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共通テスト 数学I・数学A 2021年度 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

問題編

問題

 円周上に15個の点 $\mathrm{ P }_0$, $\mathrm{ P }_1$, $\cdots$, $\mathrm{ P }_{14}$ が反時計回りに順に並んでいる。最初、点 $\mathrm{ P }_0$ に石がある。さいころを投げて偶数の目が出たら石を反時計回りに5個先の点に移動させ、奇数の目が出たら石を時計回りに3個先の点に移動させる。この操作を繰り返す。例えば、石が点 $\mathrm{P}_5$ にあるとき、さいころを投げて6の目が出たら石を点 $\mathrm{P}_{10}$ に移動させる。次に、5の目が出たら点 $\mathrm{P}_{10}$ にある石を点 $\mathrm{P}_7$ に移動させる。

(1) さいころを5回投げて、偶数の目が $\myBox{ア}$ 回、奇数の目が $\myBox{イ}$ 回出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_1$ に移動させることができる。このとき、 $x=\mybox{ア}$, $y=\mybox{イ}$ は、不定方程式 $5x-3y=1$ の整数解になっている。

(2) 不定方程式\[ 5x-3y=8 \quad \cdots ① \]のすべての整数解 $x,y$ は、 $k$ を整数として
\begin{eqnarray} x &=& \mybox{ア}\times 8+\myBox{ウ}k, \\[5pt] y &=& \mybox{イ}\times 8+\myBox{エ}k \end{eqnarray}と表される。①の整数解 $x,y$ の中で、 $0\leqq y \lt \mybox{エ}$ を満たすものは\[ x=\myBox{オ},\ y=\myBox{カ}\]である。したがって、さいころを $\myBox{キ}$ 回投げて、偶数の目が $\mybox{オ}$ 回、奇数の目が $\mybox{カ}$ 回出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることができる。

(3) (2)において、さいころを $\mybox{キ}$ 回より少ない回数だけ投げて、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることはできないだろうか。

 (*)石を反時計回りまたは時計回りに15個先の点に移動させると元の点に戻る。

 (*)に注意すると、偶数の目が $\myBox{ク}$ 回、奇数の目が $\myBox{ケ}$ 回出れば、さいころを投げる回数が $\myBox{コ}$ 回で、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることができる。このとき、 $\mybox{コ}\lt\mybox{キ}$ である。

(4) 点 $\mathrm{P}_1$, $\mathrm{P}_2$, $\cdots$, $\mathrm{P}_{14}$ のうちから点を一つ選び、点 $\mathrm{P}_0$ にある石をさいころを何回か投げてその点に移動させる。そのために必要となる、さいころを投げる最小回数を考える。例えば、さいころを1回だけ投げて点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_2$ へ移動させることはできないが、さいころを2回投げて偶数の目と奇数の目が1回ずつ出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_2$ へ移動させることができる。したがって、点 $\mathrm{P}_2$ を選んだ場合には、この最小回数は2回である。

 点 $\mathrm{P}_1$, $\mathrm{P}_2$, $\cdots$, $\mathrm{P}_{14}$ のうち、この最小回数が最も大きいのは点 $\myBox{サ}$ であり、その最小回数は $\myBox{シ}$ 回である。

$\mybox{サ}$ の解答群

 0: $\mathrm{P}_{10}$
 1: $\mathrm{P}_{11}$
 2: $\mathrm{P}_{12}$
 3: $\mathrm{P}_{13}$
 4: $\mathrm{P}_{14}$

考え方

(3)は、答えを選ぶだけならそんなに難しくないですが、まじめに計算しようとすると少し大変です。

(4)は、まじめに各点の最小移動回数を考えていたら大変すぎです。ここまでとは異なるアプローチで考えたほうがいいと思います。


解答編

問題

 円周上に15個の点 $\mathrm{ P }_0$, $\mathrm{ P }_1$, $\cdots$, $\mathrm{ P }_{14}$ が反時計回りに順に並んでいる。最初、点 $\mathrm{ P }_0$ に石がある。さいころを投げて偶数の目が出たら石を反時計回りに5個先の点に移動させ、奇数の目が出たら石を時計回りに3個先の点に移動させる。この操作を繰り返す。例えば、石が点 $\mathrm{P}_5$ にあるとき、さいころを投げて6の目が出たら石を点 $\mathrm{P}_{10}$ に移動させる。次に、5の目が出たら点 $\mathrm{P}_{10}$ にある石を点 $\mathrm{P}_7$ に移動させる。

