【基本】和や定数倍の微分

ここでは、微分可能な関数の和や定数倍を微分するとどうなるか、を見ていきます。

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定数倍の微分

【基本】整式の導関数でも扱った内容ですが、一般的な状況で考えてみましょう。

関数 $f(x)$ が微分可能だとします。このとき、定数 $k$ を掛けた、 $kf(x)$ の微分について考えてみます。

定義通りに考えると
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{h\to 0}\frac{kf(x+h)-kf(x)}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to 0}k \times \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \\[5pt] &=&
k f'(x)
\end{eqnarray}となります。1行目は微分の定義です。1行目から2行目は、因数分解をしただけです。2行目から3行目は、定数倍の極限の性質を使っています(参考:【基本】関数の極限の性質)。また、 $f(x)$ が微分可能であることも使っています。

つまり、「定数倍の微分は、微分の定数倍」となることがわかります。

和の微分

今度は、微分可能な2つの関数 $f(x),g(x)$ の和の微分を考えてみましょう。

これも定義通りに考えて
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{h\to 0}\frac{\{ f(x+h)+g(x+h) \}-\{ f(x)+g(x) \}}{h} \\[5pt] &=&
\lim_{h\to 0}\left\{\frac{f(x+h)-f(x)}{h} +\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\right\} \\[5pt] &=&
f'(x)+g'(x)
\end{eqnarray}となります。1行目は微分の定義です。1行目から2行目は、単純に足す順番を変えただけです。2行目から3行目は、和の極限の性質を使い、 $f(x),g(x)$ が微分可能であることも使っています(参考:【基本】関数の極限の性質)。

つまり、「和の微分は、微分の和」となります。

和と定数倍を組み合わせた微分

先ほど見た、定数倍の微分と和の微分を組み合わせて、 $kf(x)+lg(x)$ の微分を考えることもできます。

$f(x)$, $g(x)$ が微分可能なら、 $kf(x)$, $lg(x)$ も微分可能(定数倍だから)であり、 $kf(x)+lg(x)$ も微分可能(和だから)となります。この微分は、 $kf(x)$ と $lg(x)$ をそれぞれ微分したものの和であり、「定数倍の微分は微分の定数倍」だったので、微分した結果は\[ kf'(x)+lg'(x) \]となります。

ここまでの内容をまとめると、次のようになります。

和や定数倍の微分
2つの関数 $f(x),g(x)$ は微分可能で、 $h,k$ は定数とする。このとき、次が成り立つ。
\begin{eqnarray}
& & \{ kf(x) \}’ = kf'(x) \\[5pt] & & \{ f(x)+g(x) \}’ = f'(x)+g'(x) \\[5pt] & & \{ kf(x)+lg(x) \}’ = kf'(x)+lg'(x) \\[5pt] \end{eqnarray}

1つ目と2つ目は、3つ目の特殊バージョン、と考えることもできます。 $l=0$ とすれば1つ目が得られ、 $k=l=1$ とすれば、2つ目が得られるからです。

なお、 $k=1,l=-1$ とすると、 $f(x)-g(x)$ の微分が $f'(x)-g'(x)$ となることがわかります。差の微分は、微分の差になる、ということです。

これらの内容は、以前に微分の内容を学んだときにも見た内容です。ただ、以前は、整式で表された関数、特に、三次関数を想定して考えていました。しかし、上の証明を見てもわかる通り、ここで見た性質は、「微分可能」という条件しか使っていません。つまり、三次関数の微分でも使えますが、もっと広く、微分可能ないろいろな関数で適用できる、ということです。

とはいっても、まだ微分可能な関数にどんなものがあるか、具体的には見ていない状況なので、よくわからないですね。今後、微分可能な関数がどんどん増えていくのですが、しばらくの間は、具体的な関数の計算に入る前に、一般的な性質を見ていくことになります。

おわりに

ここでは、和や定数倍の微分について見てきました。足してから微分しても、微分してから足しても、答えは同じです。定数倍のときも、どちらから先に計算しても構いません。証明は、定義に戻って計算することで示すことができます。