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【基本】不定積分の置換積分(dxを置き換え)

ここでは、置換積分について見ていきます。

📘 目次

置換積分の例

ここでは、この例題を考えてみましょう。

例題
次の不定積分を求めなさい。
(1) $\displaystyle \int (2x+1)^3 dx$
(2) $\displaystyle \int x(2x+1)^3 dx$

(1)は、【基本】一次式と不定積分で見たように、 $2x+1$ を $t$ などとおいて考えればいいのでしたね。もし被積分関数が $t^3$ だったら、不定積分は $\dfrac{1}{4}t^4+C$ となります。しかし、実際には $x$ で微分するので、 $(2x+1)'=2$ 倍だけズレるのでした。合成関数の微分のときに後で掛けていたものを、積分のときには割る必要があるのでしたね。

このことから、\[ \dfrac{1}{8}(2x+1)^4+C \]というのが答えになります。実際に微分してみると、合っていることが確かめられます。

これを踏まえて、(2)を考えてみましょう。展開して計算するのはめんどくさいです。できればやりたくないですね。そこで、(1)と同じように、 $t=2x+1$ と置きたくなります。 $t^3$ の不定積分なら、まだ計算はそれほど大変ではありません。

このように置く場合、被積分関数の1つ目の $x$ も $t$ で表す必要があります。 $t=2x+1$ を変形すれば\[ x=\dfrac{t-1}{2} \]となります。問題は、 $dx$ の部分です。ここはどう変わるのでしょうか。

もう一度、不定積分を振り返りながら、考えてみましょう。\[ y=\int x(2x+1)^3 dx \]と置いてみます。この $dx$ というのは、右辺を $x$ で微分すると $x(2x+1)^3$ になる、ということですね。ここを $dt$ に変えるには、 $y$ を $t$ で微分したときにどうなるかを考えなくてはいけません。

この計算では、【基本】合成関数の微分で見たように、次の式を使うことができます。\[ \dfrac{dy}{dt}=\dfrac{dy}{dx}\cdot \dfrac{dx}{dt} \]ここで、右辺にある $\dfrac{dy}{dx}$ は、 $x(2x+1)^3$ です。 $\dfrac{dx}{dt}$ は\[ \dfrac{d}{dt}\left(\frac{t-1}{2}\right)=\dfrac{1}{2} \]です。

以上から、 $y$ を $t$ で微分した式がわかったので
\begin{eqnarray} y &=& \int \dfrac{dy}{dx}\cdot \dfrac{dx}{dt} dt \\[5pt] &=& \int x(2x+1)^3 \cdot \dfrac{1}{2} dt \\[5pt] &=& \int \frac{t-1}{2}\cdot t^3 \cdot \dfrac{1}{2} dt \\[5pt] &=& \frac{1}{4}\int (t^4-t^3) dt \\[5pt] &=& \frac{1}{4} \left(\frac{1}{5}t^5-\frac{1}{4}t^4\right) +C \\[5pt] &=& \frac{1}{4} \cdot \frac{t^4(4t-5)}{20} +C \\[5pt] &=& \frac{1}{80} \cdot (2x+1)^4 \{4(2x+1)-5\} +C \\[5pt] &=& \frac{(2x+1)^4(8x-1)}{80} +C \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

置換積分その1

先ほどの内容を、一般的な形でまとめましょう。

次のような不定積分\[ \int f(x) dx \]があったとしましょう。これをそのまま求めるのではなく、 $x=g(t)$ とおいて、 $t$ の積分に置き換えたいとしましょう。先ほどの例題では、 $x=\dfrac{t-1}{2}$ とおくと、被積分関数が計算しやすくなりましたが、こういう場合に置き換えたくなるわけです。

この不定積分を $y$ とおいて、これを $t$ で微分すれば、合成関数の微分の計算から
\begin{eqnarray} \dfrac{dy}{dt} &=& \dfrac{dy}{dx}\cdot \dfrac{dx}{dt} \\[5pt] &=& f(x) \cdot g'(t) \\[5pt] &=& f(g(t)) \cdot g'(t) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

よって、一般的に、以下の関係式が成り立ちます。

不定積分の置換積分その1
$x=g(t)$ で、 $g(t)$ が微分可能であるとき、\[ \int f(x) dx = \int f(g(t)) g'(t)dt \]

$x$ を $t$ の式で置き換える場合は、 被積分関数の $x$ を置き換えるだけでなく、 $dx$ を $g'(t)dt$ で置き換えないといけない、というのが注意点です。 $g'(t)$ の分だけズレるんですね。上の例題の(2)でも、 $\dfrac{1}{2}$ を掛ける場面がありましたが、そこがこの $g'(t)$ のところに対応します。

このように、変数を置き換えて積分することを、置換積分(ちかんせきぶん、integration by substitution) と呼びます。置換積分は、いくつかパターンがあるので、順番に見ていきましょう。

なお、「その1」と書いていますが、「その2」は、【基本】不定積分の置換積分(微分ごと置き換え)で見ることにします。

おわりに

ここでは、置換積分の一例を見ました。 $x=g(t)$ と置いたとき、被積分関数の $x$ を $g(t)$ で置き換え、 $dx$ を $g'(t)dt$ で置き換えて計算することができました。

ここで見た方法は、「計算が簡単になる」というレベルでしたが、今後は、置換積分を使いこなせないと解けない積分も出てきますので、順番にできるようになっていきましょう。

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