【応用】不定積分の置換積分(√(x^2+1) を含むものその1)

ここでは、 $\sqrt{x^2+1}$ の入った不定積分を、置換積分を用いて計算する方法について見ていきます。なお、このページでは、 $C$ は積分定数を表します。

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ルートを丸ごと置換する方法

例題
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int\frac{1}{x\sqrt{x^2+1}}dx \]

分母があまりきれいな形ではないので、分母を何か別の文字で置きたいですね。

いろいろ候補が考えられますが、ここでは、 $u=\sqrt{x^2+1}$ としてみましょう。右辺を微分すると\[ \frac{1}{2}\cdot(x^2+1)^{-\frac{1}{2}}\cdot (x^2+1)’=\frac{x}{\sqrt{x^2+1}} \]となります。よって、 $\dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}} dx$ を $du$ に置き換えることになります。分母はいいですが、分子の $x$ がないです。こういう場合は、分母・分子に $x$ を掛ければいいですね。【応用】不定積分の置換積分(分母に三角関数)でも使ったテクニックです。

もとの式を\[ \int \frac{x}{x^2\sqrt{x^2+1}}dx \]とし、 $du$ に置き換えると、分母の $x^2$ だけが残ってしまいます。ここを $u$ で表すと、 $u=\sqrt{x^2+1}$ なので、 $x^2=u^2-1$ となります。

よって、この不定積分は
\begin{eqnarray}
& &
\int\frac{1}{x\sqrt{x^2+1}}dx \\[5pt] &=&
\int \frac{1}{x^2} \cdot \frac{x}{\sqrt{x^2+1}}dx \\[5pt] &=&
\int \frac{1}{u^2-1}du \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\int \frac{1}{u-1}du-\frac{1}{2}\int \frac{1}{u+1}du \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log|u-1|-\frac{1}{2}\log|u+1|+C \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{x^2+1}-1}{\sqrt{x^2+1}+1}+C \\[5pt] \end{eqnarray}となります。途中の $u$ に関する不定積分は、部分分数分解を使っています。最後は、 $x^2+1\gt 1$ であることから、絶対値を外しています。

これを、例えば、 $u=x^2+1$ と置換すると、うまくいきません。この場合、 $2xdx$ を $du$ に置き換えることになりますが、この場合も分子に $x$ がないので、分母・分子に $x$ を掛けることになります。ただそうすると、分母に $(u-1)\sqrt{u}$ が残ってしまい、計算するのが難しくなります。ここで $\sqrt{u}$ を別の文字で置くなら、はじめから $\sqrt{x^2+1}$ を別の文字で置く、上のやり方をやったほうがいい、ということになります。

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tanを使った置換積分

先ほどの例題を、別の置換方法で見てみましょう。

例題
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int\frac{1}{x\sqrt{x^2+1}}dx \]

ここでは、 $x=\tan t$ $\left(-\frac{\pi}{2}\lt x \lt \frac{\pi}{2}\right)$ とおいて計算してみることにしましょう。このように $\sqrt{x^2+1}$ を含む積分では、 $\tan t$ に置き換えることで、計算できるものがあります(計算が楽になるとは限りませんが)。

$\tan t$ を微分すると $\dfrac{1}{\cos^2 t}$ となるので、 $dx$ を $\dfrac{dt}{\cos^2 t}$ に置き換えることになります。 $x$ の関数を別の文字に置き換えるのではなく、 $t$ の関数を $x$ と置き換えるので、置き換え方に注意しましょう。

また、三角関数の相互関係から、\[ \tan^2 t+1=\frac{1}{\cos^2 t} \]であり、今考えている範囲では $\cos^2 t\ \geqq 0$ なので、\[ \frac{1}{x\sqrt{x^2+1}}=\frac{1}{\tan t\cdot\frac{1}{\cos t}}=\frac{\cos^2 t}{\sin t} \]となります。よって
\begin{eqnarray}
& &
\int\frac{1}{x\sqrt{x^2+1}}dx \\[5pt] &=&
\int \frac{\cos^2 t}{\sin t} \cdot \dfrac{1}{\cos^2 t} dt \\[5pt] &=&
\int \frac{1}{\sin t} dt \\[5pt] \end{eqnarray}となります。この計算は、【応用】不定積分の置換積分(分母に三角関数)の1つ目と同じような計算で求められます。 $u=\cos t$ とすると、 $-\sin t dt$ を $du$ に置き換えればいいので、
\begin{eqnarray}
& &
\int \frac{1}{\sin t} dt \\[5pt] &=&
\int \frac{\sin t}{\sin^2 t} dt \\[5pt] &=&
\int \frac{\sin t}{1-\cos^2 t} dt \\[5pt] &=&
\int \frac{-1}{1-u^2} du \\[5pt] &=&
\int \frac{1}{u^2-1} du \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\int \frac{1}{u-1} du -\frac{1}{2}\int \frac{1}{u+1} du \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log|u-1|-\frac{1}{2}\log|u+1| +C \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log\frac{|u-1|}{|u+1|} +C \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log\frac{1-\cos t}{1+\cos t} +C \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、 $x=\tan t$ なので、 $1+x^2=\frac{1}{\cos^2 t}$ であり、今考えている範囲では $\cos t\gt 0$ なので、この不定積分は
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{2}\log\frac{1-\frac{1}{\sqrt{1+x^2}}}{1+\frac{1}{\sqrt{1+x^2}}} +C \\[5pt] &=&
\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{x^2+1}-1}{\sqrt{x^2+1}+1} +C \\[5pt] \end{eqnarray}となり、先ほどの結果と一致することがわかります。

$\sqrt{x^2+1}$ を含む積分では、 $x=\tan t$ $\left(-\frac{\pi}{2}\lt x \lt \frac{\pi}{2}\right)$ とおくと、 $dx$ を $\dfrac{dt}{\cos^2 t}$ に置き換えることになります。また、 $\sqrt{x^2+1}=\dfrac{1}{\cos t}$ となり、被積分関数を三角関数で置き換えて計算できるようになる場合があります。

おわりに

ここでは、 $\sqrt{x^2+1}$ を含んだ不定積分の計算を見ました。ここ全体を $u$ で置く方法と、 $x=\tan t$ と置く方法の2通りを見ました。どのように置換するかは一通りではなく、また、置換の仕方によっては計算できなかったり、計算量が増えてしまうこともあります。難しい不定積分の計算をマスターするには、基本的な置換方法だけでなく、いろんな置換方法を学んでいく必要があります。