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東京大学 理系 2018年度 第3問 解説

問題編

問題

 放物線 $y=x^2$ のうち $-1\leqq x \leqq 1$ をみたす部分を C とする。座標平面上の原点 O と点 $\mathrm{ A }(1,0)$ を考える。 $k\gt 0$ を実数とする。点 PC 上を動き、点 Q が線分 OA 上を動くとき、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OR } }=\frac{1}{k}\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }+k\overrightarrow{ \mathrm{ OQ } } \]をみたす点 R が動く領域の面積を $S(k)$ とする。

 $S(k)$ および $\displaystyle \lim_{k\to+0} S(k)$, $\displaystyle \lim_{k\to \infty} S(k)$ を求めよ。

考え方

$k\overrightarrow{ \mathrm{ OQ } }$ により、横に k だけ移動することがわかります。こちらはわかりやすいので、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }$ がどのように動くかを考えましょう。

領域の面積を求める場合は、 k によって領域の形が変わることに注意しましょう。放物線を横に動かしたときに、左端が右端を追い抜くかどうかで、領域の形が変わり、積分する領域も変わります。

面積が出れば、あとの極限はおまけ問題です。


解答編

問題

 放物線 $y=x^2$ のうち $-1\leqq x \leqq 1$ をみたす部分を C とする。座標平面上の原点 O と点 $\mathrm{ A }(1,0)$ を考える。 $k\gt 0$ を実数とする。点 PC 上を動き、点 Q が線分 OA 上を動くとき、\[ \overrightarrow{ \mathrm{ OR } }=\frac{1}{k}\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }+k\overrightarrow{ \mathrm{ OQ } } \]をみたす点 R が動く領域の面積を $S(k)$ とする。

 $S(k)$ および $\displaystyle \lim_{k\to+0} S(k)$, $\displaystyle \lim_{k\to \infty} S(k)$ を求めよ。

解答

$\overrightarrow{ \mathrm{ OT } }=\dfrac{1}{k}\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }$ とする。 $-1\leqq t \leqq 1$ とし、 $\overrightarrow{ \mathrm{ OP } }=(t,t^2)$, $\overrightarrow{ \mathrm{ OT } }=(x,y)$ とする。

このとき、 $x=\dfrac{1}{k}t$ が成り立つので、 $-\dfrac{1}{k} \leqq x \leqq \dfrac{1}{k}$ が成り立つ。また、 $y=\dfrac{1}{k}t^2$ なので
\begin{eqnarray} y=\frac{1}{k} (kx)^2=kx^2 \end{eqnarray}となる。よって、 T は、 $y=kx^2$ の $-\dfrac{1}{k} \leqq x \leqq \dfrac{1}{k}$ の部分を動く。これを D とおく。

$\overrightarrow{ \mathrm{ OR } }=\overrightarrow{ \mathrm{ OT } }+k\overrightarrow{ \mathrm{ OQ } }$ なので、 R が動く領域は、線分 Dx 軸方向に k だけ動かしたときに通る領域である。

ここで、D の左端の点 $\left(-\dfrac{1}{k},\dfrac{1}{k}\right)$ を x 軸方向に k だけ移動したときに、 D の右端の点 $\left(\dfrac{1}{k},\dfrac{1}{k}\right)$ と一致するときの k を求める。
\begin{eqnarray} -\dfrac{1}{k}+k &=& \dfrac{1}{k} \\[5pt] k^2 &=& 2 \\[5pt] k &=& \pm\sqrt{2} \\[5pt] \end{eqnarray}より、 $k\gt 0$ の条件下では、 $k=\sqrt{2}$ のときだけであることがわかる。

(a) $k \geqq \sqrt{2}$ のとき

このとき、 $-\dfrac{1}{k}+k \geqq \dfrac{1}{k}$ が成り立つので、点 R が動く領域は、次のようになる。

この部分の面積は、 $x=0$, $x=k$ の部分で分けると
\begin{eqnarray} & & 2\int_0^{\frac{1}{k} } \left(\frac{1}{k}-kx^2\right) dx + \frac{1}{k} \times k \\[5pt] &=& 2\left[ \frac{x}{k}-\frac{kx^3}{3} \right]_0^{\frac{1}{k} } +1 \\[5pt] &=& \frac{2}{k^2}-\frac{2}{3k^2} +1 \\[5pt] &=& \frac{4}{3k^2} +1 \\[5pt] \end{eqnarray}と求められる。

(b) $0\lt k \lt \sqrt{2}$ のとき

このとき、 $-\dfrac{1}{k}+k \lt \dfrac{1}{k}$ が成り立つので、点 R が動く領域は、次のようになる。

この部分は、 $x=\dfrac{k}{2}$ について対称なので、面積は
\begin{eqnarray} & & 2\int_{\frac{k}{2} }^{\frac{1}{k} } kx^2 dx +2\times k\times \frac{1}{k} -2\int_k^{k+\frac{1}{k} } k(x-k)^2 dx \\[5pt] &=& 2\int_{\frac{k}{2} }^{\frac{1}{k} } kx^2 dx +2 -2\int_0^{\frac{1}{k} } kx^2 dx \\[5pt] &=& 2\int_{\frac{k}{2} }^{0} kx^2 dx +2 \\[5pt] &=& 2\left[ \frac{kx^3}{3} \right]_{\frac{k}{2} }^{0} +2 \\[5pt] &=& -\frac{k^4}{12} +2 \\[5pt] \end{eqnarray}と求められる。

また、
\begin{eqnarray} \lim_{k\to+0} S(k) &=& \lim_{k\to+0} \left(-\frac{k^4}{12} +2\right) \\[5pt] &=& 2 \end{eqnarray}であり、 \begin{eqnarray} \lim_{k\to\infty} S(k) &=& \lim_{k\to\infty} \left(\frac{4}{3k^2} +1\right) \\[5pt] &=& 1 \end{eqnarray}となる。

以上より、
$S(k)$ は、 $k \geqq \sqrt{2}$ のときは $\dfrac{4}{3k^2} +1$、 $0\lt k \lt \sqrt{2}$ のときは $-\dfrac{k^4}{12} +2$ であり、\[ \lim_{k\to+0} S(k)=2, \ \lim_{k\to\infty} S(k)=1 \]となる。

(終)

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