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共通テスト 数学I・数学A 2021年度追試 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

問題編

問題

 正の整数 $m$ に対して\[ a^2+b^2+c^2+d^2=m,\ a\geqq b\geqq c \geqq d\geqq 0 \ \cdots① \]を満たす整数 $a,b,c,d$ の組がいくつあるかを考える。

(1) $m=14$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組 $(a,b,c,d)$ は\[ \left(\myBox{ア},\ \myBox{イ},\ \myBox{ウ},\ \myBox{エ}\right) \]のただ一つである。

 また、 $m=28$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組の個数は $\myBox{オ}$ 個である。

(2) $a$ が奇数のとき、整数 $n$ を用いて $a=2n+1$ と表すことができる。このとき、 $n(n+1)$ は偶数であるから、次の条件がすべての奇数 $a$ で成り立つような正の整数 $h$ のうち、最大のものは $h=\myBox{カ}$ である。

 

  条件: $a^2-1$ は $h$ の倍数である。

 

よって、 $a$ が奇数のとき、 $a^2$ を $\mybox{カ}$ で割ったときの余りは $1$ である。

 また、 $a$ が偶数のとき、 $a^2$ を $\mybox{カ}$ で割ったときの余りは、 $0$ または $4$ のいずれかである。

(3) (2)により $a^2+b^2+c^2+d^2$ が $\mybox{カ}$ の倍数ならば、整数 $a,b,c,d$ のうち、偶数であるものの個数は $\myBox{キ}$ 個である。

(4) (3) を用いることにより、 $m$ が $\mybox{カ}$ の倍数であるとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ が求めやすくなる。

 例えば、 $m=224$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組 $(a,b,c,d)$ は\[ \left(\myBox{クケ},\ \myBox{コ},\ \myBox{サ},\ \myBox{シ}\right) \]のただ一つであることがわかる。

(5) $7$ の倍数で $896$ の約数である正の整数 $m$ のうち、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組の個数が $\mybox{オ}$ 個であるものの個数は $\myBox{ス}$ 個であり、そのうち最大のものは $m=\myBox{セソタ}$ である。

考え方

約数・倍数の性質を使って、整数解を求めていく問題です。この問題にあるような手法は、整数問題を解くときにはよく使われるものですが、触れたことがない人には少し難しい流れかもしれません。

そもそも、高校の整数の分野で学ぶ項目がほとんどないため、応用問題としての要素が強いです。


解答編

問題

 正の整数 $m$ に対して\[ a^2+b^2+c^2+d^2=m,\ a\geqq b\geqq c \geqq d\geqq 0 \ \cdots① \]を満たす整数 $a,b,c,d$ の組がいくつあるかを考える。

(1) $m=14$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組 $(a,b,c,d)$ は\[ \left(\myBox{ア},\ \myBox{イ},\ \myBox{ウ},\ \myBox{エ}\right) \]のただ一つである。

 また、 $m=28$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組の個数は $\myBox{オ}$ 個である。

解説

$a^2+b^2+c^2+d^2=14$ を満たす整数 $a,b,c,d$ について考えます。

まず、 $a$ は $4$ 以上になることはありません。また、 $a$ が $1$ 以下なら、左辺は $4$ 以下となってしまうので、 $1$ 以下となることもありません。そのため、 $a$ は $3$ か $2$ の場合しかありません。

$a=3$ とすると、 $b^2+c^2+d^2=5$ なので、同様に絞っていくと、 $b=2$, $c=1$, $d=0$ のときにだけ条件を満たすことがわかります。 $a=2$ の場合は、 $b^2+c^2+d^2=10$ となり、条件を満たすものはありません。

以上から、 $m=14$ のとき、①を満たす整数の組 $(a,b,c,d)$ は $(3,2,1,0)$ だけであることがわかります。

次に、 $m=28$ のときを考えます。

$6^2=36$ なので、①を満たすなら、 $a$ は $5$ 以下です。 $a$ が $2$ 以下なら、左辺は最大でも $16$ なので、 $a$ は $3$ 以上です。なので、①を満たすなら、 $a$ は $5,4,3$ のどれかです。

$a=5$ とすると、 $b^2+c^2+d^2=3$ なので、同様に絞っていくと、 $b=c=d=1$ のときだけが条件を満たすことがわかります。

$a=4$ とすると、 $b^2+c^2+d^2=12$ なので、 $b=c=d=2$ のときだけが条件を満たすことがわかります。

$a=3$ とすると、 $b^2+c^2+d^2=19$ なので、 $b=c=3,d=1$ のときだけが条件を満たすことがわかります。

以上から、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組は $3$ 個だとわかります。

解答

アイウエ:3210
オ:3

解答編 つづき

(2) $a$ が奇数のとき、整数 $n$ を用いて $a=2n+1$ と表すことができる。このとき、 $n(n+1)$ は偶数であるから、次の条件がすべての奇数 $a$ で成り立つような正の整数 $h$ のうち、最大のものは $h=\myBox{カ}$ である。

 

  条件: $a^2-1$ は $h$ の倍数である。

 

よって、 $a$ が奇数のとき、 $a^2$ を $\mybox{カ}$ で割ったときの余りは $1$ である。

 また、 $a$ が偶数のとき、 $a^2$ を $\mybox{カ}$ で割ったときの余りは、 $0$ または $4$ のいずれかである。

解説

問題文の前半のように $a$ を奇数とすると、
\begin{eqnarray} a^2-1 &=& (a+1)(a-1) \\[5pt] &=& (2n+1+1)(2n+1-1) \\[5pt] &=& 4n(n+1) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。 $n(n+1)$ は必ず偶数なので、 $4n(n+1)$ は必ず $8$ の倍数となります。

