【基本】弧度法を使ったおうぎ形の弧の長さと面積
ここでは、弧度法を使って、おうぎ形の弧の長さや面積を表す方法を見ていきます。
弧度法の復習
【基本】弧度法で見た通り、弧度法とは、弧の長さで角の大きさを表現する方法です。半径が $1$ のときの弧の長さで角度を表します。
弧度法では、一周は $2\pi$ ラジアンとなるのでした。半周の180°は $\pi$ ラジアン、直角は $\dfrac{1}{2}\pi$ ラジアンとなります。
単位の「ラジアン」は省略することが多いので、以下では省略することにします。
弧度法を使ったおうぎ形の弧の長さ
弧度法を使えば、おうぎ形の弧の長さはシンプルな式で求めることができます。というのも、そもそも、弧度法の基本単位が「弧の長さ」で定義されているからですね。
半径が $r$ で、中心角が $\theta$ のおうぎ形を考えます。 $\theta$ は弧度法で表した角です。
半径が $1$ のときは、中心角が $\theta$ のときのおうぎ形の弧の長さが $\theta$ となります。そのため、半径が $r$ ならば、これを $r$ 倍した $r\theta$ が弧の長さになります。
また、このように考えてもいいでしょう。弧の長さを $l$ とすると、\[ l:2\pi r=\theta:2\pi \]が成り立ちます。これから、\[ l=r\theta \]と書くことができます。
例えば、半径が $2$ で、中心角が $\dfrac{2}{3}\pi$ のおうぎ形の場合、弧の長さは、この2つを掛けて、 $\dfrac{4}{3}\pi$ となります。簡単ですね。
弧度法を使ったおうぎ形の面積
今度は、おうぎ形の面積を考えましょう。先ほどの弧の長さのときに見た、比を使う方法で考えてみましょう。
半径が $r$ で、中心角が $\theta$ のおうぎ形の面積を $S$ とします。もしおうぎ形ではなく円であれば、面積は $\pi r^2$ なので、比で考えると\[ S:\pi r^2=\theta:2\pi \]なので、これを $S$ について解くと\[S=\frac{1}{2}r^2\theta \]となります。
もちろんこれでもいいのですが、弧の長さの式を使ってさらに変形することもできます。弧の長さを $l$ とすると、 $l=r\theta$ なので、\[ S=\frac{1}{2}rl \]となります。
この式変形は単純ですが、よく見ると興味深い形をしています。三角形の面積の公式に似ていませんか? 底辺が弧の長さに、高さが半径に対応している、と考えれば、よく似た形をしていることがわかりますね。三角形の面積と関連させて覚えておくのもいいでしょう。
半径が $3$ で、中心角が $\dfrac{1}{3}\pi$ のおうぎ形の場合、面積は、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} \times 3^2 \times \frac{1}{3} \pi = \frac{3}{2}\pi
\end{eqnarray}となります。
まとめておきましょう。
\begin{eqnarray} l&=&r\theta \\[5pt] S&=&\frac{1}{2}r^2\theta = \frac{1}{2}rl \\[5pt] \end{eqnarray}
おわりに
ここでは、弧度法を使って、おうぎ形の弧の長さや面積を求める方法を見ました。シンプルな式で表現することができますね。度数法であれば、360°で割る計算が入ってくるので、それに比べればだいぶ見やすくなりますね(まー、その分、角度が見にくくなっているのですが)。