センター試験 数学I・数学A 2018年度追試 第3問 解説
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
問題編
問題
数字1が書かれたカードが4枚、数字2が書かれたカードが2枚、数字5が書かれたカードが2枚、合計8枚のカードがある。
(1) 8枚のカードを一列に並べて8桁の整数を作る。
このときできる8桁の整数の個数は全部で $\myBox{アイウ}$ 個である。さらに、次の条件(*)が満たされるときにできる8桁の整数を考える。
(*)数字 $1$ が書かれた4枚のカードのどの2枚のカードも隣り合わない。
この条件(*)は、例えば、 $\fbox{1}$ $\fbox{2}$ $\fbox{1}$ $\fbox{5}$ $\fbox{1}$ $\fbox{2}$ $\fbox{1}$ $\fbox{5}$ のとき満たされる。条件(*)が満たされるときにできる8桁の整数の個数は全部で $\myBox{エオ}$ 個である。
(2) 一般に、事象 $A$ の確率を $P(A)$ で表す。また、二つの事象 $A, B$ の積事象を $A\cap B$ と表す。
8枚のカードからでたらめに3枚を取り出して袋に入れるという試行を $T_1$ とし、さらに、その3枚のカードが入った袋からでたらめに1枚のカードを取り出すという試行を $T_2$ とする。
試行 $T_1$ において、袋の中の数字5が書かれたカードの枚数が0枚である事象を $A_0$ 、1枚である事象を $A_1$, 2枚である事象を $A_2$ とすると
\begin{eqnarray} P(A_0) &=& \dfrac{\myBox{カ} }{\myBox{キク} }, \\[5pt] P(A_1) &=& \dfrac{\myBox{ケコ} }{\myBox{サシ} }, \\[5pt] P(A_2) &=& \dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セソ} } \\[5pt] \end{eqnarray}である。試行 $T_2$ において数字5が書かれたカードが取り出されるという事象を $B$ とすると
\begin{eqnarray} P(A_1\cap B) &=& \dfrac{\myBox{タ} }{\myBox{チツ} }, \\[5pt] P(A_2\cap B) &=& \dfrac{\myBox{テ} }{\myBox{トナ} } \\[5pt] \end{eqnarray}である。以上のことから、試行 $T_2$ において数字5が書かれたカードが取り出されたとき、袋の中にもう1枚の数字5が書かれたカードが入っている条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ニ} }{\myBox{ヌ} }$ である。
考え方
(1)の場合の数が、序盤のわりには難しいです。ただ、(2)とは独立しているので、できなくても進みましょう。
(2)は、誘導が丁寧なので、最後の条件付き確率までそれほど難しくはないでしょう。条件付き確率の求め方がわかっていれば、状況も計算もわかりやすいため、解きやすいと思います。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
解答編
問題
数字1が書かれたカードが4枚、数字2が書かれたカードが2枚、数字5が書かれたカードが2枚、合計8枚のカードがある。
(1) 8枚のカードを一列に並べて8桁の整数を作る。
このときできる8桁の整数の個数は全部で $\myBox{アイウ}$ 個である。
解説
8個の桁のうち、数字1が入る場所の選び方は ${}_8\mathrm{C}_4$ 通りで、残りの場所から数字2が入る場所を選ぶ方法は ${}_4\mathrm{C}_2$ 通りです。残りの場所には自動的に数字5が入ります。なので、8桁の数字の作り方は
\begin{eqnarray}
& &
{}_8\mathrm{C}_4 \times {}_4\mathrm{C}_2 \\[5pt]
&=&
\frac{8\cdot7\cdot6\cdot5}{4\cdot3\cdot2\cdot1} \times \frac{4\cdot3}{2\cdot1} \\[5pt]
&=&
420 \\[5pt]
\end{eqnarray}通りです。
解答
アイウ:420
解答編 つづき
問題
さらに、次の条件(*)が満たされるときにできる8桁の整数を考える。
(*)数字 $1$ が書かれた4枚のカードのどの2枚のカードも隣り合わない。
この条件(*)は、例えば、 $\fbox{1}$ $\fbox{2}$ $\fbox{1}$ $\fbox{5}$ $\fbox{1}$ $\fbox{2}$ $\fbox{1}$ $\fbox{5}$ のとき満たされる。条件(*)が満たされるときにできる8桁の整数の個数は全部で $\myBox{エオ}$ 個である。
解説
数字1が隣り合わないように並べるために、まず数字2と数字5のカードを並べてしまいます。次に、4枚のカードの間・前後に1枚ずつ数字1を挿入していくようにします。そうすると、どのように並べても数字1は隣り合いませんし、隣り合わない並べ方はすべてこの方法で作れます。
