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【基本】数学と日常における「または」の違い

【基本】共通部分と和集合で、和集合の説明をするときに、次のように書きました。

2つの集合 A, B の少なくとも一方に属している要素全体の集合を、和集合(union)といいます。「A の要素、または、B の要素」ということです。両方に属していてもいいです。

実は、この文中に出てくる「または」という言葉は少しやっかいで、日常生活で使うときと数学の世界で使うときとで、意味が違うことがあるんですね。この記事ではその違いについて説明します。

📘 目次

数学と日常における「または」の意味の違い

日常生活で、「または」を使う場合、ほとんどのケースでは、「どちらか片方だけ」の意味で使います。暗黙のうちに、「片方だけ」を前提にしています。

例えば、天丼セットに「そば、または、うどんがつきます」と書いてあれば、そばかうどんか片方だけを選ぶのが普通です。「そばとうどん、両方ついてくる選択肢もある」と思う人はいません。

しかし、数学の世界では、「A の要素、または、B の要素」というと、どちらの集合にも属する場合を含みます。日常生活で使う「または」とは違いがあります。

「または」に関する表現

「または」は数学と日常とで意味が異なるという話を書きました。まぎらわしいですね。

もう一度状況を整理しておきましょう。世の中には、次の4つのケースがありえます。

  • Xでもあり、Yでもある
  • Xではあるが、Yではない
  • Xではないが、Yではある
  • XでもYでもない

日常生活の「または」は、2つ目と3つ目を対象としていて、数学での「または」は、1つ目から3つ目までを対象としています。ただ、これだと誤解が生まれることがあるので、数学では、別の表現が使われることがあります。それが「少なくとも一方」という言葉です。

冒頭の文章を言い換えれば、「 $A,B$ の少なくとも一方に属する要素」といった言い方になります。これなら、A だけ、B だけ、AB 両方、この3パターンが含まれていることが明確になります。最低でも片方ならOK、両方でももちろんOKということです。

逆に、「両方の場合は除外したい」という場合、つまり、日常生活での使い方に寄せたい場合ですね。このときは、「どちらか一方のみ」という表現が使われます。冒頭の文章を言い換えれば、「$A,B$ のどちらか一方のみに属する要素」といった言い方になります。

なお、「両方のケースを含めるか含めないか」が文脈から明らかな場合は、「または」を使うことも多いです。

おわりに

「または」の意味の違いを見てきました。細かい話ではあるのですが、これによって文章の意味が異なってくる可能性があります。入試問題を解く場合でも、誤解によって致命傷を負うこともあります。文脈を正しく読み取りましょう。

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