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【基本】不定積分の部分積分(繰り返し使う)

ここでは、部分積分を繰り返し用いて不定積分を求める問題を見ます。なお、 $C$ は積分定数を表します。

📘 目次

部分積分の復習

【基本】不定積分の部分積分で見たように、不定積分の計算では、次のような部分積分を使うことができます。\[ \int f(x)g'(x)dx = f(x)g(x) -\int f'(x)g(x)dx \]左辺の被積分関数にあった $f(x)$ は右辺では $f'(x)$ に、 $g'(x)$ は $g(x)$ に変わっています。これにより、直接計算できなかった不定積分が計算できるようになることがあります。

例題1
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int x e^x dx \]

この被積分関数を見て、「 $x$ は、微分すると $1$ になる」ことに注目しましょう。ここから、先ほどの部分積分の式の左辺で、「 $x$ 」と「 $e^x$ を微分したもの」との積と考えれば、右辺の計算が簡単になることがわかります。これを踏まえて部分積分を行うと
\begin{eqnarray} & & \int x e^x dx \\[5pt] &=& x e^x -\int 1\cdot e^x dx \\[5pt] &=& x e^x -e^x +C \\[5pt] \end{eqnarray}となります。試しに、最後の式を微分すれば、 $xe^x$ になることがわかり、たしかに不定積分が計算できていることがわかりますね。

部分積分を繰り返し使う

例題2
次の不定積分を計算しなさい。\[ \int x^2 e^x dx \]

部分積分は繰り返し使うこともできます。

この問題では、先ほどのように、被積分関数を、「 $x^2$ 」と「 $e^x$ を微分したもの」との積だと考えても、すぐにうまくいくわけではありません。右辺には $2xe^x$ の不定積分が残ってしまうからです。しかし、先ほどの例題1で見たように、ここでもう一度部分積分を用いれば、 $xe^x$ の不定積分を計算することができます。

具体的に計算してみましょう。

まずは、「 $x^2$ 」と「 $e^x$ を微分したもの」との積だと考えて部分積分を行います。
\begin{eqnarray} & & \int x^2 e^x dx \\[5pt] &=& x^2 e^x -\int (2x)' \cdot e^x dx \\[5pt] &=& x^2 e^x -2\int x e^x dx \\[5pt] \end{eqnarray}ここで、最後の式の後半部分に対して、もう一度部分積分を使うと \begin{eqnarray} & & x^2 e^x -2\int x e^x dx \\[5pt] &=& x^2 e^x -2 \left(xe^x-\int 1\cdot e^x dx\right) \\[5pt] &=& x^2 e^x -2 xe^x +2\int e^x dx \\[5pt] &=& x^2 e^x -2 xe^x +2 e^x +C \\[5pt] \end{eqnarray}と計算できます。

このように、被積分関数が $x^n e^x$ の場合は、部分積分を使うたびに、 $e^x$ は不変のまま、 $x^n$ の次数は下がっていき、最終的には $e^x$ の不定積分だけになります。こうして、不定積分を求めることができます。

$e^x$ は積分しても形が変わらず、 $x^n$ は微分するたびに次数が減っていく、ということから、部分積分を用いてうまく計算できるようになります。

おわりに

ここでは、部分積分を繰り返し用いて、不定積分を計算する方法を見ました。なぜ繰り返し用いるかというと、ここで見た例では、 $x^n$ の次数がどんどん下がっていくからです。繰り返し用いるときは、符号や係数も複雑になっていくので、計算間違いに注意しましょう。

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