例えば、「2525」と並べた場合、「○2○5○2○5○」という5つの○から4つを選んで1を入れ、使わなかった○は取り除きます。こう考えると、まず、数字2と数字5の並べ方が ${}_4\mathrm{C}_2$ 通りで、数字1の入れる場所の選び方が ${}_5\mathrm{C}_4$ 通りなので、できる8桁の整数の個数は
\begin{eqnarray}
{}_4\mathrm{C}_2 \times {}_5\mathrm{C}_1 &=& 30
\end{eqnarray}個となります。
解答
エオ:30
解答編 つづき
問題
(2) 一般に、事象 $A$ の確率を $P(A)$ で表す。また、二つの事象 $A, B$ の積事象を $A\cap B$ と表す。
8枚のカードからでたらめに3枚を取り出して袋に入れるという試行を $T_1$ とし、さらに、その3枚のカードが入った袋からでたらめに1枚のカードを取り出すという試行を $T_2$ とする。
試行 $T_1$ において、袋の中の数字5が書かれたカードの枚数が0枚である事象を $A_0$ 、1枚である事象を $A_1$, 2枚である事象を $A_2$ とすると
\begin{eqnarray} P(A_0) &=& \dfrac{\myBox{カ} }{\myBox{キク} }, \\[5pt] P(A_1) &=& \dfrac{\myBox{ケコ} }{\myBox{サシ} }, \\[5pt] P(A_2) &=& \dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セソ} } \\[5pt] \end{eqnarray}である。
解説
同じ数字が書いていても、カードはすべて区別して考えます。
8枚から3枚のカードを選ぶ方法の総数は ${}_8\mathrm{C}_3=56$ 通りです。
選んだ3枚のうち、数字5のカードが0枚となる場合は、数字5以外の6枚のカードから3枚を選ぶときなので、こうなる確率は\[ \frac{ {}_6\mathrm{C}_3}{56}=\dfrac{5}{14} \]となります。
選んだ3枚のうち、数字5のカードが1枚となる場合は、2枚の数字5のカードから1枚、数字5以外の6枚のカードから2枚を選ぶときなので、こうなる確率は\[ \frac{ {}_2\mathrm{C}_1 \cdot {}_6\mathrm{C}_2}{56}=\dfrac{15}{28} \]となります。
選んだ3枚のうち、数字5のカードが2枚となる場合は、数字5のカードは全部、数字5以外の6枚のカードから1枚を選ぶときなので、こうなる確率は\[ \frac{ {}_6\mathrm{C}_1}{56}=\dfrac{3}{28} \]となります。
解答
カキク:514ケコサシ:1528
スセソ:328
解答編 つづき
問題
試行 $T_2$ において数字5が書かれたカードが取り出されるという事象を $B$ とすると
\begin{eqnarray} P(A_1\cap B) &=& \dfrac{\myBox{タ} }{\myBox{チツ} }, \\[5pt] P(A_2\cap B) &=& \dfrac{\myBox{テ} }{\myBox{トナ} } \\[5pt] \end{eqnarray}である。
解説
事象 $A_1\cap B$ は、8枚のカードから3枚を取り出したときに数字5のカードが1枚あり、その3枚から1枚抜き出したときに数字5である、という事象です。袋の中には数字5は1枚あり、これを選ぶときを考えればいいので、
\begin{eqnarray}
P(A_1\cap B)
&=&
\dfrac{15}{28} \cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{5}{28}
\end{eqnarray}となります。
事象 $A_2\cap B$ は、8枚のカードから3枚を取り出したときに数字5のカードが2枚あり、その3枚から1枚抜き出したときに数字5である、という事象です。袋の中には数字5は2枚あり、このどちらかを選ぶときを考えればいいので、
\begin{eqnarray}
P(A_2\cap B)
&=&
\dfrac{3}{28} \cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{1}{14}
\end{eqnarray}となります。
解答
タチツ:528
テトナ:114
解答編 つづき
問題
以上のことから、試行 $T_2$ において数字5が書かれたカードが取り出されたとき、袋の中にもう1枚の数字5が書かれたカードが入っている条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ニ} }{\myBox{ヌ} }$ である。
解説
試行 $T_2$ において数字5が書かれたカードが取り出される確率は、袋の中に入っていた3枚のカードのうち、数字5のカードが1枚のときと2枚のときに場合分けして考えると\[ \frac{5}{28}+\frac{1}{14}=\frac{1}{4} \]となります。さらに、袋の中にもう1枚の数字5が書かれたカードが入っている確率は、 $P(A_2\cap B)=\dfrac{1}{14}$ です。なので、求める条件付き確率は\[ \dfrac{1}{14} \div \frac{1}{4}=\dfrac{2}{7} \]となります。
解答
ニヌ:27