🏠 Home / センター試験 / センターIA

センター試験 数学I・数学A 2019年度 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

問題編

問題

(1) 不定方程式\[49x-23y=1\]の解となる自然数 $x,y$ の中で、 $x$ の値が最小のものは\[ x=\myBox{ア},\ y=\myBox{イウ} \]であり、すべての整数解は、k を整数として
\begin{eqnarray} x&=&\myBox{エオ}k+\mybox{ア} \\[5pt] y&=&\myBox{カキ}k+\mybox{イウ} \end{eqnarray}と表せる。

(2) $49$ の倍数である自然数 $A$ と $23$ の倍数である自然数 $B$ の組 $(A,B)$ を考える。 $A$ と $B$ の差の絶対値が $1$ となる組 $(A, B)$ の中で、 $A$ が最小になるのは\[ (A,B)= \left(49\times\myBox{ク}, 23\times\myBox{ケコ}\right) \]である。また、 $A$ と $B$ の差の絶対値が $2$ となる組 $(A,B)$ の中で、 $A$ が最小になるのは\[ (A,B)= \left(49\times\myBox{サ}, 23\times\myBox{シス}\right) \]である。

(3) 連続する三つの自然数 $a$, $a+1$, $a+2$ を考える。

 $a$ と $a+1$ の最大公約数は $1$
 $a+1$ と $a+2$ の最大公約数は $1$
 $a$ と $a+2$ の最大公約数は $1$ または $\myBox{セ}$

である。

 また、次の条件がすべての自然数 $a$ で成り立つような自然数 $m$ のうち、最大のものは $m=\myBox{ソ}$ である。

 条件: $a(a+1)(a+2)$ は $m$ の倍数である。

(4) $6762$ を素因数分解すると\[ 6762=2\times \myBox{タ}\times 7^{\myBox{チ} }\times\myBox{ツテ} \]である。

 $b$ を、 $b(b+1)(b+2)$ が $6762$ の倍数となる最小の自然数とする。このとき、 $b$, $b+1$, $b+2$ のいずれかは $7^{\mybox{チ} }$ の倍数であり、また、 $b$, $b+1$, $b+2$ のいずれかは $\mybox{ツテ}$ の倍数である。したがって、 $b=\myBox{トナニ}$ である。

考え方

(1)は、典型的な不定方程式です。苦手とする人が多いですが、過去に何度も出ていますね。

(2)は、(1)の計算結果を利用して考えます。(1)のおかげで、特殊解はすぐに見つかります。

(3)は突然方向が変わった感じがしますが、(4)に関連していきます。また、(4)は(2)の結果も使うことになります。例えば、 $b$ は23の倍数で $b+1$ が49の倍数なら、「49の倍数と23の倍数の差の絶対値が1」の状況が利用でき、 $b$ が23の倍数で $b+2$ が49の倍数なら、「49の倍数と23の倍数の差の絶対値が2」の状況が利用できます。23と49が出てきた時点で(2)を使う発想が出てこないといけません。


解答編

問題

(1) 不定方程式\[49x-23y=1\]の解となる自然数 $x,y$ の中で、 $x$ の値が最小のものは\[ x=\myBox{ア},\ y=\myBox{イウ} \]であり、すべての整数解は、k を整数として
\begin{eqnarray} x&=&\myBox{エオ}k+\mybox{ア} \\[5pt] y&=&\myBox{カキ}k+\mybox{イウ} \end{eqnarray}と表せる。

解説

$49x-23y=1$ を変形すると
\begin{eqnarray} 49x-23y &=& 1 \\[5pt] (23\times2+3)x-23y &=& 1 \\[5pt] 3x+23(2x-y) &=& 1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。 $z=2x-y$ とおいてさらに変形すると \begin{eqnarray} 3x+23z &=& 1 \\[5pt] 3x+(3\times7+2)z &=& 1 \\[5pt] 3(x+7z)+2z &=& 1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。この式を満たす整数解を1組考えると、 $x+7z=1$, $z=-1$ のとき、つまり、 $x=8$, $z=-1$ のときとなります。このとき、 $y=2x-z$ なので、 $y=17$ です。

以上から、 $49\cdot 8-23\cdot 17=1$ が成り立ちます。これを $49x-23y=1$ から引いて整理すると
\begin{eqnarray} 49(x-8)&=&23(y-17) \end{eqnarray}となります。 $49$ と $23$ は互いに素なので、 $x-8$ は $23$ の倍数だから、整数 $k$ を用いて、 $x-8=23k$ と書けます。また、このとき、 $y-17=49k$ となります。

以上から、不定方程式 $49x-23y=1$ を満たす整数解は\[ x=23k+8,\ y=49k+17 \]と表すことができ、自然数となる解のうち $x$ が最小のものは、 $x=8,y=17$ となります。

解答

ア:8
イウ:17
エオ:23
カキ:49

解答編 つづき

問題

(2) $49$ の倍数である自然数 $A$ と $23$ の倍数である自然数 $B$ の組 $(A,B)$ を考える。 $A$ と $B$ の差の絶対値が $1$ となる組 $(A, B)$ の中で、 $A$ が最小になるのは\[ (A,B)= \left(49\times\myBox{ク}, 23\times\myBox{ケコ}\right) \]である。また、 $A$ と $B$ の差の絶対値が $2$ となる組 $(A,B)$ の中で、 $A$ が最小になるのは\[ (A,B)= \left(49\times\myBox{サ}, 23\times\myBox{シス}\right) \]である。

