【標準】一次方程式の利用(年齢)
ここでは、一次方程式を利用して解く問題を見ていきます。年齢に関する問題を見ていきます。
年齢に関する問題その1
父親が38歳で、子どもが12歳ということは、現時点では、父親の年齢は子どもの年齢の3倍以上離れています。時間がたてば、これがどのように変わるか、具体例で見てみましょう。
例えば、10年後にはどうなっているかというと、父親は48歳、子どもは22歳です。子どもの年齢の2倍ちょっとになりました。さらに10年たつと、父親は58歳、子どもは32歳です。今度は2倍を下回ってしまいました。時間がたつにつれて、「子どもの年齢の何倍か」というのは、どんどん小さくなっていくことがわかります。
それでは、ちょうど2倍になるのはいつかを考えてみましょう。10年後や20年後の例を見てもわかりますが、「○年後」というのを決めれば、父親と子ども年齢は決まります。これをもとに「父親の年齢が子どもの年齢の2倍になる」という関係を方程式で表せばいいので、「○年後」を $x$ で表すことにしましょう。解答は次のようになります。
\begin{eqnarray} 38+x &=& 2(12+x) \\[5pt] 38+x &=& 24+2x \\[5pt] x &=& 14 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。よって、14年後である。これは問題にあっている。
解答:14年後
たしかに、14年後には、父親の年齢は52歳で、子どもの年齢は26歳なので、2倍になっています。
子どもの年齢や父親の年齢を $x$ 歳とおいて考えることもできますが、 $x$ 年後とおくほうが、2人の年齢を表しやすくなり、考えやすいでしょう。
年齢に関する問題その2
現時点で、3人の孫の年齢の和は、 $5+6+10=21$ 歳です。おじいさんの年齢とはだいぶ差がありますね。しかし、1年たてば、3人の孫の年齢の和は、3ずつ増えていきます。そのため、毎年、年齢の差は縮まっていきます。
この問題でも、先ほどと同じように、 $x$ 年後の世界を考えてみましょう。このとき、4人の年齢は、 $x$ を使って表すことができます。これらを使って、「おじいさんの年齢が、3人の孫の年齢の和と等しい」という関係を方程式で表してみましょう。解答は次のようになります。
\begin{eqnarray} 67+x &=& (5+x)+(6+x)+(10+x) \\[5pt] 67+x &=& 21+3x \\[5pt] 3x-x &=& 67-21 \\[5pt] 2x &=& 46 \\[5pt] x &=& 23 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。よって、23年後である。これは問題にあっている。
解答:23年後
23年後、おじいさんの年齢は90歳です。一方、3人の孫の年齢は、28歳、29歳、33歳であり、合計は90歳で、たしかに一致することがわかります。
どちらの問題も、「何年後ですか?」と聞かれているので、「 $x$ 年後」と置いて考えました。ただ、例題1では、「父親が何歳のときですか?」と聞かれることもあるかもしれません。そのようなときでも、「 $x$ 年後」とおいて、 $x$ の値を求めてから、 $38+14=52$ 歳と求めたほうがいいでしょう。複数の人の年齢を扱う場合は、だれかの年齢を文字で置くよりも、何年後かを文字で表した方が考えやすくなることが多いです。
おわりに
ここでは、年齢に関連する一次方程式の問題を見ました。年齢がわからないので $x$ 歳と置きたくなるかもしれませんが、今の年齢がわかっている場合は、「 $x$ 年後」とおくほうが考えやすくなることが多いです。今の年齢に $x$ を足すだけですからね。
何を $x$ とするかで、問題が解きやすくなったり、解きにくくなったりします。いろんな問題を解いて、練習してみましょう。