センター試験 数学II・数学B 2020年度 第1問 [1] 解説
【必答問題】
問題編
問題
(1) $0\leqq \theta \lt 2\pi$ のとき\[ \sin\theta\gt\sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right) \quad \cdots ① \]となる $\theta$ の値の範囲を求めよう。
加法定理を用いると\[ \sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right) = \dfrac{\sqrt{\myBox{ア} }}{\myBox{イ} }\cos\theta+\dfrac{\myBox{ウ} }{\mybox{イ} }\sin\theta \]である。よって、三角関数の合成を用いると、①は、\[ \sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{\myBox{エ} }\right) \lt 0 \]と変形できる。したがって、求める範囲は\[ \dfrac{\myBox{オ} }{\myBox{カ} }\pi \lt \theta \lt \dfrac{\myBox{キ} }{\myBox{ク} }\pi \]である。
(2) $0\leqq \theta\leqq \dfrac{\pi}{2}$ とし、 $k$ を実数とする。 $\sin\theta$ と $\cos\theta$ は $x$ の2次方程式 $25x^2-35x+k=0$ の解であるとする。このとき、解と係数の関係により $\sin\theta+\cos\theta$ と $\sin\theta\cos\theta$ の値を考えれば、 $k=\myBox{ケコ}$ であることがわかる。
さらに、 $\theta$ が $\sin\theta\geqq \cos\theta$ を満たするとすると、 $\sin\theta=\dfrac{\myBox{サ} }{\myBox{シ} }$, $\cos\theta=\dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セ} }$ である。このとき、 $\theta$ は $\myBox{ソ}$ を満たす。 $\myBox{ソ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 5 のうちから一つ選べ。
0: $0\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{12}$
1: $\dfrac{\pi}{12}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{6}$
2: $\dfrac{\pi}{6}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{4}$
3: $\dfrac{\pi}{4}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{3}$
4: $\dfrac{\pi}{3}\leqq \theta \lt \dfrac{5}{12}\pi$
5: $\dfrac{5}{12}\pi\leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$
考え方
(1)は、加法定理や合成を使って、三角関数を含んだ不等式を解く問題です。標準的な内容です。
(2)は、解と係数の関係が出てきますが、三角関数を用いた基本的な計算を行います。後半は角度の大きさですが、 $\sin\theta$ の値がわかっても角度がわからないので、角度と正弦の値の関係を利用して考えていくようにします。
(2)の方が変わった出題方法なので難しく感じるかもしれませんが、よく見ると、ほとんど1Aの範囲です。(1)の方が難しいです。
【必答問題】
解答編
問題
(1) $0\leqq \theta \lt 2\pi$ のとき\[ \sin\theta\gt\sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right) \quad \cdots ① \]となる $\theta$ の値の範囲を求めよう。加法定理を用いると\[ \sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right) = \dfrac{\sqrt{\myBox{ア} }}{\myBox{イ} }\cos\theta+\dfrac{\myBox{ウ} }{\mybox{イ} }\sin\theta \]である。よって、三角関数の合成を用いると、①は、\[ \sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{\myBox{エ} }\right) \lt 0 \]と変形できる。したがって、求める範囲は\[ \dfrac{\myBox{オ} }{\myBox{カ} }\pi \lt \theta \lt \dfrac{\myBox{キ} }{\myBox{ク} }\pi \]である。
解説
加法定理から
\begin{eqnarray}
& &
\sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right) \\[5pt]
&=&
\sqrt{3}\left( \cos\theta\cos\dfrac{\pi}{3} +\sin\theta\sin\dfrac{\pi}{3} \right) \\[5pt]
&=&
\sqrt{3}\left( \dfrac{1}{2}\cos\theta +\dfrac{\sqrt{3} }{2}\sin\theta \right) \\[5pt]
&=&
\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta +\dfrac{3}{2}\sin\theta \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できます。
①を、右辺から左辺を引く形に変形すると
\begin{eqnarray}
\sqrt{3}\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right)-\sin\theta & \lt & 0 \\[5pt]
\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta +\dfrac{3}{2}\sin\theta-\sin\theta & \lt & 0 \\[5pt]
\dfrac{1}{2}\sin\theta+\dfrac{\sqrt{3} }{2}\cos\theta & \lt & 0 \\[5pt]
\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{3}\right) & \lt & 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できます。
$0\leqq \theta \lt 2\pi$ なので、 $\dfrac{1}{3}\pi \leqq \theta+\dfrac{1}{3}\pi \lt \dfrac{7}{3}\pi$ であり、この範囲で $\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{3}\right)\lt 0$ となるのは、 $\pi\lt\theta+\dfrac{\pi}{3}\lt 2\pi$ のときです。これより、\[ \dfrac{2}{3}\pi \lt \theta \lt \dfrac{5}{3}\pi \]と求められます。
解答
アイウ:323
エ:3
オカキク:2353
解答編 つづき
問題
(2) $0\leqq \theta\leqq \dfrac{\pi}{2}$ とし、 $k$ を実数とする。 $\sin\theta$ と $\cos\theta$ は $x$ の2次方程式 $25x^2-35x+k=0$ の解であるとする。このとき、解と係数の関係により $\sin\theta+\cos\theta$ と $\sin\theta\cos\theta$ の値を考えれば、 $k=\myBox{ケコ}$ であることがわかる。
解説
解と係数の関係から $\sin\theta+\cos\theta=\dfrac{35}{25}=\dfrac{7}{5}$ と $\sin\theta\cos\theta =\dfrac{k}{25}$ が成り立つことがわかります。1つ目の式の両辺を2乗すると
\begin{eqnarray}
(\sin\theta+\cos\theta)^2 &=& \dfrac{49}{25} \\[5pt]
1+2\sin\theta\cos\theta &=& \dfrac{49}{25} \\[5pt]
2\cdot \dfrac{k}{25} &=& \dfrac{24}{25} \\[5pt]
k &=& 12 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
解答
ケコ:12
解答編 つづき
問題
さらに、 $\theta$ が $\sin\theta\geqq \cos\theta$ を満たするとすると、 $\sin\theta=\dfrac{\myBox{サ} }{\myBox{シ} }$, $\cos\theta=\dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セ} }$ である。このとき、 $\theta$ は $\myBox{ソ}$ を満たす。 $\myBox{ソ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 5 のうちから一つ選べ。
0: $0\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{12}$
1: $\dfrac{\pi}{12}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{6}$
2: $\dfrac{\pi}{6}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{4}$
3: $\dfrac{\pi}{4}\leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{3}$
4: $\dfrac{\pi}{3}\leqq \theta \lt \dfrac{5}{12}\pi$
5: $\dfrac{5}{12}\pi\leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$
解説
$k=12$ を代入して方程式を解くと
\begin{eqnarray}
25x^2-35x+12 &=& 0 \\[5pt]
(5x-3)(5x-4) &=& 0 \\[5pt]
x &=& \dfrac{3}{5},\dfrac{4}{5} \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、 $\sin\theta\geqq\cos\theta$ なら、 $\sin\theta=\dfrac{4}{5}$, $\cos\theta=\dfrac{3}{5}$ となります。
$0\leqq \theta\leqq \dfrac{\pi}{2}$ の範囲では、 $\theta$ が大きくなるほど $\sin\theta$ の値も大きくなります。 $\sin\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt{2} }{2}=0.70\cdots\lt 0.8$ であり、 $\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\sqrt{3} }{2}=0.86\cdots \gt 0.8$ なので、 $\dfrac{\pi}{4} \leqq \theta \lt \dfrac{\pi}{3}$ となります。
解答
サシスセ:4535
ソ:3