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【基本】不定積分の置換積分(微分ごと置き換え)

ここでは、微分ごと置き換える置換積分(不定積分)について見ていきます。なお、このページでは、 $C$ は積分定数を表します。

📘 目次

微分ごと置き換える置換積分

【基本】不定積分の置換積分(dxを置き換え)で見た、置換積分について振り返ってみましょう。

\[ \int f(x)dx \]という不定積分を計算したい場合に、 $x=g(t)$ というように、 $x$ を何か別の式で置き換えたいことがあるのでしたね。この不定積分を $t$ で微分すると、合成関数の微分により
\begin{eqnarray} \frac{d}{dt}\int f(x)dx &=& f(x)g'(t) \\[5pt] &=& f(g(t))g'(t) \end{eqnarray}となることから、\[ \int f(x)dx=\int f(g(t))g'(t)dt \]が成り立ちます。被積分関数の $x$ を $g(t)$ に置き換えるだけでなく、 $dx$ を $g'(t)dt$ で置き換えないといけません。

このように置き換えて積分する方法を置換積分と言いますが、置換積分にはもう一つの置き換え方があります。先ほどの式を、右辺から左辺に変形するやり方です。つまり、\[ \int f(g(t))g'(t)dt=\int f(x)dx \]と置き換えるやり方です。一般的に、計算したい積分の積分変数は $x$ で表されることが多いので、右辺の積分変数を $t$ から $x$ に変え、左辺と右辺の積分変数が同じだとややこしいので右辺の $x$ を別の文字の $u$ に変えた\[ \int f(g(x))g'(x)dx=\int f(u)du \]といった形で教科書などでは紹介されています。この場合、 $u=g(x)$ ということです。この変形を行う場合には、 $g(x)$ の部分を $u$ に置き換えるだけでなく、 $g'(x)dx$ を $du$ に置き換えている点に注意しましょう。

不定積分の置換積分その2
$u=g(x)$ で、 $g(x)$ が微分可能であるとき、\[ \int f(g(x)) g'(x)dx = \int f(u) du \]

ただ、これだけを見ても、はじめはまったく何のことかわからないでしょう。具体的な計算を通じて見ていきましょう。

置換積分の計算

例題
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int xe^{x^2} dx \]

この計算に、先ほど見た置換積分の計算が使えます。どのように使うか考えてみましょう。

まず、注目したいのは、 $e^{x^2}$ の指数の部分です。ここに $x^2$ があるとやっかいですね。ここが $e^u$ という形になっていれば計算しやすいです。なので、「 $u=x^2$ と置けたらいいな」と考えます。

しかし、変数が変わると、 $dx$ の部分も変えないといけないのでした。 $u=x^2$ とすると、 $(x^2)' dx$ を $du$ に置き換えないといけないのでしたね。つまり、 $2x dx$ を $du$ に置き換えないといけない、ということです。

よくて見ると、積分の $e^{x^2}$ 以外の部分に、 $x dx$ があり、ここの部分が使えそうだということがわかります。

以上を踏まえて、 $u=x^2$ として置換積分をすると
\begin{eqnarray} & & \int xe^{x^2} dx \\[5pt] &=& \int e^{x^2}\cdot \frac{1}{2}\cdot 2x dx \\[5pt] &=& \frac{1}{2}\int e^{x^2}\cdot (x^2)' dx \\[5pt] &=& \frac{1}{2}\int e^u du \\[5pt] &=& \frac{1}{2} e^u +C \\[5pt] &=& \frac{1}{2} e^{x^2} +C \\[5pt] \end{eqnarray}となります。実際に微分してみると、被積分関数になることが確かめられます。

2種類の置換積分について

置換積分は2種類あることを書きましたが、特に違いについて考える必要はありません。

積分変数が $x$ のとき、 $x=g(t)$ と置き換えたい( $x$ を別の文字の関数で置き換えたい)なら、 $dx$ を $g'(t)dt$ に置き換え、 $u=g(x)$ と置き換えたい( $x$ の関数を別の文字で置き換えたい)なら $g'(x)dx$ を $du$ と置き換えるようにします。 $g$ のあるほうに、 $g'$ をつけて変換するだけです。

説明上、分けて紹介していますが、「これは1つ目の置換積分だな」「こっちは2つ目の置換積分を使う」といったことは区別をする必要はありません。試験でも、どちらも「置換積分」とまとめて書いて問題ありません。

おわりに

ここでは、 $u=g(x)$ とおいて、 $g'(x)dx$ を $du$ に置換するタイプの置換積分を見ました。途中で具体的な計算も見ましたが、置換積分はしばらく計算練習をしてみないとよくわからないでしょう。特に、はじめはどのように置き換えたらいいのか、わからないことも多いです。

注目するべきなのは $g'(x)dx$ の部分です。どのように置くかは問題によって異なりますが、はじめは典型的な数種類を知っておくだけでいいでしょう。これからいくつかのパターンを見ていくことにします。

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