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【標準】三角関数を使った式の値(角度を変える)

ここでは、三角関数を使った式の値を求める問題を見ていきます。

📘 目次

角度を変換する

例題1
次の値を求めなさい。\[ \sin\dfrac{53}{18}\pi-\cos\frac{31}{18}\pi+\sin\frac{7}{9}\pi+\sin\left(-\frac{1}{18}\pi\right) \]

$\dfrac{1}{18}\pi$ などに関する三角関数の値はわからないので、それぞれの項の値を直接計算するのは難しそうです。なので、【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数で見たように、角度をわかりやすいものに変形してから考えましょう。同じ値のものがあって打ち消し合うのではないか、という予想をもって式変形をしていきます。

まず、 $2\pi$ より大きい角度は、そのまま $2\pi$ を引くことができます。つまり、次のような式変形ができます。
\begin{eqnarray} \sin\frac{53}{18}\pi &=& \sin\left(\frac{17}{18}\pi+2\pi\right) \\[5pt] &=& \sin\frac{17}{18}\pi \end{eqnarray}一周しても同じ点に戻ってくるので、 $2\pi$ の差は無視できるのでしたね。

また、マイナスの角度は、プラスの角に変換できます。\[ \sin\left(-\frac{1}{18}\pi\right)=-\sin\frac{1}{18}\pi \]が成り立ちます。上下対称であることより、 y 座標の符号が変わることからわかります。

半周より大きい角は、半周より小さい角に変換できます。
\begin{eqnarray} -\cos\left(\frac{31}{18}\pi\right) &=& -\cos\left(\frac{13}{18}\pi+\pi\right) \\[5pt] &=& \cos\frac{13}{18}\pi \\[5pt] \end{eqnarray}が成り立ちます。半周回ると、原点について対称な点に移動するので、 x 座標の符号が変わるのでしたね。

とりあえず、今までの内容を反映すると、次の値を求めればいいことがわかります。\[ \sin\frac{17}{18}\pi+\cos\frac{13}{18}\pi+\sin\frac{7}{9}\pi-\sin\frac{1}{18}\pi \]

ちょっとだけ扱いやすくなりましたが、まだまだわからないですね。さらに、角を小さくしていきましょう。1項目について、\[ \sin(\pi-\theta)=\sin\theta \]が成り立つことを使いましょう。これは、左右対称であることより、y 座標が同じであることからわかります。これより、\[ \sin\frac{17}{18}\pi=\sin\frac{1}{18}\pi \]が成り立ちます。これは第4項と打ち消し合いますね。

次に、2項目を見ましょう。これも同じように式変形をすると\[ \cos\frac{13}{18}\pi=-\cos\frac{5}{18}\pi \]となります。さらに、 $\dfrac{1}{2}\pi-\theta$ に関する式変形を使えば、角度は $\dfrac{\pi}{4}$ 以下にでき、
\begin{eqnarray} -\cos\frac{5}{18}\pi &=& -\cos\left(\frac{1}{2}\pi-\frac{2}{9}\pi\right) \\[5pt] &=& -\sin\frac{2}{9}\pi \end{eqnarray}となります(参考:【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数#45度以下の角への変換)。

また、3項目は、\[ \sin(\pi-\theta)=\sin\theta \]が成り立つことを使って、\[ \sin\frac{7}{9}\pi=\sin\frac{2}{9}\pi \]となります。これは、さきほど変形した2項目と打ち消し合うことがわかります。

以上から、4つの項はそれぞれ打ち消し合って、値は $0$ になることがわかります。これが答えです。

このように、角度が違う三角関数の値を求める場合、まずは、角度をわかりやすいものに変形していく、という方針で考えるとうまくいくことがあります。大きい角なら $2\pi$ を引き、マイナスなら符号を外す。そして、さらに小さい角へ変換していく、という流れです。

これで確実に値が求まるという保証はないですが、まずは考えやすい式に変形してから取り組むといいでしょう。値が求まらない場合は、今後見ていくことになる、加法定理などを使うことになります。

おわりに

ここでは、角度を変換して三角関数を使った式の値を求める問題を見ました。【標準】一般角の三角関数と鋭角の三角関数で紹介した公式をすべて覚える必要はありません。図をかいて、角度を変換したときに、 $x$ 座標、 $y$ 座標、傾きがどう変わるかを考え、角度を分かりやすい小さいものに変換して考えていきましょう。

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