共通テスト 数学II・数学B 2018年度プレテスト 第4問 解説
2018年11月に実施された、大学入試共通テスト導入に向けたプレテストの問題です。元の資料をできる限り再現していますが、一部でレイアウトが変わっています。画像は、大学入試センターのサイトから取得しています。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
問題編
問題
太郎さんと花子さんは、数列の漸化式に関する問題A、問題Bについて話している。二人の会話を読んで、下の問いに答えよ。
(1)
問題A
次のように定められた数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
\begin{eqnarray} & & a_1=6, \\[5pt] & & a_{n+1}=3a_n-8 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}
- これは前に授業で学習した漸化式の問題だね。まず、 $k$ を定数として、 $a_{n+1}=3a_n-8$ を $a_{n+1}-k=3(a_n-k)$ の形に変形するといいんだよね。
- そうだね。そうすると公比が $3$ の等比数列に結び付けられるね。
(i) $k$ の値を求めよ。\[ k=\myBox{ア} \]
(ii) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。\[ a_n=\myBox{イ} \cdot \myBox{ウ}^{n-1} +\myBox{エ} \]
(2)
問題B
次のように定められた数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
\begin{eqnarray} & & b_1=4, \\[5pt] & & b_{n+1}=3b_n-8n+6 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}
- 求め方の方針が立たないよ。
- そういうときは、 $n=1,2,3$ を代入して具体的な数列の様子をみてみよう。
- $b_2=10$, $b_3=20$, $b_4=42$ となったけど…。
- 階差数列を考えてみたらどうかな。
数列 $\{b_n\}$ の階差数列 $\{p_n\}$ を、 $p_n=b_{n+1}-b_n$ $(n=1,2,3,\cdots)$ と定める。
(i) $p_1$ の値を求めよ。\[ p_1=\myBox{オ} \]
(ii) $p_{n+1}$ を $p_n$ を用いて表せ。\[ p_{n+1}=\myBox{カ}p_n-\myBox{キ} \]
(iii) 数列 $\{p_n\}$ の一般項を求めよ。\[ p_n=\myBox{ク}\cdot\myBox{ケ}^{n-1}+\myBox{コ} \]
(3) 二人は問題Bについて引き続き会話をしている。
- 解ける道筋はついたけれど、漸化式で定められた数列の一般項の求め方は一通りではないと先生もおっしゃっていたし、他のやり方も考えてみようよ。
- でも、授業で学習した問題は、問題Aのタイプだけだよ。
- では、問題Aの式変形の考え方を問題Bに応用してみようよ。問題Bの漸化式 $b_{n+1}=3b_n-8n+6$ を、定数 $s,t$ を用いて\[ \myBox{サ}=3\left(\myBox{シ}\right) \]の式に変形してはどうかな。
(i) $q_n=\myBox{シ}$ とおくと、太郎さんの変形により数列 $\{q_n\}$ が公比 $3$ の等比数列とわかる。このとき、 $\myBox{サ}$, $\myBox{シ}$ に当てはまる式を、次の 0 ~ 3 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを選んでもよい。
0: $b_n+sn+t$
1: $b_{n+1}+sn+t$
2: $b_n+s(n+1)+t$
3: $b_{n+1}+s(n+1)+t$
(ii) $s,t$ の値を求めよ。\[ s=\myBox{スセ},\ t=\myBox{ソ} \]
(4) 問題Bの数列は、(2)の方法でも(3)の方法でも一般項を求めることができる。数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。\[ b_n=\myBox{タ}^{n-1}+\myBox{チ}n-\myBox{ツ} \]
(5) 次のように定められた数列 $\{c_n\}$ がある。
\begin{eqnarray} & & c_1=16, \\[5pt] & & c_{n+1}=3c_n-4n^2-4n-10 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。 \begin{eqnarray} c_n = \myBox{テ} \cdot \myBox{ト}^{n-1}+\myBox{ナ}n^2+\myBox{ニ}n+\myBox{ヌ} \end{eqnarray}
考え方
誘導は丁寧ですが、(3)の解き方はあまり慣れていない人もいるかもしれません。しかし、最後の(5)ではこの方法を応用するか、ヘビーな計算を頑張る方法か、どちらかを選択することになります。どのように解けばいいかは、それまでの流れから予想しやすいですが、答えを出すまでの道のりはハードです。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
