【標準】共役複素数と複素数の実数条件

ここでは、共役複素数を用いて、複素数が実数になることを示す問題を見ていきます。

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複素数が実数になるための条件

【基本】複素数平面と共役複素数でも書いた通り、 $\alpha=a+bi$ としたとき、虚部 $b$ は、共役複素数を用いて\[ b=\frac{\alpha-\overline{\alpha}}{2} \]となります。なので、 $\alpha$ が実数であること、つまり、虚部が $0$ であることと $\alpha=\overline{\alpha}$ が成り立つことは同値です。

また、実部 $a$ は\[ a=\frac{\alpha+\overline{\alpha}}{2} \]と書けるので、 $\alpha$ が純虚数であること、つまり、実部が $0$ で虚部が $0$ でないことと、 $\alpha=-\overline{\alpha}$ かつ $\alpha\ne 0$ が成り立つことは同値です。

複素数が実数や純虚数になるための条件
複素数 $\alpha$ について、
$\alpha$ が実数であることは、 $\alpha=\overline{\alpha}$ が成り立つことと同値。
$\alpha$ が純虚数であることは、 $\alpha=-\overline{\alpha}$ かつ $\alpha\ne 0$ が成り立つことと同値。

複素数が実数であることを示す場合などで、この性質をよく使います。

複素数が実数であることを示す問題

例題1
複素数 $\alpha$, $\beta$ に対して、 $z=\alpha\overline{\beta}+\overline{\alpha}\beta$ が実数であることを示しなさい。

何も工夫をしないなら、 $\alpha=a+bi$, $\beta=c+di$ とおいて、右辺を頑張って計算していくことになります。が、それは大変ですね。実数であることを確かめるには、 $z=\overline{z}$ が成りたつかどうかを考えればOKなので、これをチェックしましょう。

\begin{eqnarray}
\overline{z}
&=&
\overline{\alpha\overline{\beta}+\overline{\alpha}\beta} \\[5pt] &=&
\overline{\alpha\overline{\beta}}+\overline{\overline{\alpha}\beta} \\[5pt] &=&
\overline{\alpha}\overline{\overline{\beta}}+\overline{\overline{\alpha}}\overline{\beta} \\[5pt] &=&
\overline{\alpha}\beta+\alpha\overline{\beta} \\[5pt] &=&
z
\end{eqnarray}となります。ここで、1行目から2行目は、【基本】複素数平面と共役複素数の後半で見た、\[ \overline{\alpha+\beta} = \overline{\alpha}+\overline{\beta} \]を使っています。和の共役複素数は、共役複素数の和と等しくなることを使っているわけです。

2行目から3行目は、\[ \overline{\alpha\beta} = \overline{\alpha}\overline{\beta} \]の性質を使っています。積の共役複素数が、共役複素数の積と等しくなるので、それを使って分解したわけですね。

3行目から4行目は、\[ \overline{\overline{\alpha}}=\alpha \]であることを使っています。虚部の符号が2回変わるのだから、元に戻るわけですね。実軸に関する反転だと考えても、「2回考えれば元に戻る」ことがわかるでしょう。

こうして、 $\overline{z}=z$ となることがわかったので、 $z$ は実数だ、と分かります。

複素数が純虚数であることを示す問題

例題2
複素数 $\alpha$ に対して、 $z=\alpha^2-\left(\overline{\alpha}\right)^2$ が純虚数であることを示しなさい。ただし、 $z\ne 0$ とします。

$z\ne 0$ なので、純虚数であることを示すには、 $z=-\overline{z}$ が成りたつかどうかを考えればOKです。

\begin{eqnarray}
\overline{z}
&=&
\overline{\alpha^2-\left(\overline{\alpha}\right)^2} \\[5pt] &=&
\overline{\alpha^2}-\overline{\left(\overline{\alpha}\right)^2} \\[5pt] &=&
\left(\overline{\alpha}\right)^2-\left(\overline{\overline{\alpha}}\right)^2 \\[5pt] &=&
\left(\overline{\alpha}\right)^2-\alpha^2 \\[5pt] &=&
-z
\end{eqnarray}となります。先ほどと同じように、共役複素数を考える順番を変えて計算しています。2行目から3行目は、【標準】共役複素数の性質(商や積)の後半で見た、\[ \overline{\alpha^n} = (\overline{\alpha})^n \]の性質を使っています。

こうして、 $\overline{z}=-z$ となることがわかったので、 $z$ は純虚数であることが示せました。

複素数の数が2個程度なら、 $\alpha=a+bi$ などと置いて、直接計算することも可能でしょう。しかし、例えば、例題2で、「 $z=\alpha^n-\left(\overline{\alpha}\right)^n$ が純虚数であることを示しなさい」などとなってしまえば、直接 $n$ 乗を計算するのは大変です(二項定理を使えばできますが)。実数や純虚数を示すのに、共役複素数に関する条件を示す方が、応用範囲は広いです。

おわりに

ここでは、複素数が実数になること、純虚数になることを示す問題を見ました。共役複素数を調べるだけで示すことができるのでした。直接計算するよりも楽になることが多いので、共役複素数を使った示し方も身につけておきましょう。