解説

$49x-23y=1$ となる場合は先ほど考えたので、 $49x-23y=-1$ となる場合を考えてみましょう。これは、先ほどの特殊解の符号を変えると、 $x=-8$, $y=-17$ がこの場合の特殊解となることがわかります。よって、すべての整数解は、先ほどと同じようにして、\[ x=23k-8,\ y=49k-17 \]となります。 $x$ が自然数で、最小となるのは $x=15$ のときです。

よって、 $|A-B|=1$ となる組の中で $A$ が最小となるのは、 $49x-23y=1$ の場合を利用して\[ (A,B)=(49\times 8, 23 \times 17) \]であることがわかります。

同様にして、差の絶対値が $2$ となる場合も考えましょう。

$49x-23y=2$ となる場合を考えます。(1)での特殊解を2倍して $x=16$, $y=34$ がこの場合の特殊解となります。よって、すべての整数解は\[ x=23k+16,\ y=49k+34 \]となります。 $x$ が自然数で、最小となるのは $x=16$ のときです。

次に、 $49x-23y=-2$ となる場合を考えます。(1)での特殊解を $-2$ 倍して $x=-16$, $y=-34$ がこの場合の特殊解となります。よって、すべての整数解は\[ x=23k-16,\ y=49k-34 \]となります。 $x$ が自然数で、最小となるのは $x=7$ のときです。 $k=1$ のときですね。

よって、 $|A-B|=2$ となる組の中で $A$ が最小となるのは、 $49x-23y=-2$ の場合を利用して\[ (A,B)=(49\times 7, 23 \times 15) \]であることがわかります。

解答

クケコ:817
サシス:715

解答編 つづき

問題

(3) 連続する三つの自然数 $a$, $a+1$, $a+2$ を考える。

 $a$ と $a+1$ の最大公約数は $1$
 $a+1$ と $a+2$ の最大公約数は $1$
 $a$ と $a+2$ の最大公約数は $1$ または $\myBox{セ}$

である。

 また、次の条件がすべての自然数 $a$ で成り立つような自然数 $m$ のうち、最大のものは $m=\myBox{ソ}$ である。

 条件: $a(a+1)(a+2)$ は $m$ の倍数である。

解説

ユークリッドの互除法より、 $a$ と $a+2$ の最大公約数は、 $a$ と $(a+2)-a$ の最大公約数と等しくなります。よって、2の約数しかありえません。 $a$ が奇数のときは最大公約数は $1$ になり、偶数のときは $2$ となります。セには $2$ が入ります。

3つの連続する自然数の中に、偶数が少なくとも1つあり、3の倍数が1つあるので、 $a(a+1)(a+2)$ は、必ず6の倍数となります。また、 $a=1$ のときは $a(a+1)(a+2)=6$ なので、 $6$ より大きい数の倍数になるとは限りません。よって、ソには $6$ が入ります。

解答

セ:2
ソ:6

解答編 つづき

問題

(4) $6762$ を素因数分解すると\[ 6762=2\times \myBox{タ}\times 7^{\myBox{チ} }\times\myBox{ツテ} \]である。

 $b$ を、 $b(b+1)(b+2)$ が $6762$ の倍数となる最小の自然数とする。このとき、 $b$, $b+1$, $b+2$ のいずれかは $7^{\mybox{チ} }$ の倍数であり、また、 $b$, $b+1$, $b+2$ のいずれかは $\mybox{ツテ}$ の倍数である。したがって、 $b=\myBox{トナニ}$ である。

解説

$6762$ の素因数分解は、 $7$ が出てくるというヒントも使って計算すると\[ 6762=2\times 3\times 7^2\times 23 \]となることがわかります。

$b$, $(b+1)$, $(b+2)$ の中には、2の倍数も3の倍数も含まれているので、 $6762$ の倍数となるには、 $b(b+1)(b+2)$ が $23$ の倍数であり、 $49$ の倍数にもなっていないといけません。

もし、 $b$ が $23$ の倍数でもあり $49$ の倍数でもあれば、条件を満たしますが、それは $23\times 49$ なので、大きすぎます。なので、もっと小さい数字がないか考えてみましょう。

例えば、 $b$ が $23$ の倍数で、 $b+1$ が $49$ の倍数などとなっていた方が、 $b$ の値は小さくなりそうですね。問題は、このような $b$ をどうやって見つけるかです。

よく見ると、(2)でまさにこの内容を考えていたんですね。 $23$ の倍数と $49$ の倍数の差が $1$ となるもののうち、自然数の中で一番小さいものの組合せは、 $(49\times 8, 23\times 17)$ でした。

また、 $b$ が $23$ の倍数で、 $b+2$ が $49$ の倍数、などという場合でもいいですね。これも(2)で既に考えていました。一番小さい組み合わせは、 $(49\times 7, 23\times 15)$ でした。

よって、 $(49\times 7, 23\times 15)$ の組合せが一番小さいことがわかります。このとき、それぞれの数は $343$, $345$ なので、 $b(b+1)(b+1)$ は、\[ 343\cdot 344\cdot 345 \]であることがわかります。これは、2の倍数でも3の倍数でもあり、23の倍数でも49の倍数でもあります。なので、 $6762$ の倍数となります。

以上から、 $b=343$ です。

解答

タチツテ:3223
トナニ:343

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
慶應義塾大学薬学部2024年度数学第1問5 同志社大学文系2024年度数学第1問3 昭和大学医学部I期2024年度数学第2問 兵庫医科大学2024年度数学第3問 共通テスト2B2024年度第3問2のヒントについて 久留米大学医学部推薦2024年度数学第4問