解答編
問題
太郎さんと花子さんは、数列の漸化式に関する問題A、問題Bについて話している。二人の会話を読んで、下の問いに答えよ。
(1)
問題A
次のように定められた数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
\begin{eqnarray} & & a_1=6, \\[5pt] & & a_{n+1}=3a_n-8 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}
- これは前に授業で学習した漸化式の問題だね。まず、 $k$ を定数として、 $a_{n+1}=3a_n-8$ を $a_{n+1}-k=3(a_n-k)$ の形に変形するといいんだよね。
- そうだね。そうすると公比が $3$ の等比数列に結び付けられるね。
(i) $k$ の値を求めよ。\[ k=\myBox{ア} \]
(ii) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。\[ a_n=\myBox{イ} \cdot \myBox{ウ}^{n-1} +\myBox{エ} \]
解説
$a_{n+1}=3a_n-8$ から $a_{n+1}-k=3(a_n-k)$ を辺々引くと $k=3k-8$ が得られます(漸化式の $a_{n+1},a_n$ を両方 $k$ に置き換えた式です)。これを解いて、 $k=4$ が得られます。
$a_{n+1}-4=3(a_n-4)$ が成り立つので、数列 $\{a_n-4\}$ は、初項が $a_1-4=2$ で、公比が $3$ の等比数列だから $a_n-4=2\cdot 3^{n-1}$ となります。これより、\[ a_n=2\cdot 3^{n-1}+4 \]が成り立ちます。
解答
ア:4
イウエ:234
解答編 つづき
問題
(2)
問題B
次のように定められた数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
\begin{eqnarray} & & b_1=4, \\[5pt] & & b_{n+1}=3b_n-8n+6 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}
- 求め方の方針が立たないよ。
- そういうときは、 $n=1,2,3$ を代入して具体的な数列の様子をみてみよう。
- $b_2=10$, $b_3=20$, $b_4=42$ となったけど…。
- 階差数列を考えてみたらどうかな。
数列 $\{b_n\}$ の階差数列 $\{p_n\}$ を、 $p_n=b_{n+1}-b_n$ $(n=1,2,3,\cdots)$ と定める。
(i) $p_1$ の値を求めよ。\[ p_1=\myBox{オ} \]
(ii) $p_{n+1}$ を $p_n$ を用いて表せ。\[ p_{n+1}=\myBox{カ}p_n-\myBox{キ} \]
(iii) 数列 $\{p_n\}$ の一般項を求めよ。\[ p_n=\myBox{ク}\cdot\myBox{ケ}^{n-1}+\myBox{コ} \]
解説
$p_n=b_{n+1}-b_n$ なので
\begin{eqnarray}
p_1=b_2-b_1=10-4=6
\end{eqnarray}です。
また、
\begin{eqnarray}
& &
p_{n+1} \\[5pt]
&=&
b_{n+2}-b_{n+1} \\[5pt]
&=&
\{3b_{n+1}-8(n+1)+6\} \\
& & -(3b_n-8n+6) \\[5pt]
&=&
3(b_{n+1}-b_n)-8 \\[5pt]
&=&
3p_n-8 \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立ちます。
これより、数列 $\{p_n\}$ は、(1)で求めた数列 $\{a_n\}$ と同じであることがわかるので、\[ p_n=2\cdot 3^{n-1}+4 \]であることがわかります。
解答
オ:6
カキ:38
クケコ:234
解答編 つづき
問題
(3) 二人は問題Bについて引き続き会話をしている。
- 解ける道筋はついたけれど、漸化式で定められた数列の一般項の求め方は一通りではないと先生もおっしゃっていたし、他のやり方も考えてみようよ。
- でも、授業で学習した問題は、問題Aのタイプだけだよ。
- では、問題Aの式変形の考え方を問題Bに応用してみようよ。問題Bの漸化式 $b_{n+1}=3b_n-8n+6$ を、定数 $s,t$ を用いて\[ \myBox{サ}=3\left(\myBox{シ}\right) \]の式に変形してはどうかな。
(i) $q_n=\myBox{シ}$ とおくと、太郎さんの変形により数列 $\{q_n\}$ が公比 $3$ の等比数列とわかる。このとき、 $\myBox{サ}$, $\myBox{シ}$ に当てはまる式を、次の 0 ~ 3 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを選んでもよい。
0: $b_n+sn+t$
1: $b_{n+1}+sn+t$
2: $b_n+s(n+1)+t$
3: $b_{n+1}+s(n+1)+t$
