京都大学 理系 2019年度 第5問 解説
問題編
問題
半径 $1$ の球面上の5点 $\mathrm{ A, B_1,B_2,B_3,B_4 }$ は、正方形 $\mathrm{ B_1B_2B_3B_4 }$ を底面とする四角錐をなしている。この5点が球面上を動くとき、四角錐 $\mathrm{ AB_1B_2B_3B_4 }$ の体積の最大値を求めよ。
考え方
底面を固定したとき、体積が最大になるような点 A の位置は、図をかけばすぐにわかるでしょう。何を変数で置くか、いくつか候補がありますが、底面積を計算するときに、うまくルートがなくなるものを選びましょう。
解答編
問題
半径 $1$ の球面上の5点 $\mathrm{ A, B_1,B_2,B_3,B_4 }$ は、正方形 $\mathrm{ B_1B_2B_3B_4 }$ を底面とする四角錐をなしている。この5点が球面上を動くとき、四角錐 $\mathrm{ AB_1B_2B_3B_4 }$ の体積の最大値を求めよ。
解答
原点を中心とした半径 $1$ の球を考える。また、正方形 $\mathrm{ B_1B_2B_3B_4 }$ は、 $xy$ 平面に平行であるとし、各頂点の $z$ 座標は $0$ 以下とする。
底面を固定したとき、高さが最大になる点 A の座標は、 $(0,0,1)$ である。このときの高さを、 $1+x$ とおく。 $x$ は、 $0\leqq x\lt 1$ の範囲を動く。
底面の対角線の半分の長さは $\sqrt{1-x^2}$ と書けるので、この四角錐の体積の最大値を考えるには、
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{3} \cdot \left\{ (\sqrt{1-x^2})^2 \cdot\frac{1}{2} \cdot 4\right\}\cdot (1+x) \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3}(1-x^2)(1+x) \\[5pt]
\end{eqnarray}の最大値を考えればよい。
$f(x)=(1-x^2)(1+x)$ とすると
\begin{eqnarray}
f'(x)
&=&
(-x^3-x^2+x+1)' \\[5pt]
&=&
-3x^2-2x^2+1 \\[5pt]
&=&
-(3x-1)(x+1) \\[5pt]
\end{eqnarray}であり、 $f'(x)=0$ とすると、 $x=-1,\dfrac{1}{3}$ である。よって、増減表は
\begin{array}{c|ccccc}
x & 0 &\cdots & \frac{1}{3} & \cdots & 1 \\
\hline
f’(x) & & + & 0 & – & \\
\hline
f(x) & & \nearrow & & \searrow &
\end{array}となるので、最大となるのは、 $x=\dfrac{1}{3}$ のときである。
よって、四角錐 $\mathrm{ AB_1B_2B_3B_4 }$ の体積の最大値は
\begin{eqnarray}
& &
\frac{2}{3}\left\{1-\left(\frac{1}{3}\right)^2\right\}\left(1+\frac{1}{3}\right) \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3}\cdot \frac{8}{9}\cdot \frac{4}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{64}{81}
\end{eqnarray}である。
(終)
解説
底面の一辺や対角線を変数とするよりも、高さを $1+x$ と置いて考えたほうが、考える関数はシンプルになります。
ここでは、最大値を求めるために微分を用いましたが、次のように変形して、相加・相乗平均の関係を使っても構いません。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{2}{3}(1-x^2)(1+x) \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3}(1-x)(1+x)(1+x) \\[5pt]
&=&
\frac{8}{3}\cdot(1-x)\cdot \frac{1+x}{2}\cdot \frac{1+x}{2} \\[5pt]
&\leqq&
\frac{8}{3}\cdot \left\{\frac{(1-x)+\frac{1+x}{2}+ \frac{1+x}{2} }{3}\right\}^3 \\[5pt]
&=&
\frac{8}{3}\cdot \left(\frac{2}{3}\right)^3 \\[5pt]
&=&
\frac{64}{81} \\[5pt]
\end{eqnarray}等号が成り立つのは、 $1-x=\dfrac{1+x}{2}$ のとき、つまり、 $x=\dfrac{1}{3}$ のときです。同じ結果が得られ、こちらのほうがはやく求められますが、思いつくのは少し難しいでしょう。