(1) さいころを5回投げて、偶数の目が $\myBox{ア}$ 回、奇数の目が $\myBox{イ}$ 回出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_1$ に移動させることができる。このとき、 $x=\mybox{ア}$, $y=\mybox{イ}$ は、不定方程式 $5x-3y=1$ の整数解になっている。

解説

さいころを5回投げて偶数の目が $x$ 回出たとすると、奇数の目は $5-x$ 回出たことになります。

反時計回りに何個移動したかを考える(時計回りはマイナスと考える)と
\begin{eqnarray} 5x-3(5-x) &=& 1 \\[5pt] 5x-15+3x &=& 1 \\[5pt] 8x &=& 16 \\[5pt] x &=& 2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。確かに、偶数が2回、奇数が3回出れば、 $\mathrm{P}_1$ に移動することがわかります。

解答

アイ:23

解答編 つづき

(2) 不定方程式\[ 5x-3y=8 \quad \cdots ① \]のすべての整数解 $x,y$ は、 $k$ を整数として
\begin{eqnarray} x &=& \mybox{ア}\times 8+\myBox{ウ}k, \\[5pt] y &=& \mybox{イ}\times 8+\myBox{エ}k \end{eqnarray}と表される。①の整数解 $x,y$ の中で、 $0\leqq y \lt \mybox{エ}$ を満たすものは\[ x=\myBox{オ},\ y=\myBox{カ}\]である。したがって、さいころを $\myBox{キ}$ 回投げて、偶数の目が $\mybox{オ}$ 回、奇数の目が $\mybox{カ}$ 回出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることができる。

解説

(1)より、 $5x-3y=1$ の特殊解が $x=2$, $y=3$ であることがわかったので、 $5\cdot 2-3\cdot 3=1$ が成り立ちます。両辺を8倍すると、 $5\cdot 16-3\cdot 24=8$ となります。

これを $5x-3y=8$ から辺々引けば $5(x-16)=3(y-24)$ となることがわかります。 $5,3$ は互いに素なので、整数 $k$ を使って、 $x-16=3k$, $y-24=5k$ と書けます。これより、 $x=16+3k$, $y=24+5k$ と書けることがわかります。

この整数解の中で $0\leqq y\lt 5$ を満たすのは、 $k=-4$ のときです。このとき、 $x=4$, $y=4$ となります。こうして、さいころを8回投げて、偶数4回、奇数4回が出ると、 $\mathrm{P}_8$ に移動することがわかります。

解答

ウエ:35
オカ:44
キ:8

解答編 つづき

(3) (2)において、さいころを $\mybox{キ}$ 回より少ない回数だけ投げて、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることはできないだろうか。

 (*)石を反時計回りまたは時計回りに15個先の点に移動させると元の点に戻る。

 (*)に注意すると、偶数の目が $\myBox{ク}$ 回、奇数の目が $\myBox{ケ}$ 回出れば、さいころを投げる回数が $\myBox{コ}$ 回で、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_8$ に移動させることができる。このとき、 $\mybox{コ}\lt\mybox{キ}$ である。

解説

15移動すると1周することから、 $\mathrm{P}_8$ に移動するには、反時計回りに23個移動する場合や、時計回りに7個移動する方法も考えられます。こうした場合も考えて最小移動回数を考えよう、というのがこの問題で問われていることです。

(2)の答えが8回なので、7回以下の移動でたどりつけるかを考えます。7回偶数なら、反時計回りに35移動することになり、7回奇数なら時計回りに21移動することになります。以上から、 $\mathrm{P}_8$ に移動するのは

 反時計回りに23移動する
 反時計回りに8移動する((2)のケース)
 時計回りに7移動する

のケースしかありません。反時計回りに38移動するケースや、時計回りに22移動するケースは、7回の移動ではたどりつけないからです。

まず、反時計回りに23移動するケースを考えましょう。(2)と同じように考えます。 $5\cdot 2-3\cdot 3=1$ の両辺を23倍すると、 $5\cdot 46-3\cdot 69=23$ となります。これを $5x-3y=23$ から辺々引いて\[ 5(x-46)=3(y-69) \]となります。これより、整数 $k$ を使って $x=3k+46$, $y=5k+69$ と書けます。 $y$ が $7$ 以下となるのは、 $k=-13$ のときだけですが、このとき $x=7$ なので、 $x+y$ は8以上となってしまいます。このケースは不適です。

