センター試験 数学II・数学B 2006年度 第3問 解説
問題編
【問題】
a,b,cを相異なる実数とする。数列$\{x_n\}$は等差数列で、最初の3項が順にa,b,cであるとし、数列$\{y_n\}$は等比数列で、最初の3項が順にc,a,bであるとする。(1) bとcはaを用いて\[ b=\frac{[アイ]}{[ウ]}a, \quad c=[エオ]a \]と表され、等差数列$\{x_n\}$の公差は$\displaystyle \frac{[カキ]}{[ク]}a$である。
(2) 等比数列$\{y_n\}$の公比は$\displaystyle \frac{[アイ]}{[ウ]}$であるから、$\{y_n\}$の初項から第8項までの和は、aを用いて\[ \frac{[ケコサ]}{[シス]}a \]と表される。
(3) 数列$\{z_n\}$は最初の3項が順にb,c,aであり、その階差数列$\{w_n\}$が等差数列であるとする。このとき、$\{w_n\}$の公差は$\displaystyle \frac{[セ]}{[ソ]}a$であり、$\{w_n\}$の一般項は\[ w_n = \frac{[タ]n-[チツ]}{[テ]}a \]である。したがって、数列$\{z_n\}$の一般項は、aを用いて\[ z_n = \frac{a}{[ト]} ([ナ]n^2-[ニヌ]n+[ネノ]) \]と表される。
【考え方】
ずっと文字が入ったままで扱いにくいですが、後半のaはおまけみたいな扱いになっているので、それほど気にする必要はありません。
一番初めの問題が、一番初めにしては難しいです。しかも、ここができないと後のすべての問題に影響してしまいます。公差と公比を文字で置いて、いくつかの式でこれらを消去する、という方針で解いていきます。
(2)は等比数列の和の公式を使うだけですね。(3)は階差数列が等差になるときを扱います。計算は煩雑ですが、最後の問題にしては計算量は少なめです。
解答編
【問題】
a,b,cを相異なる実数とする。数列$\{x_n\}$は等差数列で、最初の3項が順にa,b,cであるとし、数列$\{y_n\}$は等比数列で、最初の3項が順にc,a,bであるとする。(1) bとcはaを用いて\[ b=\frac{[アイ]}{[ウ]}a, \quad c=[エオ]a \]と表され、等差数列$\{x_n\}$の公差は$\displaystyle \frac{[カキ]}{[ク]}a$である。
【解説】
等比数列の公比をrとすると、$a=cr$、$b=cr^2$となります。
また、等差数列の公差をdとすると、$b=a+d$、$c=a+2d$となります。普通ならこの形でいいのですが、これらを等比数列の式と比較するには、cを基準に書き直す方が扱いやすくなります。つまり、$a=c-2d$、$b=c-d$と変形します。
これらの2つの式を比較すると、
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{1}
cr &=& c-2d \\
cr^2 &=& c-d
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}が成り立ちます。2つ目の式を1つ目に代入すると、
\begin{eqnarray}
cr &=& c-2(c-cr^2) \\
cr &=& -c +2cr^2
\end{eqnarray}となります。もし$c=0$とすると、$a=0$となってしまい、仮定に反します。よって$c\ne 0$だから両辺を割ると
\begin{eqnarray}
2r^2 -r -1 &=& 0 \\
(2r+1)(r-1) &=& 0 \\
\end{eqnarray}となります。$r=1$とすると、$a=b=c$となってしまい、仮定に反します。よって$\displaystyle r=-\frac{1}{2}$となります。このことから、$\displaystyle a=-\frac{1}{2}c$なので、$c=-2a$となります。また、$\displaystyle b=ar=-\frac{1}{2}a$となります。
また、公差は、$\displaystyle b-a=-\frac{3}{2}a$と求められます。
【解答】
アイウ:-12
エオ:-2
カキク:-32
【解説】
上のような出し方でも構いませんが、次のように出すことも可能です。
a,b,cが等差なので、$a+c=2b$となります。また、c,a,bが等比なので$a^2=bc$となります。1つ目の式を2つ目に代入すると
\begin{eqnarray}
(2b-c)^2 &=& bc \\
4b^2 -5bc +c^2 &=& 0 \\
(4b-c)(b-c) &=& 0 \\
