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共通テスト 数学II・数学B 2021年度追試 第1問 [2] 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【必答問題】

問題編

問題

 座標平面上の原点を中心とする半径 $1$ の円周上に3点 $\mathrm{ P }(\cos\theta,\sin\theta)$, $\mathrm{ Q }(\cos\alpha, \sin\alpha)$, $\mathrm{ R }(\cos\beta,\sin\beta)$ がある、ただし、 $0\leqq \theta\lt \alpha\lt\beta\lt 2\pi$ とする。このとき、 $s$ と $t$ を次のように定める。
\begin{eqnarray} s &=& \cos\theta+\cos\alpha+\cos\beta \\[5pt] t &=& \sin\theta+\sin\alpha+\sin\beta \\[5pt] \end{eqnarray}

(1) $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形や二等辺三角形のときの $s$ と $t$ の値について考察しよう。

考察1
$\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形である場合を考える。

 この場合、 $\alpha$, $\beta$ を $\theta$ で表すと
\begin{eqnarray} \alpha &=& \theta+\dfrac{\myBox{シ} }{3}\pi \\[5pt] \beta &=& \theta+\dfrac{\myBox{ス} }{3}\pi \end{eqnarray}であり、加法定理により \begin{eqnarray} \cos\alpha &=& \dBox{セ} \\[5pt] \sin\alpha &=& \dBox{ソ} \end{eqnarray}である。同様に、 $\cos\beta$ および $\sin\beta$ を、 $\sin\theta$ と $\cos\theta$ を用いて表すことができる。

 これらのことから、 $s=t=\myBox{タ}$ である。

$\dbox{セ}, \dbox{ソ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)

 0: $\dfrac{1}{2}\sin\theta+\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 1: $\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta+\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 2: $\dfrac{1}{2}\sin\theta-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 3: $\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta-\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 4: $-\dfrac{1}{2}\sin\theta+\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 5: $-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta+\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 6: $-\dfrac{1}{2}\sin\theta-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 7: $-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta-\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 

考察2
$\triangle \mathrm{ PQR }$ が $\mathrm{ PQ=PR }$ となる二等辺三角形である場合を考える。

 例えば、点 P が直線 $y=x$ 上にあり、点 Q, R が直線 $y=x$ に関して対称であるときを考える。このとき、 $\theta=\dfrac{\pi}{4}$ である。また、 $\alpha$ は $\alpha\lt\dfrac{5}{4}\pi$, $\beta$ は $\dfrac{5}{4}\pi\lt\beta$ を満たし、点 Q, R の座標について、 $\sin\beta=\cos\alpha$, $\cos\beta=\sin\alpha$ が成り立つ。よって\[ s=t=\dfrac{\sqrt{\myBox{チ} }}{\myBox{ツ} }+\sin\alpha+\cos\alpha \]である。

 ここで、三角関数の合成により\[ \sin\alpha+\cos\alpha=\sqrt{\myBox{テ} } \sin\left(\alpha+\dfrac{\pi}{\myBox{ト} }\right) \]である。したがって\[ \alpha=\dfrac{\myBox{ナニ} }{12}\pi, \beta=\dfrac{\myBox{ヌネ} }{12}\pi \]のとき、 $s=t=0$ である。

(2) 次に、 $s$ と $t$ の値を定めたときの $\theta$, $\alpha$, $\beta$ の関係について考察しよう。

考察3
$s=t=0$ の場合を考える。

 この場合、 $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ により、 $\alpha$ と $\beta$ について考えると\[ \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta=\dfrac{\myBox{ノハ} }{\myBox{ヒ} } \]である。

 同様に、 $\theta$ と $\alpha$ について考えると\[ \cos\theta\cos\alpha+\sin\theta\sin\alpha=\dfrac{\mybox{ノハ} }{\mybox{ヒ} } \]であるから、 $\theta$, $\alpha$, $\beta$ の範囲に注意すると\[ \beta-\alpha=\alpha-\theta=\dfrac{\myBox{フ} }{\myBox{ヘ} }\pi \]という関係が得られる。

(3) これまでの考察を振り返ると、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{ホ}$ であることがわかる。

$\dbox{ホ}$ の解答群

 0: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形ならば $s=t=0$ であり、 $s=t=0$ ならば $\triangle \mathrm{ PQR }$ は正三角形である。

 1: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形ならば $s=t=0$ であるが、 $s=t=0$ であっても $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形でない場合がある。

 2: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形であっても $s=t=0$ でない場合があるが、 $s=t=0$ ならば $\triangle \mathrm{ PQR }$ は正三角形である。

