してグラフをかくと、次のようになります。

ちなみに、このグラフは、正規分布について学ぶと必ず出てくるグラフです(参考:【基本】標準正規分布)。

おわりに

ここでは、微分について今まで学んだことを利用して、関数のグラフをかく問題を見てきました。増減表をかいて増減・凹凸を調べるだけでなく、定義域を考えたり、定義域の両端で関数の値がどうなっているかを考えることについても見ました。

関数のグラフをかくことは、微分の分野の中でも基本的な内容の1つです。ここで見た一連の流れは、何も見なくてもできるようになっておきましょう。

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