【基本】放物線と媒介変数表示
ここでは、放物線を媒介変数表示で表すとどうなるかを見ていきます。
放物線となる軌跡と媒介変数表示
【標準】軌跡(放物線の頂点)#放物線の頂点の軌跡その2でも見た、次の問題を考えてみましょう。
この放物線の頂点は
\begin{eqnarray}
y
&=&
\{x-(t+1)\}^2-(t+1)^2-2t+1 \\[5pt]
&=&
\{x-(t+1)\}^2-t^2-4t \\[5pt]
\end{eqnarray}だから、 $(t+1,-t^2-4t)$ となることがわかります。よって、 $(x,y)$ が軌跡上の点であるとすると、
\begin{eqnarray}
x &=& t+1 \\[5pt]
y &=& -t^2-4t
\end{eqnarray}となることがわかります。この2つから $t$ を消せば、求める軌跡は\[ y=-x^2-2x+3 \]であることがわかります。
ところで、途中で出てきた、
\begin{eqnarray}
x &=& t+1 \\[5pt]
y &=& -t^2-4t
\end{eqnarray}は、【基本】媒介変数表示で見たように、 $y=-x^2-2x+3$ の媒介変数表示になっている、とも考えられるわけですね。
このように、軌跡の分野で考えていた内容は、「媒介変数表示された式から、x, y が満たす関係式を求める問題」だったととらえられるものも含まれていました。
放物線の標準形と媒介変数表示
【基本】放物線の焦点と準線で見たように、 $p\ne0$ のとき、 $y^2=4px$ のグラフは、点 $(p,0)$ を焦点とし、直線 $x=-p$ を準線とする放物線となります。この形 $y^2=4px$ を放物線の標準形と呼びます。
この放物線に対し、直線 $y=2pt$ との交点を考えてみましょう。これは、 x 軸に平行な直線で、 t を動かすことで、上下に移動します。 $2pt$ の $2p$ がどこから来たのか、はあとで考えるとして、ひとまず交点を求めてみます。
交点の x 座標は
\begin{eqnarray}
(2pt)^2 &=& 4px \\
x &=& pt^2 \\
\end{eqnarray}となります。よって、この放物線上の点は、媒介変数 t を用いて
\begin{eqnarray}
x &=& pt^2 \\[5pt]
y &=& 2pt \\[5pt]
\end{eqnarray}と書くことができます。 $y=2pt$ としましたが、 $y=t$ や $y=pt$ とすると、 $x$ の式に分数が出てきてしまいます(実際に上の式に代入してみましょう)。そのため、わざわざ $2p$ をつけていたわけですね。
媒介変数表示は1通りではないので、上の表し方は、媒介変数での表示の一例、となります。
もし、上と同じように表すのであれば、 $y^2=-8x$ は、 $p=-2$ とすればよく、
\begin{eqnarray}
x &=& -2t^2 \\[5pt]
y &=& -4t \\[5pt]
\end{eqnarray}と表されることになります。実際に $t$ を消去すると、元に戻りますね。
ここでは、まだ媒介変数表示をする必要性、メリットがよくわからないと思いますが、複雑な例を理解するための練習だと思っていてください。
おわりに
ここでは、放物線と媒介変数表示について見てきました。すでに軌跡の分野で考え方を学んでいたことを見ました。また、標準形に対して、媒介変数表示の例を見ました。これらの例を通じて、媒介変数表示に慣れていきましょう。