 3: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形であっても $s=t=0$ でない場合があり、 $s=t=0$ であっても $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形でない場合がある。

考え方

図形と絡めた問題です。図形の知識はほとんどなくてもできますが、あるとさらに考えやすくなるかもしれません。誘導は丁寧です。

(3)は、(2)までの内容が解けていれば選べます。ただ、(1)の後半があるせいで、逆に少し迷ってしまうかもしれません。


解答編

問題

 座標平面上の原点を中心とする半径 $1$ の円周上に3点 $\mathrm{ P }(\cos\theta,\sin\theta)$, $\mathrm{ Q }(\cos\alpha, \sin\alpha)$, $\mathrm{ R }(\cos\beta,\sin\beta)$ がある、ただし、 $0\leqq \theta\lt \alpha\lt\beta\lt 2\pi$ とする。このとき、 $s$ と $t$ を次のように定める。
\begin{eqnarray} s &=& \cos\theta+\cos\alpha+\cos\beta \\[5pt] t &=& \sin\theta+\sin\alpha+\sin\beta \\[5pt] \end{eqnarray}

(1) $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形や二等辺三角形のときの $s$ と $t$ の値について考察しよう。

考察1
$\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形である場合を考える。

 この場合、 $\alpha$, $\beta$ を $\theta$ で表すと
\begin{eqnarray} \alpha &=& \theta+\dfrac{\myBox{シ} }{3}\pi \\[5pt] \beta &=& \theta+\dfrac{\myBox{ス} }{3}\pi \end{eqnarray}であり、加法定理により \begin{eqnarray} \cos\alpha &=& \dBox{セ} \\[5pt] \sin\alpha &=& \dBox{ソ} \end{eqnarray}である。同様に、 $\cos\beta$ および $\sin\beta$ を、 $\sin\theta$ と $\cos\theta$ を用いて表すことができる。

 これらのことから、 $s=t=\myBox{タ}$ である。

$\dbox{セ}, \dbox{ソ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)

 0: $\dfrac{1}{2}\sin\theta+\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 1: $\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta+\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 2: $\dfrac{1}{2}\sin\theta-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 3: $\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta-\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 4: $-\dfrac{1}{2}\sin\theta+\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 5: $-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta+\dfrac{1}{2}\cos\theta$

 6: $-\dfrac{1}{2}\sin\theta-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta$

 7: $-\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta-\dfrac{1}{2}\cos\theta$

解説

$\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形のときは、次のような状況になっています。

三角形 OPQ, 三角形 OQR, 三角形 ORP は互いに合同なので、\[ \alpha=\theta+\dfrac{2}{3}\pi,\ \beta=\theta+\dfrac{4}{3}\pi \]という関係式が成り立ちます。

加法定理から
\begin{eqnarray} \cos\alpha &=& \cos\left(\theta+\dfrac{2}{3}\pi\right) \\[5pt] &=& \cos\theta\cos\frac{2}{3}\pi-\sin\theta\sin\frac{2}{3}\pi \\[5pt] &=& -\frac{1}{2}\cos\theta-\frac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta \\[5pt] &=& -\frac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta-\frac{1}{2}\cos\theta \\[5pt] \end{eqnarray}となり、 \begin{eqnarray} \sin\alpha &=& \sin\left(\theta+\dfrac{2}{3}\pi\right) \\[5pt] &=& \sin\theta\cos\frac{2}{3}\pi+\cos\theta\sin\frac{2}{3}\pi \\[5pt] &=& -\frac{1}{2}\sin\theta+\frac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

同様に
\begin{eqnarray} \cos\beta &=& \cos\left(\theta+\dfrac{4}{3}\pi\right) \\[5pt] &=& \cos\theta\cos\frac{4}{3}\pi-\sin\theta\sin\frac{4}{3}\pi \\[5pt] &=& -\frac{1}{2}\cos\theta+\frac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta \\[5pt] \end{eqnarray}であり、 \begin{eqnarray} \sin\beta &=& \sin\left(\theta+\dfrac{4}{3}\pi\right) \\[5pt] &=& \sin\theta\cos\frac{4}{3}\pi+\cos\theta\sin\frac{4}{3}\pi \\[5pt] &=& -\frac{1}{2}\sin\theta-\frac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

