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【基本】微分と関数の増減(平均値の定理を利用)

ここでは、微分と関数の増減の関係について、平均値の定理を利用して見ていきます。

📘 目次

微分と関数の増減の復習

【基本】微分係数と導関数(の復習)でも見た通り、関数 $f(x)$ の $x=a$ での微分係数 $f'(a)$ とは、\[ f'(a)=\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h} \]で定義されます。これは、 $y=f(x)$ のグラフの、 $x=a$ での接線の傾きです。

$y=f(x)$ の $x=a$ でのグラフは、 $x=a$ のまわりではその点での接線とすごく近いため、 $f'(a)$ の符号を調べれば、 $y=f(x)$ の増減がわかります。この内容は、以前、三次関数の微分を考えたときにも、【基本】微分と関数の増減で見ています。少し文言を変えていますが、以下のような内容です。

微分と関数の増減(微分が正・負のとき)
関数 $f(x)$ は、 $a\leqq x\leqq b$ で連続で、 $a\lt x\lt b$ で微分可能であるとする。このとき、以下が成り立つ。
  1. $a\lt x\lt b$ で、つねに $f'(x)\gt 0$ ならば、 $f(x)$ は $a\leqq x\leqq b$ で単調に増加する。
  2. $a\lt x\lt b$ で、つねに $f'(x)\lt 0$ ならば、 $f(x)$ は $a\leqq x\leqq b$ で単調に減少する。

「単調に増加する」とは、ざっくりいうと、値が増え続けるということです。今の場合、同じ値をとるケースを除くので、厳密には、「狭義単調増加」といいます。

ちなみに、同じ値をとることがあってもいい場合、つまり、「増え続ける」ではなく「減ることがない」場合には、「広義単調増加」といいます。

上のような性質があるため、微分した関数の符号を調べれば、もとの関数の増減がわかり、グラフがかけるようになるんですね。見たことのない形の関数に出くわしても、分析できるようになる。これが微分を学ぶ一番大きなメリットです。

以前見たときには、具体例をいくつか見ただけでしたが、以下では、この内容を、平均値の定理を使って示してみることにしましょう。

平均値の定理を使った証明

まずは、 $f'(x)\gt 0$ のときを考えます。

$s,t$ は $a\leqq s\lt t\leqq b$ を満たすとします。ここで示したいことは、 $f(s)\lt f(t)$ です。言い換えれば、 $f(t)-f(s)\gt 0$ ということですね。

この左辺のような形は、平均値の定理がうまく使えることがあるのでした(参考:【応用】平均値の定理と不等式)。これを用いると、\[ \frac{f(t)-f(s)}{t-s}=f'(u) \]かつ、 $s\lt u\lt t$ となる $u$ が存在します。ここで、仮定から $f'(u)\gt 0$ であり、左辺の分母も正です。よって、\[ f(t)-f(s)=(t-s)f'(u)\gt 0 \]となるので、 $f(s)\lt f(t)$ となります。以上から、 $f(t)$ は単調増加であることがわかります。

逆に、 $f'(x)\lt 0$ のときは、先ほどとほとんど同じ内容で、\[ f(t)-f(s)=(t-s)f'(u)\lt 0 \]となるところが変わるだけですね。よって、単調減少となることも同じように示せます。

また、同じように考えれば、 $f'(x)=0$ なら、定数となることが同じように示せることがわかるでしょう。

微分と関数の増減(微分が0のとき)
関数 $f(x)$ は、 $a\leqq x\leqq b$ で連続で、 $a\lt x\lt b$ で微分可能であるとする。このとき、以下が成り立つ。
$a\lt x\lt b$ で、つねに $f'(x)=0$ ならば、 $f(x)$ は定数である。

ちなみに、区間の中で微分できない点があってはいけません。考えている区間の全体で微分可能でないといけません。

増減表の復習

先ほどの内容を使えば、関数の増減がわかります。

例えば、 $f(x)=e^x-x$ ならば、 $f'(x)=e^x-1$ です。これより、 $x\lt 0$ のときは $f'(x)\lt 0$ だから $f(x)$ は単調減少、 $x\gt 0$ のときは $f'(x)\gt 0$ だから $f(x)$ は単調増加であることがわかります。

このことを次のような表を使って示すことがあります。これは増減表(first derivative test table) というもので、以前に【基本】増減表でも使っています。

\begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f’(x) & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \searrow & 1 & \nearrow \end{array}この表は凄くシンプルな例ですが、今後、もっと複雑な例を見ていくことになります。大事なことは、 $f(x)$ の増減を調べるために、 $f'(x)$ の符号を考えている、という点です。

おわりに

ここでは、微分と関数の増減を、平均値の定理を用いて、内容を見直しました。また、増減表の復習も行いました。過去にやった微分の内容をベースにして内容を発展させていくので、過去の内容も適宜見ながら進むようにしましょう。

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