【標準】複素数平面と連動して動く点
ここでは、円周上を動く点に連動して動く点が、どのような軌跡を描くか、考えていきます。
円周上を動く点に連動して動く点その1
図は、次のようになっています。
実質的には、【基本】軌跡(連動して動く点)で見た内容と同じ問題です。
「点A$(z)$ が、原点を中心とする半径 $2$ の円周上を動く」とありますが、これを式で表すと次のようになります。\[ |z|=2 \]原点からの距離が $2$ である、という式ですね(参考:【基本】複素数平面と円)。
次に、「点 P$(w)$ は、点 B($4$) と点 A とを結ぶ線分の中点」なので、これを式で表すと\[ \frac{4+z}{2}=w \]となります(参考:【基本】複素数平面と内分点・外分点)。
2つ目の式を変形すると
\begin{eqnarray}
4+z &=& 2w \\[5pt]
z &=& 2w-4 \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、これを1つ目の式に代入します。半径と中心がわかるように変形すると
\begin{eqnarray}
|z| &=& 2 \\[5pt]
|2w-4| &=& 2 \\[5pt]
|w-2| &=& 1
\end{eqnarray}となります。この式は、中心が点 $2$ で、半径が $1$ の円を表しています。これが求める軌跡となります。
また、次のように考えてもいいでしょう。\[ w=\frac{z}{2}+2 \]と変形できるので、複素数平面上では、原点を中心に $\dfrac{1}{2}$ 倍して、実軸方向に $2$ だけ平行移動した変形だと考えることができます。原点を中心に $\dfrac{1}{2}$ 倍すれば、半径 $2$ の円は半径 $1$ の円となり、平行移動することで中心が点 $2$ に移動します。こうして、上と同じ答えを導き出すこともできます。
円周上を動く点に連動して動く点その2
今回は、どのように連動するかが少しわかりづらいですが、先ほどと似たような計算で求めることができます。
先ほどと同様に、 $z$ は $|z|=2$ を満たします。次に、 $w$ の式を変形すると\[ z=\frac{w+i}{i} \]となります。これを $|z|=2$ に代入して整理すると
\begin{eqnarray}
\left| \frac{w+i}{i} \right| &=& 2 \\[5pt]
\frac{|w+i|}{|i|} &=& 2 \\[5pt]
|w-(-i)| &=& 2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。この式は、点 $-i$ を中心とした半径 $2$ の円です。これが求める軌跡となります。
これも、図形的に考えることができます。 $w=iz-i$ のうち、 $iz$ の部分は\[ \left(\cos\frac{\pi}{2} +i\sin\frac{\pi}{2}\right)z \]と書けるので、これは、原点を中心として $\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転することを表しています。といっても、今の場合、 $z$ は原点を中心とした円周上を動くので、回転した後も同じ円周上を動きます。さらに、 $-i$ によって、虚軸方向に $-1$ だけ平行移動することがわかります。両者を合わせると、上の軌跡が得られます。
また、このように変形して考えてもいいでしょう。
\begin{eqnarray}
w
&=&
iz-i \\[5pt]
&=&
i(z-1) \\[5pt]
&=&
\left(\cos\frac{\pi}{2} +i\sin\frac{\pi}{2}\right)(z-1) \\[5pt]
\end{eqnarray}こう考えると、まず $z$ は実軸方向に $-1$ だけ平行移動し、その後で原点を中心に $\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転移動することがわかります。このように考えても、同じ結果にたどりつけます。
計算によって考えたり、移動によって考えたりできるので、問題によって、考えやすい方法で解いていくようにしましょう。
おわりに
ここでは、ある点が円周上に動くとき、それに連動して動く点がどのような軌跡を描くかを考える問題を見てきました。簡単な場合であれば、移動によって考えることもできるので、式の意味を考えながら解いてみると理解が深まるでしょう。