京都大学 文系 2018年度 第1問 解説
問題編
問題
a は正の実数とし、座標平面内の点 $(x_0,y_0)$ は2つの曲線
\begin{eqnarray} & & C_1: y=|x^2-1| \\[5pt] & & C_2: x^2-2ax+2 \end{eqnarray}の共有点であり、 $|x_0|\ne 1$ を満たすとする。 $C_1$ と $C_2$ が $(x_0,y_0)$ で共通の接線をもつとき、 $C_1$ と $C_2$ で囲まれる部分の面積を求めよ。
考え方
まずは、接点がどこにあるかを考え、他の共有点がどこにあるかを考えていきます。考えている途中で、接点の座標や a が求められます。
面積の計算は少し面倒です。
解答編
問題
a は正の実数とし、座標平面内の点 $(x_0,y_0)$ は2つの曲線
\begin{eqnarray} & & C_1: y=|x^2-1| \\[5pt] & & C_2: x^2-2ax+2 \end{eqnarray}の共有点であり、 $|x_0|\ne 1$ を満たすとする。 $C_1$ と $C_2$ が $(x_0,y_0)$ で共通の接線をもつとき、 $C_1$ と $C_2$ で囲まれる部分の面積を求めよ。
解答
$|x|\gt 1$ の範囲では、 $C_1$ は $y=x^2-1$ のグラフと一致する。 $|x_0|\gt 1$ とすると、この点での $C_1$ の接線の傾きは $2x_0$ であり、 $C_2$ の接線の傾きは $2x_0-2a$ となる。 a は正の実数なので、この2つが一致することはない。
$|x|\lt 1$ の範囲では、 $C_1$ は $y=1-x^2$ のグラフと一致する。 $|x_0|\lt 1$ とすると、この点での $C_1$ の接線の傾きは $-2x_0$ なので、 $C_2$ の接線の傾きと等しいとすると
\begin{eqnarray}
-2x_0 &=& 2x_0-2a \\[5pt]
-4x_0 &=& -2a \\[5pt]
x_0 &=& \frac{a}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
また、接点では y 座標も等しいため
\begin{eqnarray}
1-x_0^2 &=& x_0^2-2ax_0+2 \\[5pt]
1-\frac{a^2}{4} &=& \frac{a^2}{4}-2a\times\frac{a}{2}+2 \\[5pt]
-\frac{a^2}{4} &=& \frac{a^2}{4}-a^2+1 \\[5pt]
\frac{a^2}{2} &=& 1 \\[5pt]
a^2 &=& 2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $a\gt 0$ より、\[ a=\sqrt{2} \]である。
$C_1$ と $C_2$ はどちらも二次関数のグラフなので、 $|x|\lt 1$ の範囲では接点以外の共有点はない。 $|x|\geqq 1$ での共有点の x 座標は
\begin{eqnarray}
x^2-1 &=& x^2-2\sqrt{2}x+2 \\[5pt]
2\sqrt{2}x &=& 3 \\[5pt]
x &=& \frac{3}{2\sqrt{2} } \\[5pt]
\end{eqnarray}である。
以上より、求める面積は
\begin{eqnarray}
& & \int_{\sqrt{2}/2}^1 \{ (x^2-2\sqrt{2}x+2)-(1-x^2) \}dx \\
& & \ +\int_1^{3/2\sqrt{2} } \{ (x^2-2\sqrt{2}x+2)-(x^2-1) \}dx \\[5pt]
&=&
\int_{\sqrt{2}/2}^1 (2x^2-2\sqrt{2}x+1) dx \\
& & \ +\int_1^{3/2\sqrt{2} } (-2\sqrt{2}x+3)dx \\[5pt]
&=&
\left[ \frac{2}{3}x^3-\sqrt{2}x^2+x \right]_{\sqrt{2}/2}^1 \\
& & \ +\left[ -\sqrt{2}x^2+3x \right]_1^{3/2\sqrt{2} } \\[5pt]
&=&
\left(\frac{2}{3}-\sqrt{2}+1\right) \\
& &
-\left(\frac{2}{3}\cdot\frac{\sqrt{2} }{4}-\sqrt{2}\cdot\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{2} }{2}\right) \\
& &
+\left(-\sqrt{2}\cdot\frac{9}{8}+3\cdot\frac{3\sqrt{2} }{4}\right) \\
& &
-\left(-\sqrt{2}+3\right) \\[5pt]
&=&
\frac{5}{3}-\sqrt{2}-\frac{\sqrt{2} }{6} \\
& &
+\frac{9}{8}\sqrt{2}+\sqrt{2}-3 \\[5pt]
&=&
-\frac{4}{3}+\frac{23}{24}\sqrt{2}
\end{eqnarray}と求められる。
(終)