以上から
\begin{eqnarray} s &=& \cos\theta + \cos\alpha + \cos\beta \\[5pt] &=& \cos\theta +\left(-\frac{1}{2}\cos\theta-\frac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta\right) +\left(-\frac{1}{2}\cos\theta+\frac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta\right) \\[5pt] &=& 0 \end{eqnarray}となり、 \begin{eqnarray} t &=& \sin\theta + \sin\alpha + \sin\beta \\[5pt] &=& \sin\theta +\left(-\frac{1}{2}\sin\theta+\frac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta\right) +\left(-\frac{1}{2}\sin\theta-\frac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta\right) \\[5pt] &=& 0 \end{eqnarray}と求められます。

なお、図形的には、点 $\left(\dfrac{s}{3}, \dfrac{t}{3}\right)$ は三角形 PQR の重心の座標のことであり、正三角形なら重心と外心が一致することから、 $s=t=0$ になると考えることもできます。

解答

シ:2
ス:4
セ:7
ソ:4
タ:0

解答編 つづき

考察2
$\triangle \mathrm{ PQR }$ が $\mathrm{ PQ=PR }$ となる二等辺三角形である場合を考える。

 例えば、点 P が直線 $y=x$ 上にあり、点 Q, R が直線 $y=x$ に関して対称であるときを考える。このとき、 $\theta=\dfrac{\pi}{4}$ である。また、 $\alpha$ は $\alpha\lt\dfrac{5}{4}\pi$, $\beta$ は $\dfrac{5}{4}\pi\lt\beta$ を満たし、点 Q, R の座標について、 $\sin\beta=\cos\alpha$, $\cos\beta=\sin\alpha$ が成り立つ。よって\[ s=t=\dfrac{\sqrt{\myBox{チ} }}{\myBox{ツ} }+\sin\alpha+\cos\alpha \]である。

 ここで、三角関数の合成により\[ \sin\alpha+\cos\alpha=\sqrt{\myBox{テ} } \sin\left(\alpha+\dfrac{\pi}{\myBox{ト} }\right) \]である。したがって\[ \alpha=\dfrac{\myBox{ナニ} }{12}\pi, \beta=\dfrac{\myBox{ヌネ} }{12}\pi \]のとき、 $s=t=0$ である。

解説

この場合、図は次のようになっています。

このとき
\begin{eqnarray} s &=& \cos\theta + \cos\alpha + \cos\beta \\[5pt] &=& \cos\frac{\pi}{4} + \cos\alpha + \sin\alpha \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{2} }{2} + \sin\alpha + \cos\alpha \\[5pt] \end{eqnarray}であり、 \begin{eqnarray} t &=& \sin\theta + \sin\alpha + \sin\beta \\[5pt] &=& \sin\frac{\pi}{4} + \sin\alpha + \cos\alpha \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{2} }{2} + \sin\alpha + \cos\alpha \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。

三角関数の合成から
\begin{eqnarray} \sin\alpha+\cos\alpha &=& \sqrt{2}\left(\frac{\sqrt{2} }{2}\sin\alpha+\frac{\sqrt{2} }{2}\cos\alpha\right) \\[5pt] &=& \sqrt{2}\left(\sin\alpha\cos\frac{\pi}{4}+\cos\alpha\sin\frac{\pi}{4}\right) \\[5pt] &=& \sqrt{2}\sin\left(\alpha+\frac{\pi}{4}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}と変形できます。

最後に、これを使って $s=t=0$ になる場合を求めましょう。
\begin{eqnarray} \frac{\sqrt{2} }{2} + \sin\alpha + \cos\alpha &=& 0 \\[5pt] \frac{\sqrt{2} }{2} + \sqrt{2}\sin\left(\alpha+\frac{\pi}{4}\right) &=& 0 \\[5pt] \sin\left(\alpha+\frac{\pi}{4}\right) &=& -\frac{1}{2} \\[5pt] \end{eqnarray}であり、 $\dfrac{\pi}{4}\lt\alpha\lt\dfrac{5}{4}\pi$ なので、これが成り立つのは $\alpha+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{7}{6}\pi$ のときだけです。よって、\[ \alpha=\frac{7}{6}\pi-\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{11}{12}\pi \]となります。

このときの $\beta$ は、 $\dfrac{\alpha+\beta}{2}=\dfrac{5}{4}\pi$ なので\[ \beta=\frac{5}{2}\pi-\frac{11}{12}\pi=\frac{19}{12}\pi \]と求められます。

解答

チツ:22
テト:24
ナニヌネ:1119

解答編 つづき

(2) 次に、 $s$ と $t$ の値を定めたときの $\theta$, $\alpha$, $\beta$ の関係について考察しよう。

考察3
$s=t=0$ の場合を考える。

 この場合、 $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ により、 $\alpha$ と $\beta$ について考えると\[ \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta=\dfrac{\myBox{ノハ} }{\myBox{ヒ} } \]である。

