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【基本】部分集合

【基本】集合とその表し方では、集合やその表し方、要素などについて見てきました。ここでは、2つの集合に対し、片方が片方を含む場合を見ていきます。この記事も、用語や記号の紹介がメインです。

📘 目次

導入

例えば、「日本にある都道府県の集合」というものを考えてみましょう。全部で47の要素からなる集合ですね。また、別の集合として、「関東にある都道府県の集合」も考えてみます。「茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県」からなる集合です。

当たり前ですが、「関東にある都道府県」は、「日本にある都道府県」でもあります。東京都も群馬県も、上にあげた7つの要素は、どれも日本にある都道府県ですね。

このように、ある集合のすべての要素が、もう片方の集合にも存在しているケースをこの記事では考えていきます。

含む

集合 A のすべての要素が、集合 B に属している場合、「AB含まれる(contained)」といいます。「BA を含む」ともいいます。

例えば、6の正の約数、12の正の約数、8の正の約数の集合を、それぞれ A, B, C とすると、
\begin{eqnarray} A&=&\{1,2,3,6\} \\ B&=&\{1,2,3,4,6,12\} \\ C&=&\{1,2,4,8\} \\ \end{eqnarray}となります。それぞれの要素を見ると、A の要素はすべて B に属しています。なので、集合 A は集合 B に含まれる、といえます。

一方、C の要素のうち、 1,2,4 は集合 B にありますが、8が集合 B にはありません。なので、集合 C は集合 B に含まれる、とはいえません。一部が属しているだけでは、「含む」とはいえません。

AB に含まれる」ことを、記号を用いて $A\subset B$ や $B\supset A$ と書きます。このような関係を包含関係(ほうがんかんけい)といいます。なお、含まれないときは $C \not \subset B$ と書きます。

部分集合

「集合 A が集合 B に含まれる」とき、つまり $A\subset B$ のとき、集合 A は集合 B部分集合(subset) といいます。また、使用頻度は低いですが、集合 B は集合 A の上位集合(superset) ということもあります。

少し変な書き方ですが $A\subset A$ が成り立ちます。 A の要素は、すべて A に属しているからです。

また $A\subset B$, $B\subset C$ が成り立っていたとします。このとき、集合 A のどの要素も集合 B に属していて、その要素は集合 C にも属しているため $A\subset C$ が成り立つことが分かります。

別のケースで、$A\subset B$, $B\subset A$ が成り立っている場合を考えましょう。このとき、A のどの要素も B に属していて、B のどの要素も A に属しているため、2つの集合は同じ内容になっています。集合の要素がすべて一致するときは $A=B$ と書きます。

$A\subset B$ で2つの集合が一致していないとき、つまり、B にはあるが A にはない要素がある場合は、AB真の部分集合(proper subset) と呼びます。「真の」というのは、部分集合を扱うときに、"一致しないこと"を強調したいときに使います。

空集合

集合を扱っていると、「要素がない集合」に出くわすことがあります。例えば、「偶数でもあり、奇数でもある数の集合」というのは、理論上考えることはできます。しかし、「偶数でもあり、奇数でもある数」なんてないので、この集合には要素がありません。

このように、一つも要素がない集合のことを、空集合(くうしゅうごう, empty set)といいます。数字の「0」にあたるものと考えることができます。

空集合は、記号では、$\varnothing$ と書きます。丸に斜線を入れて表します。

部分集合をすべて書き出してみよう

集合 $\{1,2\}$ の部分集合を具体的に考えてみましょう。

部分集合というのは、集合に含まれるものなので、$\{1\}$, $\{2\}$, $\{1,2\}$ があります。これらは、もとの集合に含まれているので、部分集合ですね。 $\{1,2\}$ もあることに注意しましょう。

実は、部分集合はもう一つあります。それは、先ほど見た、空集合です。空集合は、必ず部分集合になります。このように決めると、いろいろと都合がいい(例えば、【標準】集合の演算に関する性質#共通部分に関する性質など)のですが、今は「こういうルールなんだ」と考えておきましょう。

まとめると、集合 $\{1,2\}$ の部分集合は、$\varnothing$, $\{1\}$, $\{2\}$, $\{1,2\}$ の4つということです。

おわりに

ここでは、部分集合とそれにまつわる話を書きました。部分集合やその記号、空集合は今後数学を勉強していくうえでいろんなところで出てくるので、内容をおさえておきましょう。

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