よって、 $a$ が奇数のとき、 $a^2-1$ は $8$ の倍数となります。 $a=3$ とすると $a^2-1=8$ なので、 $8$ より大きい数の倍数になるとは限らないため、条件「 $a^2-1$ は $h$ の倍数である。」を満たす最大の整数 $h$ は $8$ だとわかります。

このことから、 $a$ が奇数のときは、 $a^2$ を $8$ で割った余りは $1$ となります。 $a$ が偶数のときは、 $a^2$ は $4$ の倍数になり、 $8$ で割った余りは $0$ か $4$ になります。

なお、問題文の後半(「また、」以降の部分)を見れば、カ には $4$ より大きい数が入ることがわかります。

解答

カ:8

解答編 つづき

(3) (2)により $a^2+b^2+c^2+d^2$ が $\mybox{カ}$ の倍数ならば、整数 $a,b,c,d$ のうち、偶数であるものの個数は $\myBox{キ}$ 個である。

解説

$a,b,c,d$ がすべて奇数なら、 $a^2,b^2,c^2,d^2$ を $8$ で割った余りはいずれも $1$ なので、 $a^2+b^2+c^2+d^2$ を $8$ で割った余りは $4$ となります。

$a,b,c,d$ のうち、奇数が3個で偶数が1個なら、 $a^2+b^2+c^2+d^2$ を $8$ で割った余りは $3$ となります。

以下、同じように考えると、 $a^2+b^2+c^2+d^2$ が $8$ の倍数であるのは、 $a,b,c,d$ がすべて偶数のときだけだとわかります。 $a,b,c,d$ のうち、偶数の個数は $4$ 個です。

解答

キ:4

解答編 つづき

(4) (3) を用いることにより、 $m$ が $\mybox{カ}$ の倍数であるとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ が求めやすくなる。

 例えば、 $m=224$ のとき、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組 $(a,b,c,d)$ は\[ \left(\myBox{クケ},\ \myBox{コ},\ \myBox{サ},\ \myBox{シ}\right) \]のただ一つであることがわかる。

解説

$m=224$ とすると、この $m$ は $8$ の倍数なので、①を満たす整数 $a,b,c,d$ はすべて偶数です。それぞれを $2$ で割ったときの商を $a_1,b_1,c_1,d_1$ とおけば、\[ a_1^2+b_1^2+c_1^2+d_1^2=224\div4=56 \]となります。

$56$ は $8$ の倍数なので、 $a_1,b_1,c_1,d_1$ もすべて偶数です。これらをそれぞれ $2$ で割ったときの商を $a_2,b_2,c_2,d_2$ とおけば、\[ a_2^2+b_2^2+c_2^2+d_2^2=56\div4=14 \]となります。

(1)で見たように、これを満たす整数の組 $(a_2,b_2,c_2,d_2)$ は $(3,2,1,0)$ だけです。よって、 $m=224$ のときに①を満たす $(a,b,c,d)$ は、このときの値をそれぞれ $4$ 倍して $(12,8,4,0)$ だけだと求められます。

解答

クケコサシ:12840

解答編 つづき

(5) $7$ の倍数で $896$ の約数である正の整数 $m$ のうち、①を満たす整数 $a,b,c,d$ の組の個数が $\mybox{オ}$ 個であるものの個数は $\myBox{ス}$ 個であり、そのうち最大のものは $m=\myBox{セソタ}$ である。

解説

$896$ を素因数分解すると $2^7\cdot 7$ と表されるので、 $7$ の倍数で $896$ の約数であり正の整数は、 $2^n\cdot 7$ と表すことができます( $n=0,1,2,\cdots, 7$ )。

(4)と同様に考えると、 $m$ が $8$ の倍数のとき、①を満たす整数の組 $(a,b,c,d)$ は、 $\dfrac{m}{4}$ のときの組のそれぞれの値に $2$ を掛けたものになるため、 $\dfrac{m}{4}$ のときと組の個数は一致します。

つまり、 $m=2^7\cdot 7$ のときの組の個数は、 $m=2^5\cdot 7$ のときの組の個数と等しく、 $m=2^3\cdot 7$ のとき、 $m=2^1\cdot 7$ のときと等しいことがわかります。つまり、これらの場合は、(1)より組の個数は $1$ 個だとわかります。

一方、 $m=2^6\cdot 7$ のときの組の個数は、 $m=2^4\cdot 7$ のときの組の個数と等しく、 $m=2^2\cdot 7$ のときと等しいことがわかります。つまり、これらの場合は、(1)より組の個数は $3$ 個だとわかります。

$m=2^0\cdot 7$ のときは、(1)のときと同様に候補をしぼっていくと、 $(a,b,c,d)=(2,1,1,1)$ だけが①を満たすことがわかります。( $2^2\cdot 7$ は $8$ の倍数ではないので、 $2^0\cdot 7$ の場合は、このように個別に考える必要があります)

以上から、組の個数が $3$ 個となる $m$ は、 $2^2\cdot 7$, $2^4\cdot 7$, $2^6\cdot 7$ の3個であり、最大のものは\[ 2^6\cdot 7=448 \]となることがわかります。

解答

ス:3
セソタ:448

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