【標準】定積分の置換積分(分数型)

ここでは、分母を微分したものが分子と一致しているような場合の定積分について見ていきます。

【広告】

分数型の定積分その1

例題1
次の定積分を計算しなさい。\[ \int_0^1 \frac{x^2+2x}{x^3+3x^2+2} dx \]

置換積分を学んだ後であれば、分母を別の文字で置いて、 $u=x^3+3x^2+2$ として考えようとする人もいるかもしれません。

このように置けば、右辺の微分が $3x^2+6x$ なので、 $(3x^2+6x)dx$ を $du$ に置き換えればいいですね。よく見ると、分子を $3$ 倍すればこの形が出てくるのでうまくいきそうです。積分範囲は
\begin{array}{c|ccc}
x & 0 & \cdots & 1 \\
\hline
u & 2 & \cdots & 6 \\
\end{array}となるので、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 \frac{x^2+2x}{x^3+3x^2+2} dx \\[5pt] &=&
\int_0^1 \frac{1}{x^3+3x^2+2}\cdot \frac{1}{3}\cdot (3x^2+6x)dx \\[5pt] &=&
\int_2^6 \frac{1}{3u}du \\[5pt] &=&
\left[ \frac{\log|u|}{3} \right]_2^6 \\[5pt] &=&
\frac{\log 6-\log 2}{3} \\[5pt] &=&
\frac{\log 3}{3} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

これでもいいのですが、今の場合はもっと簡略化できます。そもそも、被積分関数を見ると、分母を微分したものが分子に一致している(もしくは、定数倍だけ違う)ときには、 $\log$ との合成関数だと思って、置換積分を使わずにそのまま計算したほうが速く計算できます。今回の例であれば
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 \frac{x^2+2x}{x^3+3x^2+2} dx \\[5pt] &=&
\int_0^1 \frac{1}{3} \cdot \frac{(x^3+3x^2+2)’}{x^3+3x^2+2} dx \\[5pt] &=&
\left[ \frac{\log|x^3+3x^2+2|}{3} \right]_0^1 \\[5pt] &=&
\frac{\log 6-\log 2}{3} \\[5pt] &=&
\frac{\log 3}{3} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。置換積分しないため、積分区間の置き換えをする必要もありません。

置換積分は、「どんな関数との合成関数になっているか」がわかりにくい場合には便利ですが、どんな関数との合成関数かがわかる場合には、逆に面倒になってしまいます。特に、今回の例のような、「分母の微分が分子と一致」している形の場合には、 $\log $ との合成関数だとすぐにわかるので、置換積分を持ち出す必要はありません。

【広告】

分数型の定積分その2

例題2
次の定積分を計算しなさい。
\begin{eqnarray}
(1) & & \int_0^{\frac{\pi}{3}} \tan x dx \\[5pt] (2) & & \int_e^{e^2} \frac{1}{x\log x} dx \\[5pt] (3) & & \int_0^1 \frac{1}{1+e^{-x}} dx \\[5pt] \end{eqnarray}

わかりにくいですが、どれも、「分母の微分が分子」の形になっているものです。

(1)は、相互関係を使って $\tan x$ を $\dfrac{\sin x}{\cos x}$ と変形してみるとわかりますね。分母の微分を $-1$ 倍したものが分子なので、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^{\frac{\pi}{3}} \tan x dx \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{3}} \frac{-(\cos x)’}{\cos x} dx \\[5pt] &=&
\Big[ -\log|\cos x| \Big]_0^{\frac{\pi}{3}} \\[5pt] &=&
-\log \frac{1}{2}+\log 1 \\[5pt] &=&
\log 2
\end{eqnarray}となります。

(2)は、少し気付きにくいですが、分母の $\log x$ を微分すると $\dfrac{1}{x}$ になる、と考えれば、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
\int_e^{e^2} \frac{1}{x\log x} dx \\[5pt] &=&
\int_e^{e^2} \frac{(\log x)’}{\log x} dx \\[5pt] &=&
\Big[ \log|\log x| \Big]_e^{e^2} \\[5pt] &=&
\log (\log e^2) -\log (\log e) \\[5pt] &=&
\log 2
\end{eqnarray}となります。

最後の(3)はさらに気づきにくいです。分母に $1+e^{-x}$ がありますが、これを微分しても $-e^{-x}$ となってしまい、あまりうまくいきそうにありません。ただ、「この $e^{-x}$ が邪魔だな」と思って、分母・分子に $e^x$ を掛けると、「分母の微分が分子」という形が出てきます。
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 \frac{1}{1+e^{-x}} dx \\[5pt] &=&
\int_0^1 \frac{e^x}{e^x+1} dx \\[5pt] &=&
\int_0^1 \frac{(e^x+1)’}{e^x+1} dx \\[5pt] &=&
\Big[ \log |e^x+1| \Big]_0^1 \\[5pt] &=&
\log (e+1) -\log (1+1) \\[5pt] &=&
\log \frac{e+1}{2}
\end{eqnarray}これが答えです。

おわりに

ここでは、分母の微分が分子と一致している(もしくは、定数倍だけズレている)場合の定積分について見てきました。わざわざ別の文字で置き換えなくてもできる場合には、置換積分をせずに計算するようにしましょう。