次に、時計回りに7移動するケースを考えます。これも、(2)と同じように考えます。 $5\cdot 2-3\cdot 3=1$ の両辺を -7倍すると、 $5\cdot (-14)-3\cdot (-21)=-7$ となります。これを $5x-3y=-7$ から辺々引いて\[ 5(x+14)=3(y+21) \]となります。これより、整数 $k$ を使って $x=3k-14$, $y=5k-21$ と書けます。 $y$ が $7$ 以下となるのは、 $k=5$ のときだけです。このとき $x=1,y=4$ なので、 $x+y=5$ となるから、(2)のケースよりも少ない回数で $\mathrm{P}_8$ に移動させることができます。

こうして、偶数が1回、奇数が4回出れば、5回で $\mathrm{P}_8$ に移動できます。

ここでは、まじめに計算していますが、最大でも7回の移動なのだから書き出して考えていっても構いません。偶数が0回、1回、2回、…、7回の場合を考え、合計回数が7回以下になるように奇数の場合を書き出す。点 $\mathrm{P}_8$ にたどりつけないものは除外すればいいので、そんなに時間をかけずに特定することができます。

解答

クケコ:145

解答編 つづき

(4) 点 $\mathrm{P}_1$, $\mathrm{P}_2$, $\cdots$, $\mathrm{P}_{14}$ のうちから点を一つ選び、点 $\mathrm{P}_0$ にある石をさいころを何回か投げてその点に移動させる。そのために必要となる、さいころを投げる最小回数を考える。例えば、さいころを1回だけ投げて点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_2$ へ移動させることはできないが、さいころを2回投げて偶数の目と奇数の目が1回ずつ出れば、点 $\mathrm{P}_0$ にある石を点 $\mathrm{P}_2$ へ移動させることができる。したがって、点 $\mathrm{P}_2$ を選んだ場合には、この最小回数は2回である。

 点 $\mathrm{P}_1$, $\mathrm{P}_2$, $\cdots$, $\mathrm{P}_{14}$ のうち、この最小回数が最も大きいのは点 $\myBox{サ}$ であり、その最小回数は $\myBox{シ}$ 回である。

$\mybox{サ}$ の解答群

 0: $\mathrm{P}_{10}$
 1: $\mathrm{P}_{11}$
 2: $\mathrm{P}_{12}$
 3: $\mathrm{P}_{13}$
 4: $\mathrm{P}_{14}$

解答

各点について、最小移動回数を考える、というのはさすがにめんどくさすぎです。(3)のように解いていたら、時間がたりません。

ここでは、各点について考えるのではなく、移動回数に対して、どこに行けるかを考える方針で考えてみます。

例えば、1回の移動でたどりつける点はどこでしょうか。この場合は、偶数1回か奇数1回しかないので、1回目の移動の後は、 $\mathrm{P}_5$, $\mathrm{P}_{12}$ のどちらかに移動します。これ以外の点は、1回目の移動でたどりつくことはありません。

2回の移動では、1回の移動でいける点から、2回目が偶数・奇数の場合をそれぞれ考えると、 $\mathrm{P}_{10}$, $\mathrm{P}_{2}$, $\mathrm{P}_{9}$ のどれかに移動します。これ以外の点は、2回では移動できません。

3回の移動も考えます。2, 9, 10 の点を基準にして(数字で点を表すことにします)、3回目が偶数なら

 7, 14, 0

の点に移動し、奇数なら

 14, 6, 7

の点に移動します。つまり、 0, 6, 7, 14 の点には3回で移動できます。

4回目の移動では、
 4回目が偶数なら、5, 11, 12, 4
 4回目が奇数なら、12, 3, 4, 11
の点に移動します。つまり、 4, 5, 11, 12 の点には4回で移動できます。

以上から、まだたどり着けていない $\mathrm{P}_{13}$ がサに入ることがわかります。

では、13の点に何回でたどりつけるかをさらに考えましょう。すでにたどり着いた点はもう考える必要はない(繰り返しになるだけだから)ので、4回目の移動でたどりつける「 4, 5, 11, 12 」のうち、 5 と 12 はもう考えなくてもいいです。

4, 11 の点からは、
 5回目が偶数なら、9, 1
 5回目が奇数なら、1, 8
の点に移動します。つまり、 1, 8, 9 の点には5回で移動できます。8の点には5回で移動できる、というのは(3)で求めた答えと一致していますね。

さらに 1, 8, 9 の点からは
 6回目が偶数なら、6, 13, 14
 6回目が奇数なら、13, 5, 6
の点に移動できます。こうして、 $\mathrm{P}_{13}$ が6回で移動できることがわかり、他の点は5回以下で移動できることもわかります。

解答

サ:3
シ:6

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