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【標準】軌跡(放物線の頂点)

ここでは、放物線の頂点の軌跡を求める問題を考えていきます。

📘 目次

放物線の頂点の軌跡その1

例題1
実数 t が変化するとき、放物線 $y=x^2-2tx+t^2+t+1$ の頂点の軌跡を求めなさい。

頂点の軌跡なので、頂点の座標を求めないといけないですね。【標準】二次関数y=ax^2+bx+cのグラフの頂点を参考にして、平方完成をすると
\begin{eqnarray} y &=& x^2-2tx+t^2+t+1 \\[5pt] &=& (x-t)^2+t+1 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、頂点の座標は $(t,t+1)$ です。 x 座標に $1$ を足したものが y 座標なので、頂点は\[ y=x+1 \]の上にあることがわかります。また、この直線上の点を頂点とする放物線が存在することも、計算を逆にたどっていけば分かるので、この直線が求める軌跡となります。

放物線の頂点の軌跡その2

例題2
実数 t が変化するとき、放物線 $y=x^2-2(t+1)x-2t+1$ の頂点の軌跡を求めなさい。

図は次のようになります。

これも、先ほどと同様に、頂点の座標を求めます。
\begin{eqnarray} y &=& x^2-2(t+1)x-2t+1 \\[5pt] &=& \{ x-(t+1) \}^2-(t+1)^2-2t+1 \\[5pt] &=& \{ x-(t+1) \}^2-t^2-4t \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、頂点の座標は\[ (t+1,-t^2-4t) \]となります。 t が動いたときに、この点の軌跡を求めればいいのですが、先ほどの例題よりも少し考えづらいですね。 x, y が同時に変化するので扱いづらいです。

こういう場合は、【標準】軌跡(2直線の交点の軌跡)で見たように、邪魔な文字を消す方針で考えていきましょう。今の場合、 t が邪魔なので、これを消す方針で考えます。

頂点の座標から\[ x=t+1, \ y=-t^2-4t \]が成り立ちます。1つ目の式から\[ t=x-1 \]が得られます。これを2つ目の式に代入すれば、 t が消えて、 x, y の式が得られますね。
\begin{eqnarray} y &=& -(x-1)^2-4(x-1) \\[5pt] &=& -x^2+2x-1-4x+4 \\[5pt] &=& -x^2-2x+3 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。計算を逆にたどっていくと、この放物線上の点に対応する t が存在するため、すべての点が条件を満たすことがわかります。よって、求める軌跡は\[ y=-x^2-2x+3 \]となります。

放物線の頂点の軌跡その3

例題3
実数 t が変化するとき、放物線 $y=x^2-2t^2x+t^4+t^2+1$ の頂点の軌跡を求めなさい。

例題1とよく似ていますが、大きく違うところがあります。ただ、はじめにやることは同じです。頂点の座標を求めましょう。
\begin{eqnarray} y &=& x^2-2t^2x+t^4+t^2+1 \\[5pt] &=& (x-t^2)^2+t^2+1 \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、頂点の座標は $(t^2,t^2+1)$ となります。例題2の手法を使ってみましょう。\[ x=t^2,\ y=t^2+1 \]と書けるので、 $t^2=x$ を2つ目の式に代入して $y=x+1$ が得られます。

しかし、これが答えではありません。なぜでしょうか。

例えば、この直線上の点 $(-1,0)$ を考えてみましょう。これに対応する t は、 $t^2=-1$ を満たさないといけませんが、そんな実数はありません。つまり、先ほど求めた $y=x+1$ のすべての点が条件を満たすわけではないんですね。

$x=t^2$, $y=t^2+1$ と書いた時点で、\[ x\geqq 0, \ y\geqq 1 \]という条件がつくことになります。そのため、求める軌跡も、この範囲だけになります。答えは「直線 $y=x+1$ の $x\geqq 0$ の部分」となります。

上の図は、 t をあるプラスの値からマイナスの値までの値を繰り返しとるように変化させています。 t が $0$ に近づくにつれて、頂点は $(0,1)$ に近づいていきますが、符号が変わると遠ざかっていき、 $x\lt 0$ の部分(破線の部分)にいくことはありません。

【応用】二変数二次関数の最大・最小(隠れた条件付)などでも取り上げていますが、文字を消すとき(今の場合であれば t を消すとき)には、その文字に関する条件を意識する必要があります。 $y=x+1$ という式には t の文字はありませんが、 x, yt の条件に縛られていることに注意しなければいけません。

軌跡では、不要な点を除く必要があるため、代入して文字を消す場合には、消える文字の条件には特に注意しなくてはいけません。

おわりに

ここでは、放物線の頂点の軌跡に関する問題を見てきました。基本的には、頂点を出して、頂点が満たす方程式を求める、という流れです。代入によって邪魔な文字を消すことはできますが、そのときには消える文字に関する条件に気をつけましょう。

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