共通テスト 数学I・数学A 2021年度 第1問 [1] 解説
【必答問題】
問題編
問題
$c$ を正の整数とする。 $x$ の2次方程式\[ 2x^2+(4c-3)x+2c^2-c-11=0 \quad \cdots ① \]について考える。
(1) $c=1$ のとき、①の左辺を因数分解すると\[ \left(\myBox{ア}x+\myBox{イ}\right)\left(x-\myBox{ウ}\right) \]であるから、①の解は\[ x=-\frac{\mybox{イ} }{\mybox{ア} },\ \mybox{ウ} \]である。
(2) $c=2$ のとき、①の解は\[x=\frac{-\myBox{エ}\pm\sqrt{\myBox{オカ} }}{\myBox{キ} }\]であり、大きい方の解を $\alpha$ とすると\[ \frac{5}{\alpha}=\frac{\myBox{ク}+\sqrt{\myBox{ケコ} }}{\myBox{サ} } \]である。また、 $m\lt \dfrac{5}{\alpha} \lt m+1$ を満たす整数 $m$ は $\myBox{シ}$ である。
(3) 太郎さんと花子さんは、①の解について考察している。
- ①の解は $c$ の値によって、ともに有理数である場合もあれば、ともに無理数である場合もあるね。 $c$ がどのような値のときに、解は有理数になるのかな。
- 2次方程式の解の公式の根号の中に着目すればいいんじゃないかな。
①の解が異なる二つの有理数であるような正の整数 $c$ の個数は $\myBox{ス}$ 個である。
考え方
(2)の後半で、 $m$ が何を表しているかわかりづらいかもしれません。具体例で考えると、 $m=1$ なら $\dfrac{5}{\alpha}$ が $1$ と $2$ の間にあることを示しています。つまり、 $m$ は整数部分に対応していると考えられます。
(3)は花子さんの発言をヒントに考えていきましょう。
解答編
問題
$c$ を正の整数とする。 $x$ の2次方程式\[ 2x^2+(4c-3)x+2c^2-c-11=0 \quad \cdots ① \]について考える。
(1) $c=1$ のとき、①の左辺を因数分解すると\[ \left(\myBox{ア}x+\myBox{イ}\right)\left(x-\myBox{ウ}\right) \]であるから、①の解は\[ x=-\frac{\mybox{イ} }{\mybox{ア} },\ \mybox{ウ} \]である。
解説
$c=1$ を①へ代入すると
\begin{eqnarray}
2x^2+(4-3)x+2-1-11 &=& 0 \\[5pt]
2x^2+x-10 &=& 0 \\[5pt]
(2x+5)(x-2) &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}なので、解は $x=-\dfrac{5}{2}, 2$ となります。
解答
アイ:25
ウ:2
解答編 つづき
問題
(2) $c=2$ のとき、①の解は\[x=\frac{-\myBox{エ}\pm\sqrt{\myBox{オカ} }}{\myBox{キ} }\]であり、大きい方の解を $\alpha$ とすると\[ \frac{5}{\alpha}=\frac{\myBox{ク}+\sqrt{\myBox{ケコ} }}{\myBox{サ} } \]である。また、 $m\lt \dfrac{5}{\alpha} \lt m+1$ を満たす整数 $m$ は $\myBox{シ}$ である。
解説
$c=2$ を代入すると
\begin{eqnarray}
2x^2+(8-3)x+8-2-11 &=& 0 \\[5pt]
2x^2+5x-5 &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。解の公式から、
\begin{eqnarray}
x &=& \frac{-5\pm\sqrt{5^2-4\cdot 2\cdot (-5)} }{4} \\[5pt]
&=& \frac{-5\pm\sqrt{25+40} }{4} \\[5pt]
&=& \frac{-5\pm\sqrt{65} }{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
大きい方の解を $\alpha$ とすると
\begin{eqnarray}
\frac{5}{\alpha}
&=&
5\cdot \frac{4}{-5+\sqrt{65} } \\[5pt]
&=&
5\cdot \frac{4(5+\sqrt{65})}{(-5+\sqrt{65})(5+\sqrt{65})} \\[5pt]
&=&
\frac{20(5+\sqrt{65})}{40} \\[5pt]
&=&
\frac{5+\sqrt{65} }{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
$m\lt\dfrac{5}{\alpha} \lt m+1$ を満たす整数 $m$ とは、結局、 $\dfrac{5}{\alpha}$ の整数部分のことです。 $8\lt\sqrt{65}\lt 9$ であるから、 $13\lt5+\sqrt{65}\lt 14$ なので\[ 6\lt \frac{5+\sqrt{65} }{2} \lt 7 \]が成り立ちます。よって、 $m=6$ です。
解答
エオカキ:5654
クケコサ:5652
シ:6
解答編 つづき
問題
(3) 太郎さんと花子さんは、①の解について考察している。
- ①の解は $c$ の値によって、ともに有理数である場合もあれば、ともに無理数である場合もあるね。 $c$ がどのような値のときに、解は有理数になるのかな。
- 2次方程式の解の公式の根号の中に着目すればいいんじゃないかな。
①の解が異なる二つの有理数であるような正の整数 $c$ の個数は $\myBox{ス}$ 個である。
解説
解の公式を使えば
\begin{eqnarray}
x
&=&
\frac{-(4c-3)\pm\sqrt{(4c-3)^2-4\cdot2\cdot(2c^2-c-11)} }{4}
\end{eqnarray}となりますが、 $c$ は正の整数だから、結局、根号の部分が有理数なら、解も有理数になるし、根号の部分が無理数なら解も無理数になります。つまり、花子さんの発言にもあるように、解が無理数になるかどうかは、解の公式の根号の部分に着目するといいです。
根号の中の部分を計算すると
\begin{eqnarray}
& &
(4c-3)^2-8(2c^2-c-11) \\[5pt]
&=&
16c^2-24c+9-16c^2+8c+88 \\[5pt]
&=&
-16c+97 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
少なくとも、異なる2つの実数解を持つのは、根号の中が正のときです。なので、 $c$ は $6$ 以下の整数だけを考えればいいです。
$c=1$ のとき $\sqrt{-16c+97}=9$ なので、根号の部分は有理数になるから、解も有理数になります。 $c=2$ のときは、 $\sqrt{16c+97}=\sqrt{65}$ なので、根号の部分は無理数だから、解も無理数になります。((1)や(2)の結果とマッチしています)
以下も同様に考えると、 $c=3,4,5,6$ のとき、 $\sqrt{-16c+97}$ の値は、それぞれ、 $\sqrt{49}=7, \sqrt{33}, \sqrt{17}, \sqrt{1}=1$ となります。
以上から、解が異なる二つの有理数になるような正の整数 $c$ は、 $1,3,6$ の3個です。
解答
ス:3