センター試験 数学I・数学A 2016年度 第1問 [2] 解説
問題編
問題
次の問いに答えよ。必要ならば、 $\sqrt{7}$ が無理数であることを用いてよい。
(1) A を有理数全体の集合、B を無理数全体の集合とする。空集合を $\varnothing$ と表す。
次の(i)~(iv)が真の命題になるように、 $\mybox{サ}$ ~$\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。(i) $A \ \myBox{サ} \ \{0\}$
(ii) $\sqrt{28} \ \myBox{シ} \ B$
(iii) $A = \{0\} \ \myBox{ス} \ A$
(iv) $\varnothing = A \ \myBox{セ} \ B$⓪$\in$ ①$\ni$ ②$\subset$ ③$\supset$ ④$\cap$ ⑤$\cup$
(2) 実数 x に対する条件 p,q,r を次のように定める。
p:x は無理数
q:$x+\sqrt{28}$ は有理数
r:$\sqrt{28}x$ は有理数次の $\mybox{ソ}$ 、 $\mybox{タ}$ に当てはまるものを、下の0~3のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
p は q であるための $\myBox{ソ}$ 。
p は r であるための $\myBox{タ}$ 。0: 必要十分条件である
1: 必要条件であるが、十分条件でない
2: 十分条件であるが、必要条件でない
3: 必要条件でも十分条件でもない
考え方
(1)は集合で使う記号について問う問題で、珍しいパターンです。
(2)は無理数・有理数に関する命題です。r を仮定したときに p が成り立つかどうか、が少し難しいかもしれません。一見、成り立ちそうですが、一つだけ例外があります。
解答編
問題
次の問いに答えよ。必要ならば、 $\sqrt{7}$ が無理数であることを用いてよい。
(1) A を有理数全体の集合、B を無理数全体の集合とする。空集合を $\varnothing$ と表す。
次の(i)~(iv)が真の命題になるように、 $\mybox{サ}$ ~$\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。(i) $A \ \myBox{サ} \ \{0\}$
(ii) $\sqrt{28} \ \myBox{シ} \ B$
(iii) $A = \{0\} \ \myBox{ス} \ A$
(iv) $\varnothing = A \ \myBox{セ} \ B$⓪$\in$ ①$\ni$ ②$\subset$ ③$\supset$ ④$\cap$ ⑤$\cup$
解説
簡単に記号の復習をしましょう。
$\in$ と $\ni$ は、「要素が集合に属する」ことを表すときに使います。線が開いている方に集合が来ます。$\subset$ と $\supset$ は、「ある集合が別の集合に含まれる」ことを表すときに使います。線が開いている方が「大きな集合」を表します。 $\cap$ は集合の共通部分、 $\cup$ は和集合を表します。
さて、これらをふまえて、各問題を見ていきましょう。
まず、(i)は、A が有理数の集合なので、0はこの集合に属します。ここで右側は「{0}」なので、要素ではなくて集合です。そのため、「$\supset$」が正解です。波かっこがなければ、要素だから $\ni$ が正解になるんですけどね。これは、引っかかる人がいたかもしれません。
(ii)は、$\sqrt{28}=2\sqrt{7}$ で無理数なので、無理数全体の集合 B に属します。これは、 $\in$ が正解です。
(iii)は、「かつ」か「または」を選ぶ問題ですね。0はAに属しているので、
「{0}かつA」なら「{0}」
「{0}またはA」なら「A」
となります。よって、「または」が正解です。$\cup$ ですね。
(iv)は、答えが空集合になるものなので、「A かつ B」とすればいいですね。よって、「かつ」、つまり、 $\cap$ が正解です。
解答
サ:3
シ:0
ス:5
セ:4
参考
解答編 つづき
問題
(2) 実数 x に対する条件 p,q,r を次のように定める。
p:x は無理数
q:$x+\sqrt{28}$ は有理数
r:$\sqrt{28}x$ は有理数次の $\mybox{ソ}$ 、 $\mybox{タ}$ に当てはまるものを、下の0~3のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
p は q であるための $\myBox{ソ}$ 。
p は r であるための $\myBox{タ}$ 。0: 必要十分条件である
1: 必要条件であるが、十分条件でない
2: 十分条件であるが、必要条件でない
3: 必要条件でも十分条件でもない
解説
十分条件か、必要条件かを考える問題です。
まず、「p:x は無理数」ならば「$q:x+\sqrt{28}$ は有理数」が成り立つか考えてみます。これは、例えば $x=-\sqrt{7}$ とすれば、成り立たないことがわかります。 $p \Rightarrow q$ は成り立ちません。
逆に、「$q:x+\sqrt{28}$は有理数」ならば「p:xは無理数」が成り立つかを考えます。もし $x+\sqrt{28}$ が有理数で x も有理数だと、「有理数+無理数=有理数」となります。1項目を右辺に持ってくると「無理数=有理数」となってしまうので矛盾します。よって、x は無理数、つまり $q\Rightarrow p$ が成り立ちます。
よって、「p は q が成り立つための必要条件であるが、十分条件でない」となります。
次に、「p:x は無理数」ならば「$r:\sqrt{28}x$ は有理数」が成り立つかを考えてみます。これは、例えば $x=\sqrt{2}$ とすれば、成り立たないことがわかります。 $p \Rightarrow r$ は成り立ちません。
一方、「$r:\sqrt{28}x$ は有理数」ならば「p:x は無理数」が成り立つかどうかについては、 $x=0$ の場合に成り立たないことがわかります。 $r \Rightarrow p$ も成り立ちません。
$x=0$ が唯一の反例です。こういった特殊なケースが反例になることが多いので、覚えておきましょう。
今までのことをまとめると、「p は r が成り立つための必要条件でも十分条件でもない」となります。
解答
ソ:1タ:3