【基本】一次方程式の利用(差を利用)
ここでは、一次方程式を利用して解く問題を見ていきます。わからないものが2つあるが、その差はわかっている、という問題を扱います。
差がわかっている問題その1
次のような問題を考えましょう。
【基本】一次方程式の利用(買い物)で見たように、求めたいものを $x$ で置いて方程式を作れば、方程式を解いて答えが求められるのでした。この問題でも、同じようにして考えていくことにしましょう。
今回は、わからないものが2つあります。男子の人数と女子の人数です。2つともわかりません。ただ、これらを求めるための手がかりが2つあります。一つは、「男子が女子より9人多い」こと、もう一つは、「男女の合計が173人」であることです。これらを組み合わせて方程式を作ることにしましょう。
方程式を作るには、2つのものが等しいことを等式で表す必要があります。ここでは、「男女の合計が173人」を等式で表してみましょう。男子の人数も女子の人数もどちらもわかりませんが、もう一つの手がかり「男子が女子より9人多い」ことを使えば、どちらかがわかればもう片方もわかりますね。
この問題では、1年生の女子の人数を求めたいのだから、女子の人数を $x$ 人と置くことにしましょう。このとき、男子は、 $(x+9)$ 人と表すことができます。さらに、男女の合計は173人だから、次のような方程式を作ることができます。\[ (x+9)+x=173 \]これを解けば答えがわかります。解答をはじめから書くと、次のようになります。
\begin{eqnarray} (x+9)+x &=& 173 \\[5pt] 2x &=& 173-9 \\[5pt] x &=& 82 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。これは問題にあっている。よって、女子の人数は82人である。
答:82人
2つある手がかりのうち、「男女の合計が173人」を等式で表しましたが、「男子が女子より9人多い」ことから方程式を作る方法もあります。女子の人数を $x$ 人とすれば、男女の合計が173人なのだから、男子の人数は $(173-x)$ 人です。男子は女子より9人多いので、\[ (173-x)-x=9 \]が成り立ちます。これを解いても、同じように $x=82$ が得られます。なお、後半に出てくる「これは問題にあっている」は、後に出てくる別ページで説明します。
差がわかっている問題その2
これも、わからないものが2つあります。ジュースの値段と水の値段です。手がかりは、代金が1600円であることと、ジュースが水より40円高いこと、この2つです。
わからないものが2つあると言っても、先ほどの例題と同じように、片方がわかればもう片方がわかります。そのため、どちらかを $x$ で置いて考えてみましょう。
今、ジュースの値段を知りたいので、ジュース1本の値段を $x$ 円と置いてみましょう。すると、水1本の値段は、ジュース1本より40円安いので、 $(x-40)$ 円となります。2つの値段を $x$ で表すことができたので、あとは「購入代金の合計が1600円であった」ことを等式で表せばいいですね。方程式を作って解いていくと、次のようになります。
\begin{eqnarray}
x\times 7+(x-40)\times 5 &=& 1600 \\[5pt]
7x+5x-200 &=& 1600 \\[5pt]
12x &=& 1600+200 \\[5pt]
x &=& 1800\div 12 \\[5pt]
&=& 150 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。このことから、ジュースは150円であったことがわかります。
このとき、水は110円になります。試しに、代金を計算してみると、\[ 150\times 7 +110\times 5 =1050+550=1600 \]となり、たしかに1600円となることがわかります。
この問題でも、「ジュース1本が水1本より40円高い」ことから方程式を作る方法もなくはないです。が、とても面倒です。あえてやるなら、次のようになります。まず、ジュース1本の値段を $x$ 円とします。すると、ジュースの購入代金は、 $7x$ 円となるので、水の購入代金は\[ 1600-7x \]円となります。5本買ってこの代金なので、水1本の値段は、\[ \dfrac{1600-7x}{5} \]円となります。ジュース1本が水1本より40円高いから\[ x=\dfrac{1600-7x}{5}+40 \]となります。これを解けば求められます。しかし、面倒ですね。どのように方程式を作るかで、計算の難易度は変わってしまいます。基本的には、一番複雑な関係を方程式にすると、計算しやすくなります。
おわりに
ここでは、わからないものが2つあるが、差がわかっている状況で、一次方程式を利用する問題を見ました。わからないものが2つあっても、差がわかっているのだから、片方を $x$ とすれば、もう片方も $x$ を使った式で表すことができます。このことを利用して、方程式を作るようにしましょう。