(ii) $s,t$ の値を求めよ。\[ s=\myBox{スセ},\ t=\myBox{ソ} \]
解説
\[ \myBox{サ}=3\left(\myBox{シ}\right) \]について考えます。
サには $q_{n+1}$ が入り、シには $q_n$ が入ります。シに入る式の $n$ の部分をすべて $n+1$ にしたものがサに入るので、\[ b_{n+1}+s(n+1)+t = 3(b_n+sn+t) \]の式に変形するといいことがわかります。
これから $b_{n+1}=3b_n-8n+6$ を辺々引くと
\begin{eqnarray}
s(n+1)+t &=& 3sn+3t+8n-6 \\[5pt]
sn-3sn-8n &=& 3t-6-s-t \\[5pt]
n(-2s-8) &=& 2t-s-6 \\[5pt]
\end{eqnarray}が得られます。これがすべての $n$ について成り立つので、 $-2s-8=0$ , $2t-s-6=0$ が成り立ちます。これより、 $s=-4$, $t=1$ が得られます。
解答
サシ:30
スセソ:-41
解答編 つづき
問題
(4) 問題Bの数列は、(2)の方法でも(3)の方法でも一般項を求めることができる。数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。\[ b_n=\myBox{タ}^{n-1}+\myBox{チ}n-\myBox{ツ} \]
解説
(2)の方法で解いてみます(後で、(3)の方法でも解きます)。
$n\geqq 2$ のとき
\begin{eqnarray}
& &
b_n \\[5pt]
&=&
b_1+\sum_{k=1}^{n-1}p_k \\[5pt]
&=&
4+\sum_{k=1}^{n-1} (2\cdot 3^{k-1}+4) \\[5pt]
&=&
4+\frac{2(3^{n-1}-1)}{3-1}+4(n-1) \\[5pt]
&=&
4+3^{n-1}-1+4n-4 \\[5pt]
&=&
3^{n-1}+4n-1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。この式は $n=1$ のとき $4$ なので、 $n=1$ のときも成り立ちます。こうして、\[ b_n=3^{n-1}+4n-1 \]と求められます。
次に、(3)の方法でも解いてみましょう。\[ b_{n+1}-4(n+1)+1 = 3(b_n-4n+1) \]が成り立つので、数列 $\{b_n-4n+1\}$ は、初項が $4-4+1=1$ で、公比が $3$ の等比数列だから\[ b_n-4n+1=3^{n-1} \]が成り立ちます。こうして\[ b_n=3^{n-1}+4n-1 \]と求められます。
当たり前ですが、どちらで解いても同じ答えになります。
解答
タチツ:341
解答編 つづき
問題
(5) 次のように定められた数列 $\{c_n\}$ がある。
\begin{eqnarray} & & c_1=16, \\[5pt] & & c_{n+1}=3c_n-4n^2-4n-10 \quad(n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray}数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。 \begin{eqnarray} c_n = \myBox{テ} \cdot \myBox{ト}^{n-1}+\myBox{ナ}n^2+\myBox{ニ}n+\myBox{ヌ} \end{eqnarray}
解説
(2)の方法でも、(3)の方法でも、どちらでも解けます。ただ、(2)だと、階差数列を2回考えることになり、計算が大変なので、(3)の方法で考えましょう。
今回は、漸化式に $n^2$ の項もあるので、 $r_n=c_n+xn^2+yn+z$ とおいて、 $r_{n+1}=3r_n$ を満たすような $x,y,z$ を求めてみます。
\begin{eqnarray}
& &
r_{n+1}-3r_n \\[5pt]
&=&
c_{n+1}+x(n+1)^2+y(n+1)+z \\
& & -3\{ c_n+xn^2+yn+z \} \\[5pt]
&=&
c_{n+1}-3c_n \\
& & +x(n+1)^2 -3x^2 \\
& & +y(n+1)-3yn \\
& & +z-3z \\[5pt]
&=&
-4n^2-4n-10 \\
& & -2xn^2+2xn+x \\
& & -2yn+y \\
& & -2z \\[5pt]
&=&
(-4-2x)n^2 \\
& & +(-4+2x-2y)n \\
& & +(-10+x+y-2z)
\end{eqnarray}これがすべての $n$ について $0$ になるので、 $-4-2x=0$, $-4+2x-2y=0$, $-10+x+y-2z=0$ が成り立ちます。これらを解いて、 $x=-2$, $y=-4$, $z=-8$ となります。
この計算から、数列 $\{c_n-2n^2-4n-8\}$ は、初項が $16-2-4-8=2$ で公比が $3$ の等比数列なので、\[ c_n-2n^2-4n-8=2\cdot 3^{n-1} \]が成り立ちます。よって、\[ c_n=2\cdot 3^{n-1}+2n^2+4n+8 \]と求められます。
解答
テトナニヌ:23248