【基本】xのp乗の不定積分
ここでは、 $x$ の実数乗の不定積分について見ていきます。なお、このページに出てくる $C$ は、すべて積分定数です。
実数乗の不定積分
$x^p$ の不定積分について考えてみましょう。【基本】不定積分の復習で見たように、不定積分とは、「微分してその関数になるもの」を指すので、微分して $x^p$ となるものを考えればいいわけですね。
【標準】対数微分法と実数乗の微分で見たように、 $p$ が実数のとき、 $x^p$ を微分すると $px^{p-1}$ となります。微分することで $x$ の指数が $1$ だけ減ります。なので、積分した結果は、指数が $1$ 増えたものが関係していることがわかります。
そこで、 $x^{p+1}$ を考えてみましょう。これを微分すると $(p+1)x^p$ となります。よって、微分すると $x^p$ となる関数は、 $p\ne -1$ の場合は\[ \dfrac{1}{p+1}x^{p+1}+C \]であることがわかります。 $p\ne -1$ のときは、 $p+1$ で割ることにより、微分した結果を $x^p$ にすることができます。
では、 $p=-1$ のとき、つまり、 $\dfrac{1}{x}$ の不定積分はどうなるでしょうか。上と同じように考えても出てきませんね。そもそも、 $x^{p+1}=x^0$ となり、定数になるので、微分して $\dfrac{1}{x}$ になることはありえないです。
$\dfrac{1}{x}$ のときだけは、少し特殊です。【基本】対数関数の微分で見たように、 $\log |x|$ を微分した結果が $\dfrac{1}{x}$ となるので、 $\dfrac{1}{x}$ の不定積分は\[ \log |x|+C \]となります。
\begin{eqnarray} & & \int x^p dx =\dfrac{1}{p+1}x^{p+1} +C \\[5pt] & & \int \dfrac{1}{x} dx =\log|x| +C \\[5pt] \end{eqnarray}
$p=-1$ かどうかで結果が異なる点に注意しましょう。
実数乗の不定積分の計算
(1) $\displaystyle \int x\sqrt{x} dx$
(2) $\displaystyle \int \frac{dt}{t^2}$
(3) $\displaystyle \int \frac{(\sqrt[3]{x}+1)^2}{x} dx$
先ほど学んだことをもとに、計算してみましょう。
まず、(1)は、 $x\sqrt{x}$ をそのまま扱うことは難しいですので、 $x$ のなんとか乗の形にすることを考えましょう。そうすれば、先ほどの内容が使えます。 $x\sqrt{x}$ は $x$ の $\dfrac{3}{2}$ 乗なので、
\begin{eqnarray}
\int x\sqrt{x} dx
&=&
\dfrac{1}{\frac{3}{2}+1} x^{\frac{3}{2}+1} +C \\[5pt]
&=&
\dfrac{2}{5} x^{\frac{5}{2} } +C
\end{eqnarray}となります。計算した答えがあっているかどうかを確かめるには、微分してみましょう。
(2)も、分母に $t^2$ がありますが、これも、"なんとか乗" の形にしましょう。 $t^{-2}$ と変形できますね。 $dt$ というのは、「 $t$ で積分する( $t$ で微分して元に戻る関数を考える)」ということで、 $x$ だったところが $t$ に変わっただけと単純に考えればいいです。結果は
\begin{eqnarray}
\int \frac{dt}{t^2}
&=&
\dfrac{1}{-2+1}t^{-2+1}+C \\[5pt]
&=&
-\dfrac{1}{t}+C
\end{eqnarray}となります。
(3)は、分子を展開して考えるしかありません。【基本】不定積分の復習でも見たように、和や定数倍の積分は、積分してから和や定数倍を考えればいいんでしたね。 $x^p$ の形に変形して計算すると
\begin{eqnarray}
& &
\int \frac{(\sqrt[3]{x}+1)^2}{x} dx \\[5pt]
&=&
\int \frac{x^{\frac{2}{3} }+2x^{\frac{1}{3} }+1}{x} dx \\[5pt]
&=&
\int x^{-\frac{1}{3} } dx+2\int x^{-\frac{2}{3} } dx+\int \frac{1}{x} dx \\[5pt]
&=&
\frac{3}{2}x^{\frac{2}{3} }+6x^{\frac{1}{3} }+\log|x|+C \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
おわりに
ここでは、 $x^p$ の不定積分の計算を見ました。式の形でいえば、 $p\ne-1$ のときは、昔学んだ【基本】整式の不定積分と同じなのですが、指数が分数や負の数になると計算がかなりややこしくなります。はじめのうちは、微分して元に戻るか、検算しながら計算しましょう。