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【標準】複素数平面と三角形の形状

ここでは、複素数平面で、与えられた条件から三角形の形状を求める問題を見ていきます。

📘 目次

複素数平面と三角形の形状

例題
複素数平面上の相異なる3点 $\mathrm{ A }(\alpha)$, $\mathrm{ B }(\beta)$, $\mathrm{ C }(\gamma)$ が次の式を満たすとき、三角形 ABC がどのような形の三角形か答えなさい。\[ (\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2=0 \]

「どのような形の三角形か」と聞かれた場合、答えの候補になるものは限られています。二等辺三角形、正三角形、直角三角形、直角二等辺三角形のどれかでしょう。条件式とこれらの三角形がどのように結びつくかを考えます。

漠然と条件式を眺めていてもなかなかひらめきにくいですね。逆に、何がわかれば、三角形の形状が特定できるかを考えてみましょう。そうすると、辺の長さや角度がわかればよさそうですね。辺の比が $1:2:\sqrt{3}$ になっているとか、角度が $45^{\circ}$, $45^{\circ}$, $90^{\circ}$ になっている、ということがわかれば、形状がわかります。

複素数平面では、何回か角度が登場してきました。そのときには、【基本】複素数の極形式と積で見たように、回転とセットになっていました。三角形の形状を考える場合にも、「点A を中心に、点 B をどのように拡大・縮小・回転すれば点 C に移動するか」などということを考えて、辺や角度を求めていきます。

そこで、【基本】複素数平面と2直線のなす角で見た内容を思い出しておきましょう。

複素数平面と2直線のなす角
$\mathrm{ A }(\alpha)$, $\mathrm{ B }(\beta)$, $\mathrm{ C }(\gamma)$ のとき、次が成り立つ。
\begin{eqnarray} \angle \mathrm{ BAC } &=& \arg\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \\[5pt] \frac{\mathrm{ AC } }{\mathrm{ AB } }&=& \left|\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}\right| \end{eqnarray}ただし、 $\angle \mathrm{ BAC }$ は、半直線 AB から反時計回りに半直線 AC を測った角のことを指すものとする。

これは、直線 AB と直線 AC のなす角を求めるときに使えますが、三角形の角の大きさを調べるときにも使えます。このことを応用して、例題を考えてみましょう。

上の式にある\[ \angle \mathrm{ BAC } = \arg\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \]をよく見てみると、条件式にも右辺の分母・分子と似ている形がありますね。右辺と似た分数が出てくるように変形してみましょう。両辺を $(\alpha-\beta)^2$ $(\ne 0)$ で割って整理していきます。
\begin{eqnarray} (\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2 &=& 0 \\[5pt] 1+\left(\frac{\beta-\gamma}{\alpha-\beta}\right)^2 &=& 0 \\[5pt] \left(\frac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta}\right)^2 &=& -1 \\[5pt] \frac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta} &=& \pm i \\[5pt] \end{eqnarray}左辺は、分母・分子の $\triangle-\square$ の $\square$ の部分が同じになるように変形しています。

最後の式の右辺は、絶対値が $1$ で、偏角は $\pm\dfrac{\pi}{2}$ です。一方、左辺の分母・分子は、点 B が原点に来るように平行移動したときに、点 A, C が移動する点を表しています。これらから、次が成り立つことがわかります。上の赤枠で囲った内容と点の対応が違っている点に注意しましょう。
\begin{eqnarray} \angle \mathrm{ ABC } &=& \pm\frac{\pi}{2} \\[5pt] \frac{\mathrm{ BC } }{\mathrm{ BA } }&=& 1 \end{eqnarray}ここの角度は、反時計回りを正の大きさとしています。このことから、三角形 ABC は、 $\mathrm{ AB=BC }$ の直角二等辺三角形であることがわかります。

このように、 $\dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}$ や $\dfrac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta}$ を調べることで、辺の長さや角の大きさについて調べることができます。これらは、「ある頂点を中心にして、別の頂点をどのように拡大・縮小・回転すれば、残りの頂点に移動するか」という考え方を利用しています。

おわりに

ここでは、複素数平面上で、条件式から三角形の形状を求める問題を見ました。辺の長さや角の大きさを調べるために、複素数の絶対値や偏角を調べればいいのでしたね。どの頂点を中心とした拡大・縮小・回転を考えているのか、間違えないようにしましょう。

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