センター試験 数学II・数学B 2006年度 第7問 解説
問題編
【問題】
複素数$z=x+yi$は$y\gt 0$を満たすとする。複素数平面上でzを表す点をP、0を表す点をO、1を表す点をAとする。点Bは直線OAに関してPと同じ側にあり、$\triangle \mathrm{ OAB }$は正三角形であるとする。点Qは直線OPに関してAと反対側にあり、$\triangle \mathrm{ OPQ }$は正三角形であるとする。また、点Rは直線APに関してOと反対側にあり、$\triangle \mathrm{ PAR }$は正三角形であるとする。点Q,Rが表す複素数をそれぞれ$z_1,z_2$とする。(1) 点Bが表す複素数$\beta$は\[ \beta=\frac{[ア]+\sqrt{[イ]}i}{[ウ]} \]である、点Qは、PをOのまわりに$[エオ]^{\circ}$だけ回転した点であるから$z_1=[カ]$である。[カ]に当てはまるものを、次の0~5のうちから一つ選べ。
0: $\beta z$、 1: $\displaystyle \frac{z}{\beta}$、 2: $-\beta z$、
3: $\displaystyle -\frac{z}{\beta}$、 4: $z+\beta$、 5: $\displaystyle z+\frac{1}{\beta}$点Rは、AをPのまわりに$[エオ]^{\circ}$だけ回転した点であるから、$z_2=[キ]$である。[キ]に当てはまるものを、次の0~5のうちから一つ選べ。
0: $z+\beta (1-z)$、 1: $\beta(1-z)$、 2: $1+\beta(1-z)$、
3: $\displaystyle z+\frac{1-z}{\beta}$、 4: $\displaystyle \frac{1-z}{\beta}$、 5: $\displaystyle 1+\frac{1-z}{\beta}$したがって、$\displaystyle w=\frac{z_1-\beta}{z_2-\beta}$とおくと\[ w=\frac{[クケ]+\sqrt{[コ]}i}{[サ]} \cdot \frac{z-1}{z} \]である。
(2) BQとBRが垂直に交わるのはwが純虚数のときであり、このとき、点Pはつねに$\displaystyle \frac{[シ]-\sqrt{[ス]}i}{[セ]}$を表す点を中心とする半径[ソ]の円周上にある。
【考え方】
正三角形を「60度の回転」で表現する方法は、複素数の分野では基本です。図形的な意味をマスターしておく必要があります。
前半はほとんど計算が出てきませんが、最後の問題は難しめですが、複素数の分野では基本的な変形です。
解答編
【問題】
複素数$z=x+yi$は$y\gt 0$を満たすとする。複素数平面上でzを表す点をP、0を表す点をO、1を表す点をAとする。点Bは直線OAに関してPと同じ側にあり、$\triangle \mathrm{ OAB }$は正三角形であるとする。点Qは直線OPに関してAと反対側にあり、$\triangle \mathrm{ OPQ }$は正三角形であるとする。また、点Rは直線APに関してOと反対側にあり、$\triangle \mathrm{ PAR }$は正三角形であるとする。点Q,Rが表す複素数をそれぞれ$z_1,z_2$とする。
【解説】
図は次のようになっています。
【問題】
(1) 点Bが表す複素数$\beta$は\[ \beta=\frac{[ア]+\sqrt{[イ]}i}{[ウ]} \]である、点Qは、PをOのまわりに$[エオ]^{\circ}$だけ回転した点であるから$z_1=[カ]$である。[カ]に当てはまるものを、次の0~5のうちから一つ選べ。0: $\beta z$、 1: $\displaystyle \frac{z}{\beta}$、 2: $-\beta z$、
3: $\displaystyle -\frac{z}{\beta}$、 4: $z+\beta$、 5: $\displaystyle z+\frac{1}{\beta}$
【解説】
点Bは直線OAに関してPと同じ側にあるので、虚部は正です。三角形OABが正三角形で、$\mathrm{ OA }=1$なので、点Bが表す複素数$\beta$は
\begin{eqnarray}
\beta
&=&
\cos 60^{\circ} + i\sin 60^{\circ} \\
&=&
\frac{1+\sqrt{3}i}{2}
\end{eqnarray}となります。
また、三角形OPQも正三角形で、QはOPに関してAと反対側にあるので、点Qは点PをOのまわりに60度回転したものになります。よって、点Qを表す複素数$z_1$は、\[ z_1 = \beta z \]となります。
