東京大学 理系 2019年度 第2問 解説
問題編
問題
一辺の長さが $1$ の正方形 ABCD を考える。3点 P, Q, R はそれぞれ辺 AB, AD, CD 上にあり、3点 A, P, Q および3点 P, Q, R はどちらも面積が $\dfrac{1}{3}$ の三角形の3頂点であるとする。
$\dfrac{\mathrm{ DR } }{\mathrm{ AQ } }$ の最大値、最小値を求めよ。
考え方
計算しやすいように座標をうまくとりましょう。三角形 PQR の面積は、座標から計算する公式を使いましょう。 Q の座標を決めれば、 P, R の座標も決まるため、あとは微分すればおしまいです。
東京大学 文系 2019年度 第1問 解説には、誘導付きで出題されています。
解答編
問題
一辺の長さが $1$ の正方形 ABCD を考える。3点 P, Q, R はそれぞれ辺 AB, AD, CD 上にあり、3点 A, P, Q および3点 P, Q, R はどちらも面積が $\dfrac{1}{3}$ の三角形の3頂点であるとする。
$\dfrac{\mathrm{ DR } }{\mathrm{ AQ } }$ の最大値、最小値を求めよ。
解答
$\mathrm{ A }(0,0)$, $\mathrm{ B }(0,1)$, $\mathrm{ C }(1,1)$, $\mathrm{ D }(1,0)$ とおく。このとき、 $\mathrm{ P }(0,p)$, $\mathrm{ Q }(q,0)$, $\mathrm{ R }(1,r)$ とかける。なお、p, q は正の実数、 r は0以上の実数であり、3つとも1以下である。
三角形 APQ の面積は、 $\dfrac{pq}{2}$ であり、これが $\dfrac{1}{3}$ なので、\[
p=\frac{2}{3q} \]と書ける。 $0\leqq p\leqq 1$ なので、 $\dfrac{2}{3}\leqq q\leqq 1$ となる。
また、 $\overrightarrow{ \mathrm{ QP } }=(-q,p)$, $\overrightarrow{ \mathrm{ QR } }=(1-q,r)$ なので、三角形 PQR の面積は、
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{2} | -qr-p(1-q) | \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2} \{ (1-q)p+qr \} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。これが $\dfrac{1}{3}$ であるから、 $p=\dfrac{2}{3q}$ を代入すると、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} \left\{ (1-q)\cdot\dfrac{2}{3q}+qr \right\} &=& \dfrac{1}{3} \\[5pt]
\dfrac{2}{3q}-\dfrac{2}{3}+qr &=& \dfrac{2}{3} \\[5pt]
qr &=& \dfrac{4}{3}-\dfrac{2}{3q} \\[5pt]
r &=& \dfrac{4}{3q}-\dfrac{2}{3q^2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
$\dfrac{2}{3}\leqq q \leqq 1$ の範囲では、\[ r=\frac{4q-2}{3q^2} \]は0以上である。また、
\begin{eqnarray}
3q^2-4q+2&=&3 \left(q-\frac{2}{3}\right)^2+\frac{2}{3} \geqq 0
\end{eqnarray}なので、\[ r=\dfrac{4q-2}{3q^2}\leqq 1 \]であることもわかる。
$\dfrac{\mathrm{ DR } }{\mathrm{ AQ } }$ は、 $\dfrac{r}{q}$ のことなので、この値を $f(q)$ とおくと
\begin{eqnarray}
f(q)
&=&
\dfrac{4}{3q^2}-\dfrac{2}{3q^3}
\end{eqnarray}であるから
\begin{eqnarray}
f'(q)
&=&
\dfrac{4\cdot(-2)}{3q^3}-\dfrac{2\cdot(-3)}{3q^4} \\[5pt]
&=&
\dfrac{-8q+6}{3q^4} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $f'(q)=0$ とすると $q=\dfrac{3}{4}$ なので、増減表は次のようになる。
\begin{array}{c|ccccc}
q & \frac{2}{3} & \cdots & \frac{3}{4} & \cdots & 1 \\
\hline
f’(q) & & + & 0 & – & \\
\hline
f(q) & & \nearrow & & \searrow &
\end{array}よって、最大値は
\begin{eqnarray}
f \left(\frac{3}{4}\right)
&=&
\frac{4}{3}\cdot\frac{16}{9}-\frac{2}{3}\cdot\frac{64}{27} \\[5pt]
&=&
\frac{3\cdot 64}{81}-\frac{2\cdot 64}{81} \\[5pt]
&=&
\frac{64}{81} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。最小値については、
\begin{eqnarray}
f \left(\frac{2}{3}\right)
&=&
\frac{4}{3}\cdot\frac{9}{4}-\frac{2}{3}\cdot\frac{27}{8} \\[5pt]
&=&
3-\frac{9}{4} \\[5pt]
&=&
\frac{3}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}と
\begin{eqnarray}
f (1)
&=&
\frac{4}{3}-\frac{2}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}から、 $\dfrac{2}{3}$ が最小値であることがわかる。
よって、 $\dfrac{\mathrm{ DR } }{\mathrm{ AQ } }$ は、 $\mathrm{ AQ }=\dfrac{3}{4}$ のときに最大値 $\dfrac{64}{81}$ をとり、 $\mathrm{ AQ }=1$ のときに最小値 $\dfrac{2}{3}$ をとる。
(終)
参考
なお、四角形 APRQ の面積が $\dfrac{2}{3}$ であり、 AR で分割することで、\[ \frac{p}{2}+\frac{qr}{2}=\frac{2}{3} \]になることに気づけば、この公式を使う必要はありません。