【応用】不定積分の部分積分(もとの積分が現れる)

ここでは、不定積分を計算するときに、部分積分を用いると元の積分が現れるタイプのものを見ていきます。なお、 $C$ は積分定数を表します。

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元の積分が現れる部分積分

例題
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int e^x \sin x dx \]

$u=e^x$ や $u=\sin x$ とおいても、被積分関数をうまく変形することは難しそうです。片方の関数はうまく置けても、もう片方がうまくいきません。なので、置換積分は使えなさそうです。

また、部分積分を使うのも難しそうです。部分積分を使うときは、【基本】不定積分の部分積分で見たように、計算できる不定積分が出てくることがポイントでした。例えば、\[ \int x \sin x dx \]なら、 $x$ を微分すれば $1$ となり、その後の計算がうまくいきそうなので、\[ -x\cos x+\int \cos x dx \]と部分積分を使って変形するのでしたね。こう変形して、2つ目の不定積分を計算すればいいのでした。

ただ、この例題では、どちらを微分しても、うまく消えません。【基本】不定積分の部分積分(繰り返し使う)で見たように、部分積分を複数回使う方法もありますが、複数使っても、やはり消えることはありません。

ということで、置換積分も部分積分も使えなさそうな気がするのですが、実は、今の場合は、部分積分を使うことで、うまく不定積分を計算することができます。部分積分を繰り返し使っても消える関数はないのですが、それでもうまく行きます。

まず、一度、部分積分を使って変形してみましょう。 $e^x \sin x$ を $(e^x)’ \sin x$ だと思って、部分積分を使います。
\begin{eqnarray}
& &
\int e^x \sin x dx \\[5pt] &=&
e^x \sin x -\int e^x \cos x dx \\[5pt] \end{eqnarray}さらに、2つ目の不定積分に対して、もう一度部分積分を使ってみましょう。この被積分関数を $(e^x)’\cos x$ と考えて変形すると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
& &
e^x \sin x -\int e^x \cos x dx \\[5pt] &=&
e^x \sin x -\left\{ e^x \cos x -\int e^x \cdot (-\sin x) dx\right\} \\[5pt] &=&
e^x \sin x -e^x \cos x -\int e^x \sin x dx \\[5pt] \end{eqnarray}繰り返し部分積分を行っても、簡単に計算できる不定積分は出てきません。しかし、最後の式に出てきた不定積分をよく見てみましょう。これは元の不定積分と同じ形です。最初と最後だけ抜き出して書くと、次のようになります。
\begin{eqnarray}
& &
\int e^x \sin x dx \\[5pt] &=&
e^x \sin x -e^x \cos x -\int e^x \sin x dx \\[5pt] \end{eqnarray}このことから、\[ 2\int e^x \sin x dx=e^x \sin x -e^x \cos x+2C \]が成り立ちます。両辺を $2$ で割って、\[ \int e^x \sin x dx= \frac{1}{2}(e^x \sin x -e^x \cos x)+C \]となることがわかります。これが答えです。

$e^x$ や $\cos x$, $\sin x$ は、微分・積分を繰り返していくと、もとの形に戻ります。このことから、「部分積分を繰り返せば、もとの不定積分と同じ形の式があらわれる」ことがあります。これを利用して、もとの不定積分を求める、という、この例題のような方法もあります。

おわりに

ここでは、部分積分を繰り返し用いると、もとの積分があらわれることを利用して不定積分を求める問題を見ました。元の形が出てくる $e^x$ や $\cos x$, $\sin x$ が被積分関数にある場合には、この手法を使うかもしれない、と考えましょう。