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京都大学 理系 2016年度 第1問 解説

問題編

【問題】
(1) nを2以上の自然数とするとき、関数\[f_n(\theta) = (1+\cos \theta) \sin^{n-1}\theta\]の$\displaystyle 0\leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$における最大値$M_n$を求めよ。
(2) $\displaystyle \lim_{n\to \infty} (M_n)^n$を求めよ。

【考え方】
(1)は微分して増減表を書くだけですね。(2)も形からeを使った式になるんだな、というのは簡単に思いつきます。eの定義が出てくるように、少しだけ変形が必要です。


解答編

【問題】
(1) nを2以上の自然数とするとき、関数\[f_n(\theta) = (1+\cos \theta) \sin^{n-1}\theta\]の$\displaystyle 0\leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$における最大値$M_n$を求めよ。
(2) $\displaystyle \lim_{n\to \infty} (M_n)^n$を求めよ。

【解答】
(1)
\begin{eqnarray} f_n'(\theta) &=& -\sin\theta \cdot \sin^{n-1}\theta + (1+\cos \theta) (n-1)\sin^{n-2}\theta \cos\theta \\ &=& \sin^{n-2}\theta \{ -\sin^2\theta + (1+\cos \theta) (n-1)\cos\theta \} \\ &=& \sin^{n-2}\theta \{ -1+\cos^2\theta + (1+\cos \theta) (n-1)\cos\theta \} \\ &=& \sin^{n-2}\theta (1+\cos \theta) \{ (\cos\theta-1) + (n-1)\cos\theta \} \\ &=& \sin^{n-2}\theta (1+\cos \theta) ( n\cos\theta -1) \end{eqnarray}

$\displaystyle 0\lt \theta \lt \frac{\pi}{2}$の区間では、$\cos\theta =\frac{1}{n}$を満たす$\theta$が1つだけ存在する。これを$\theta _n$とおく。また、この区間では、$\sin\theta\gt 0$、$1+\cos \theta \gt 0$なので、増減表は次のようになる。

\begin{array}{c|ccccc} \theta & 0 & \cdots & \theta_n & \cdots & \frac{\pi}{2} \\ \hline f'(\theta) & & + & 0 & - & \\ \hline f(\theta) & & \nearrow & & \searrow & \end{array} よって、$M_n=f_n(\theta_n)$である。

$\displaystyle 0\leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$の区間では、\[\sin\theta_n=\sqrt{1-\cos^2\theta_n}=\sqrt{1-\frac{1}{n^2} }\]となるから、
\begin{eqnarray} M_n=f_n(\theta_n) &=& \left( 1+ \frac{1}{n} \right)\left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{\frac{n-1}{2} } \end{eqnarray}となる。

(2)
\begin{eqnarray} (M_n)^n &=& \left( 1+ \frac{1}{n} \right)^n \left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{\frac{n-1}{2}\cdot n} \end{eqnarray}となる。

ここで、$n\to\infty$のとき、$\left( 1+ \frac{1}{n} \right)^n \to e$である。一方、
\begin{eqnarray} \left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{\frac{n-1}{2}\cdot n} &=& \left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{\frac{n^2}{2} } \left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{\frac{-n}{2} } \\ &=& \left\{\left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{-n^2} \right\}^{\frac{-1}{2} } \left( 1- \frac{1}{n} \right)^{\frac{-n}{2} } \left( 1+ \frac{1}{n} \right)^{\frac{-n}{2} } \\ &=& \left\{\left( 1- \frac{1}{n^2} \right)^{-n^2} \right\}^{\frac{-1}{2} } \left\{\left( 1- \frac{1}{n} \right)^{-n} \right\}^{\frac{1}{2} } \left\{\left( 1+ \frac{1}{n} \right)^{n} \right\}^{\frac{-1}{2} } \end{eqnarray}なので、$n\to\infty$のとき、$e^{\frac{-1}{2} } e^{\frac{1}{2} } e^{\frac{-1}{2} }=e^{\frac{-1}{2} }$に収束する。

以上から、
\begin{eqnarray} \lim_{n\to \infty}(M_n)^n &=& e \cdot e^{\frac{-1}{2} } = \sqrt{e} \end{eqnarray}となる。

【解答終】

【解説】
(2)の後半は見た目の式がすごいことになっていますが、eの定義が出てくるように無理やり変形しているだけなので、そんなに難しい計算をしているわけではありません。(1)(2)ともに、標準的な計算問題です。

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