【解答】
アイウ:132
エオ:60
カ:0
【問題】
点Rは、AをPのまわりに$[エオ]^{\circ}$だけ回転した点であるから、$z_2=[キ]$である。[キ]に当てはまるものを、次の0~5のうちから一つ選べ。0: $z+\beta (1-z)$、 1: $\beta(1-z)$、 2: $1+\beta(1-z)$、
3: $\displaystyle z+\frac{1-z}{\beta}$、 4: $\displaystyle \frac{1-z}{\beta}$、 5: $\displaystyle 1+\frac{1-z}{\beta}$
【解説】
三角形PARも正三角形で、RはAPに関してOと反対側にあるので、点RはAをPのまわりに60度回転したものとなります。
今回は原点での回転ではないので、まずPが原点Oに来るように平行移動し、回転してから、逆向きに平行移動する、という操作をします。つまり、Rが表す複素数$z_2$は、
\begin{eqnarray}
z_2 &=&
(1-z)\beta +z \\
&=& z+\beta(1-z)
\end{eqnarray}となります。
【解答】
キ:0
【問題】
したがって、$\displaystyle w=\frac{z_1-\beta}{z_2-\beta}$とおくと\[ w=\frac{[クケ]+\sqrt{[コ]}i}{[サ]} \cdot \frac{z-1}{z} \]である。
【解説】
今までの計算から、$z_1-\beta=\beta(z-1)$であり、$z_2-\beta=z-z\beta=z(1-\beta)$なので、
\begin{eqnarray}
w
&=&
\frac{z_1-\beta}{z_2-\beta} \\[5pt]
&=&
\frac{\beta}{1-\beta} \cdot \frac{z-1}{z} \\[5pt]
&=&
\frac{2\beta}{2-2\beta} \cdot \frac{z-1}{z} \\[5pt]
&=&
\frac{1+\sqrt{3}i}{1-\sqrt{3}i} \cdot \frac{z-1}{z} \\[5pt]
&=&
\frac{1+\sqrt{3}i}{1-\sqrt{3}i} \frac{1+\sqrt{3}i}{1+\sqrt{3}i} \cdot \frac{z-1}{z} \\[5pt]
&=&
\frac{1-3+2\sqrt{3}i}{1+3} \cdot \frac{z-1}{z} \\[5pt]
&=&
\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} \cdot \frac{z-1}{z} \\
\end{eqnarray}となります。
【解答】
クケコサ:-132
【問題】
(2) BQとBRが垂直に交わるのはwが純虚数のときであり、このとき、点Pはつねに$\displaystyle \frac{[シ]-\sqrt{[ス]}i}{[セ]}$を表す点を中心とする半径[ソ]の円周上にある。
【解説】
$\displaystyle w=\frac{z_1-\beta}{z_2-\beta}$は、$\angle\mathrm{ RBQ }$を表すので、BQとBRが垂直に交わるのは、wが純虚数のとき、つまり、$w=-\bar{w}$のときです。
先ほどの結果を使うと、これは次のように書き換えることができます。
\begin{eqnarray}
\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} \cdot \frac{z-1}{z} &=& -\overline{\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} \cdot \frac{z-1}{z}\right)} \\
\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} \cdot (z\bar{z}-\bar{z}) &=& \frac{1+\sqrt{3}i}{2} \cdot (z\bar{z}-z) \\
\end{eqnarray}さらに変形して、
\begin{eqnarray}
-z\bar{z} +\frac{(1+\sqrt{3}i)z}{2} +\frac{(1-\sqrt{3}i)\bar{z} }{2} &=& 0 \\
\left| z -\frac{(1-\sqrt{3}i)}{2} \right|^2 &=& 1 \\
\end{eqnarray}となります。
この式から、点Pは$\displaystyle \frac{1-\sqrt{3}i}{2}$を中心とする半径1の円周上にあることがわかります。
【解答】
シスセ:132
ソ:1