【標準】共役複素数の性質(積や商)

ここでは、共役複素数の積や商に関する性質を見ていきます。

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共役複素数の性質(積や商)

【基本】複素数平面と共役複素数では、共役複素数について、次のような性質があることを見ました。

\begin{eqnarray}
\overline{\alpha+\beta} &=& \overline{\alpha}+\overline{\beta} \\[5pt] \overline{\alpha-\beta} &=& \overline{\alpha}-\overline{\beta} \\[5pt] \overline{\alpha\beta} &=& \overline{\alpha}\overline{\beta} \\[5pt] \overline{\left(\frac{\alpha}{\beta}\right)} &=& \frac{\overline{\alpha}}{\overline{\beta}} \\[5pt] \end{eqnarray}

リンク先では、和に関しては示しましたが、他は示していませんでした。差は和のときとほとんど同じ計算なので、ここでは、積と商についてみていきましょう。計算によって、両辺が一致することを確認していきます。

$\alpha=a+bi$, $\beta=c+di$ とします。 a, b, c, d は実数とします。

$\overline{\alpha\beta}$ とは、積の共役複素数です。先に積を計算してから、共役複素数を考えます。
\begin{eqnarray}
\overline{\alpha\beta}
&=&
\overline{(a+bi)(c+di)} \\[5pt] &=&
\overline{(ac-bd)+(ad+bc)i} \\[5pt] &=&
(ac-bd)-(ad+bc)i \\[5pt] \end{eqnarray}となります。また、右辺の $\overline{\alpha}\overline{\beta}$ は、共役複素数の積です。これも計算すると
\begin{eqnarray}
\overline{\alpha}\overline{\beta}
&=&
\overline{(a+bi)}\times \overline{(c+di)} \\[5pt] &=&
(a-bi)(c-di) \\[5pt] &=&
(ac-bd)-(ad+bc)i \\[5pt] \end{eqnarray}となります。同じ結果になることがわかったので、 $\overline{\alpha\beta} =\overline{\alpha}\overline{\beta}$ が成り立ちます。

続いて、商についても見ていきましょう。商の共役複素数は、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
\overline{\left(\frac{\alpha}{\beta}\right)}
&=&
\overline{\left(\frac{a+bi}{c+di}\right)} \\[5pt] &=&
\overline{\left(\frac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)}\right)} \\[5pt] &=&
\overline{\left(\frac{(ac+bd)+(-ad+bc)i}{c^2+d^2}\right)} \\[5pt] &=&
\frac{(ac+bd)+(ad-bc)i}{c^2+d^2} \\[5pt] \end{eqnarray}一方、共役複素数の商は、
\begin{eqnarray}
\frac{\overline{\alpha}}{\overline{\beta}}
&=&
\frac{\overline{a+bi}}{\overline{c+di}} \\[5pt] &=&
\frac{a-bi}{c-di} \\[5pt] &=&
\frac{(a-bi)(c+di)}{(c-di)(c+di)} \\[5pt] &=&
\frac{(ac+bd)+(ad-bc)i}{c^2+d^2} \\[5pt] \end{eqnarray}となり、同じ結果になります。

こうして、直接計算することにより、共役複素数の積や商に関する性質を確かめることができました。

3つ以上の複素数の場合

ここまで、2つの複素数について見てきましたが、複素数が3つ以上ある場合でも同様のことが成り立ちます。例えば
\begin{eqnarray}
\overline{\alpha_1+\alpha_2+\cdots+\alpha_n} &=& \overline{\alpha_1} +\overline{\alpha_2} +\cdots +\overline{\alpha_n} \\[5pt] \overline{\alpha_1\alpha_2\cdots\alpha_n} &=& \overline{\alpha_1}\ \overline{\alpha_2}\ \cdots \ \overline{\alpha_n} \\[5pt] \overline{\alpha^n} &=& (\overline{\alpha})^n \\[5pt] \end{eqnarray}などが成り立ちます。これらは、厳密に示すならば、数学的帰納法を使って証明することになります。ただ、2つの複素数の場合を見れば、3つ以上の場合でも成り立つことは自然だと感じられるでしょう。

おわりに

ここでは、共役複素数の積や商の性質を見てきました。積の共役複素数と、共役複素数の積は等しい、ということを、直接計算して確かめました。商の場合も、直接計算することで確かめられました。今後、共役複素数の計算では、自然と使っていくことになりますが、どうして使えるのか、どうやって示すのか、も理解しておきましょう。