センター試験 数学I・数学A 2019年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
c を4以上の整数とする。整数 n に関する二つの条件 p, q を次のように定める。
p: $n^2-8n+15=0$
q: $n\gt 2$ かつ $n\lt c$(1) 次の $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 5 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
命題「 $p\implies q$ 」の逆は「 $\myBox{ス}$ 」である。また、命題「 $p\implies q$ 」の対偶は「 $\myBox{セ}$ 」である。
0: $n^2-8n+15\ne 0 \implies (n\leqq 2$ または $n\geqq c)$
1: $n^2-8n+15\ne 0 \implies (n\leqq 2$ かつ $n\geqq c)$2: $(n\leqq 2$ または $n\geqq c) \implies n^2-8n+15\ne 0$
3: $(n\gt 2$ かつ $n\lt c) \implies n^2-8n+15\ne 0$4: $(n\leqq 2$ または $n\geqq c) \implies n^2-8n+15=0$
5: $(n\gt 2$ かつ $n\lt c) \implies n^2-8n+15=0$(2) 整数 c が5以上のとき、 p は q であるための必要条件ではない。なぜならば、整数 c が5以上のとき、整数 $n=\myBox{ソ}$ はつねに命題「 $q\implies p$ 」の反例となるからである。
(3) 次の $\mybox{タ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
整数 c が $\myBox{タ}$ を満たすとき、 p は q であるための十分条件ではない。
0: $c=4$
1: $c\gt 5$2: $c=6$
3: $c\gt 7$(4) 整数全体の集合を全体集合とし、その部分集合 A, B を
\begin{eqnarray} A &=& \{ k \mid k\gt 2 \}, \\ B &=& \{ k \mid k\geqq c \} \\ \end{eqnarray}と定める。集合 A, B の補集合をそれぞれ $\overline{A}, \overline{B}$ で表す。 次の $\mybox{チ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 5 のうちから一つ選べ。整数 n に関する次の条件のうち、 q と同値である条件は $\myBox{チ}$ である。
0: $n\in A\cap B$
1: $n\in A\cap \overline{B}$
2: $n\in \overline{A}\cap B$3: $n\in A\cup B$
4: $n\in A\cup \overline{B}$
5: $n\in \overline{A}\cup B$
考え方
問題文には「必要条件ではない」や「十分条件ではない」とあり、あまり見慣れない出題となっています。しかし、これは、反例を考えましょう、ということです。仮定を満たすのに、結論を満たさないものを考えます。
【必答問題】
解答編
問題
c を4以上の整数とする。整数 n に関する二つの条件 p, q を次のように定める。
p: $n^2-8n+15=0$
q: $n\gt 2$ かつ $n\lt c$(1) 次の $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 5 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
命題「 $p\implies q$ 」の逆は「 $\myBox{ス}$ 」である。また、命題「 $p\implies q$ 」の対偶は「 $\myBox{セ}$ 」である。
0: $n^2-8n+15\ne 0 \implies (n\leqq 2$ または $n\geqq c)$
1: $n^2-8n+15\ne 0 \implies (n\leqq 2$ かつ $n\geqq c)$2: $(n\leqq 2$ または $n\geqq c) \implies n^2-8n+15\ne 0$
3: $(n\gt 2$ かつ $n\lt c) \implies n^2-8n+15\ne 0$4: $(n\leqq 2$ または $n\geqq c) \implies n^2-8n+15=0$
5: $(n\gt 2$ かつ $n\lt c) \implies n^2-8n+15=0$
解説
命題の逆とは、もとの命題の仮定と結論を入れ替えたものなので、 $q\implies p$ にあたる、選択肢5が答えです。
$p\implies q$ の対偶とは、 $\bar{q} \implies \bar{p}$ のことです。 $\bar{q}$ 、つまり、 $q$ の否定は、「 $n\leqq 2$ または $n\geqq c$ 」です。 $\bar{p}$ は、 $n^2-8n+15\ne 0$ です。なので、選択肢2が答えです。
解答
スセ:52
参考
解答編 つづき
(2) 整数 c が5以上のとき、 p は q であるための必要条件ではない。なぜならば、整数 c が5以上のとき、整数 $n=\myBox{ソ}$ はつねに命題「 $q\implies p$ 」の反例となるからである。
解説
$p$ が $q$ であるための必要条件であることは、 $q\implies p$ が成り立つことと同じですが、この問題では、「必要条件ではない」と言ってるんですね。なので、 $q\implies p$ が成り立たない例を考えます。つまり、 $q$ が成り立つのに、 $p$ が成り立たない例を考える、ということです。
条件 $p$ の式 $n^2-8n+15=0$ は、 $(n-3)(n-5)=0$ と変形できるので、 $n=3,5$ と同値です。これ以外の値では、 $p$ を満たすことはありません。
$q$ の条件は「 $n\gt 2$ かつ $n\lt c$ 」なので、c が5以上なら、n は3と4が必ず条件を満たします。
このことから、 $n=4$ は、 $q$ が成り立つのに、 $p$ が成り立たない例になっていることがわかります。
解答
ソ:4
解答編 つづき
(3) 次の $\mybox{タ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
整数 c が $\myBox{タ}$ を満たすとき、 p は q であるための十分条件ではない。
0: $c=4$
1: $c\gt 5$2: $c=6$
3: $c\gt 7$
解説
$p$ が $q$ であるための十分条件であることは、 $p\implies q$ が成り立つことと同じですが、この問題では、「十分条件ではないのはいつか」が聞かれています。なので、 $p$ が成り立つのに、 $q$ が成り立たない条件を考えます。
$p$ が成り立つということは、 $n=3$ または $n=5$ ということです。このとき、 $q$ が成り立たないのは、 $2\lt n \lt c$ を満たさないときです。 $c$ が十分大きい値であれば、 $n$ は3でも5でもいいのですが、 $c$ の値が小さくなると、 $n=5$ が範囲に入らないこともあります。
選択肢の中でいえば、 $n=5$ が範囲に入らないのは、 $c=4$ のときです。 $c=4$ のとき、 $q$ は、 $n=3$ という条件と同値です。このときは、 $n=5$ が反例となり、p が q であるための十分条件でないことがわかります。
解答
タ:0
解答編 つづき
(4) 整数全体の集合を全体集合とし、その部分集合 A, B を
\begin{eqnarray} A &=& \{ k \mid k\gt 2 \}, \\ B &=& \{ k \mid k\geqq c \} \\ \end{eqnarray}と定める。集合 A, B の補集合をそれぞれ $\overline{A}, \overline{B}$ で表す。 次の $\mybox{チ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 5 のうちから一つ選べ。整数 n に関する次の条件のうち、 q と同値である条件は $\myBox{チ}$ である。
0: $n\in A\cap B$
1: $n\in A\cap \overline{B}$
2: $n\in \overline{A}\cap B$3: $n\in A\cup B$
4: $n\in A\cup \overline{B}$
5: $n\in \overline{A}\cup B$
解説
条件 q は、「 $n\gt 2$ かつ $n\lt c$ 」です。集合 A に属するための条件 $k\gt 2$ と「 $n\gt 2$ 」とが対応しています。集合 B の補集合に属するための条件 $k\lt c$ と「 $n\lt c$ 」とが対応しています。2つの条件を同時に満たすことは、対応する集合のどちらにも属するということなので、集合の共通部分に対応します。
以上から、 q と同値な条件は\[ n\in A\cap \overline{B} \]となります。
解答
チ:1