 同様に、 $\theta$ と $\alpha$ について考えると\[ \cos\theta\cos\alpha+\sin\theta\sin\alpha=\dfrac{\mybox{ノハ} }{\mybox{ヒ} } \]であるから、 $\theta$, $\alpha$, $\beta$ の範囲に注意すると\[ \beta-\alpha=\alpha-\theta=\dfrac{\myBox{フ} }{\myBox{ヘ} }\pi \]という関係が得られる。

解説

$s=t=0$ のとき、 $\cos\theta=-\cos\alpha-\cos\beta$, $\sin\theta=-\sin\alpha-\sin\beta$ が成り立つので
\begin{eqnarray} \sin^2\theta+\cos^2\theta &=& 1 \\[5pt] (-\sin\alpha-\sin\beta)^2+(-\cos\alpha-\cos\beta)^2 &=& 1 \\[5pt] \end{eqnarray}が成り立ちます。 $\sin^2\alpha+\cos^2\alpha=1$, $\sin^2\beta+\cos^2\beta=1$ であることも使えば、この式を展開して計算すると \begin{eqnarray} 2+2\sin\alpha\sin\beta+2\cos\alpha\cos\beta &=& 1 \\[5pt] \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta &=& -\dfrac{1}{2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

同様に計算すれば\[ \cos\theta\cos\alpha+\sin\theta\sin\alpha=-\dfrac{1}{2} \]となることもわかります。

ここで
\begin{eqnarray} \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta &=& -\dfrac{1}{2} \\[5pt] \cos(\alpha-\beta) &=& -\dfrac{1}{2} \\[5pt] \cos(\beta-\alpha) &=& -\dfrac{1}{2} \end{eqnarray}が成り立ち、同様に $\cos(\alpha-\theta) = -\dfrac{1}{2}$ も成り立ちます。

$\beta-\alpha\gt 0$, $\alpha-\theta\gt 0$ なので、 $\beta-\alpha$ や $\alpha-\theta$ の値は、 $\dfrac{2}{3}\pi$ や $\dfrac{4}{3}\pi$ などの候補がありますが、 $\theta\gt 0$ で $\beta\lt 2\pi$ であることから、\[ \beta-\alpha=\alpha-\theta=\dfrac{2}{3}\pi \]しかありえないことがわかります。

解答

ノハヒ:-12
フヘ:23

解答編 つづき

(3) これまでの考察を振り返ると、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{ホ}$ であることがわかる。

$\dbox{ホ}$ の解答群

 0: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形ならば $s=t=0$ であり、 $s=t=0$ ならば $\triangle \mathrm{ PQR }$ は正三角形である。

 1: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形ならば $s=t=0$ であるが、 $s=t=0$ であっても $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形でない場合がある。

 2: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形であっても $s=t=0$ でない場合があるが、 $s=t=0$ ならば $\triangle \mathrm{ PQR }$ は正三角形である。

 3: $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形であっても $s=t=0$ でない場合があり、 $s=t=0$ であっても $\triangle \mathrm{ PQR }$ が正三角形でない場合がある。

解説

(1)の前半で見た通り、三角形 PQR が正三角形なら $s=t=0$ が成り立ちます。

一方、(2)で見た通り、 $s=t=0$ なら $\beta-\alpha=\alpha-\theta=\dfrac{2}{3}\pi$ となるしかありません。このとき、三角形 OPQ, 三角形 OQR, 三角形 ORP は互いに合同なので、三角形 PQR は正三角形になります。

よって、選択肢 0 が正しいことがわかります。

なお、(1)の後半をどうとらえればいいか少しわかりにくいかもしれません。(1)の後半部分は、 $\triangle \mathrm{ PQR }$ が二等辺三角形となる場合として、$\theta=\dfrac{\pi}{4}$ で、直線 $y=x$ について対称な場合を考えると、 $s=t=0$ なら $\alpha=\dfrac{11}{12}\pi$, $\beta=\dfrac{19}{12}\pi$ になる、ということでした。このとき $\beta-\alpha=\alpha-\theta=\dfrac{2}{3}\pi$ が成り立つので、結局、正三角形になってしまう、という例になっています。つまり、二等辺三角形のケースで「 $s=t=0$ だが正三角形ではない例」が作れるか考えてみたけど作れなかった、ということです。分数のせいで、少し正三角形だと気づきにくいかもしれません。

解答

ホ:0

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