\end{eqnarray}であり、$b\ne c$なので、$c=4b$となります。これを等差の式に代入すれば、$a=-2b$となります。これらを整理すれば、$\displaystyle b=-\frac{1}{2}a$と$c=-2a$が得られます。
最初の問題にしては少し難しいですね。
【問題】
(2) 等比数列$\{y_n\}$の公比は$\displaystyle \frac{[アイ]}{[ウ]}$であるから、$\{y_n\}$の初項から第8項までの和は、aを用いて\[ \frac{[ケコサ]}{[シス]}a \]と表される。
【解説】
初項がc、公比が$\displaystyle -\frac{1}{2}$なので、初項から8項までの和は、
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1-\left( -\frac{1}{2} \right)^8}{1-\left( -\frac{1}{2} \right)} c \\[5pt]
&=&
\frac{1-\frac{1}{256} }{\frac{3}{2} } c \\[5pt]
&=&
\frac{255}{256} \cdot \frac{2}{3} c \\[5pt]
&=&
\frac{85}{128} c \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。ここで、$c=-2a$も代入して
\begin{eqnarray}
& &
\frac{85}{128} (-2a) \\[5pt]
&=&
\frac{-85}{64} a \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
【解答】
ケコサシス:-8564
【問題】
(3) 数列$\{z_n\}$は最初の3項が順にb,c,aであり、その階差数列$\{w_n\}$が等差数列であるとする。このとき、$\{w_n\}$の公差は$\displaystyle \frac{[セ]}{[ソ]}a$であり、$\{w_n\}$の一般項は\[ w_n = \frac{[タ]n-[チツ]}{[テ]}a \]である。
【解説】
$\displaystyle b=-\frac{1}{2}a$、$c=-2a$なので、
\begin{eqnarray}
w_1
&=&
z_2 -z_1 \\
&=&
c-b \\
&=&
-2a-\left(-\frac{1}{2}a \right) \\
&=&
-\frac{3}{2}a \\
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
w_2
&=&
z_3 -z_2 \\
&=&
a-c \\
&=&
a-(-2a) \\
&=&
3a \\
\end{eqnarray}となります。$\{w_n\}$が等差数列になるので、公差は、$w_2-w_1=3a+\frac{3}{2}a=\frac{9}{2}a$となります。
よって、$\{w_n\}$の一般項は、
\begin{eqnarray}
& &
-\frac{3}{2}a +(n-1)\cdot\frac{9}{2}a \\[5pt]
&=&
\frac{-3+9n-9}{2}a \\[5pt]
&=&
\frac{9n-12}{2}a \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
【解答】
セソ:92
タチツテ:9122
【問題】
したがって、数列$\{z_n\}$の一般項は、aを用いて\[ z_n = \frac{a}{[ト]} ([ナ]n^2-[ニヌ]n+[ネノ]) \]と表される。
【解説】
nが2以上のとき、$z_n$は、$z_1$と、$w_i$の$i=1$から$i=n-1$までの和を加えたものです。よって、
\begin{eqnarray}
& &
b+\sum_{i=1}^{n-1} \frac{9i-12}{2}a \\[5pt]
&=&
-\frac{1}{2}a+\frac{9}{2}\cdot\frac{(n-1)n}{2}a -6(n-1)a \\[5pt]
&=&
\frac{-2 +9(n^2-n) -24(n-1) }{4}a \\[5pt]
&=&
\frac{1}{4}(9n^2-33n+22) \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。$n=1$のとき、この式は$-\frac{a}{2}$となり、このときも成り立つことがわかります。よって、これが求める一般項です。
【解答】
トナニヌネノ:493322