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センター試験 数学II・数学B 2018年度追試 第5問 解説

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【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

問題編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

 ある菓子工場で製造している菓子1個あたりの重さ(単位はg)を表す確率変数を $X$ とし、 $X$ は平均 $m$ 、標準偏差 $\sigma$ の正規分布 $N(m, \sigma^2)$に従っているとする。

(1) 平均 $m$ が 50.2 で、標準偏差 $\sigma$ が 0.4 のとき、この菓子工場で製造される菓子1個あたりの重さが 50g 未満となる確率は、 $Z=\dfrac{X-m}{\sigma}$ が標準正規分布に従うので\[ P(X\lt 50) = P\left(Z\lt -\myBox{ア}.\myBox{イ}\right)=0.\myBox{ウエ} \]である。

(2) 標準偏差 $\sigma$ が 0.4 のとき、製造される菓子1個あたりの重さが 50g未満となる確率が 0.04 となるように $m$ の値を定めることを考える。まず、標準正規分布に従う確率変数 $Z$ について、 $P(Z\lt z)$ が最も $0.04$ に近い値をとる $z$ を正規分布表から求めると $P\left(Z\lt -\myBox{オ}.\myBox{カキ}\right)=0.0401$ であることがわかり、 $z=-\mybox{オ}.\mybox{カキ}$ となる。よって\[ P\left(Z\lt -\mybox{オ}.\mybox{カキ}\right)=P(X\lt 50) \]と考えることにより、 $m$ を $\myBox{クケ}.\myBox{コ}$ とすればよい。

(3) この菓子工場では、製造された菓子を無作為に 9個選び箱に詰めて 1個の商品としている。 9個の菓子の重さ(単位はg)を表す確率変数を $X_1,X_2,\cdots,X_9$ とし、平均 $m$ は 50.2、標準偏差 $\sigma$ は 0.4、また、箱の重さはすべて同じで 80g とする。商品1個あたりの重さ(単位はg)を表す確率変数を $Y$ とすると、 $Y$ の平均は $\myBox{サシス}.\myBox{セ}$、 $Y$ の標準偏差は $\myBox{ソ}.\myBox{タ}$ である。

 $X_1,X_2,\cdots,X_9$ 標本平均 $\overline{X}$ が 50未満である確率を求めよう。標本平均の分布が正規分布であることを利用すると、 $\overline{X}$ の標準偏差が $\dfrac{0.4}{\myBox{チ} }$ であるので、確率は $0.\myBox{ツテ}$ となる。

(4) この菓子工場では、新しい機械を導入した。新しい機械については、標準偏差 $\sigma$ は 0.2 であるが、平均 $m$ はわかっていない。 $m$ を推定するために、この機械で 100個の菓子を試験的に製造したところ、それらの菓子の重さの標本平均は 50.10g であった。このとき、 $m$ に対する信頼度 95% の信頼区間は\[ 50.\myBox{トナ}\leqq m \leqq \myBox{ニヌ} \]となる。

 平均 $m$ に対する信頼区間 $A\leqq m \leqq B$ において、 $B-A$ をこの信頼区間の幅とよぶ。信頼度と標準偏差 $\sigma$ は変わらないものとして、上で求めた信頼区間の幅を半分にするには、標本の大きさを $\myBox{ネ}$ にすればよい。 $\myBox{ネ}$ に当てはまるものを、次の 0~5 のうちから一つ選べ。

 0: 25
 1: 50
 2: 150
 3: 200
 4: 300
 5: 400

考え方

(1)(2)は、標準正規分布への変換、標準正規分布からの変換を計算する問題です。正規分布表を正しく見る必要があります。

(3)は、和や標本平均の分布についてです。(4)は母平均の推定で、基本的な内容です。


解答編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

 ある菓子工場で製造している菓子1個あたりの重さ(単位はg)を表す確率変数を $X$ とし、 $X$ は平均 $m$ 、標準偏差 $\sigma$ の正規分布 $N(m, \sigma^2)$に従っているとする。

(1) 平均 $m$ が 50.2 で、標準偏差 $\sigma$ が 0.4 のとき、この菓子工場で製造される菓子1個あたりの重さが 50g 未満となる確率は、 $Z=\dfrac{X-m}{\sigma}$ が標準正規分布に従うので\[ P(X\lt 50) = P\left(Z\lt -\myBox{ア}.\myBox{イ}\right)=0.\myBox{ウエ} \]である。

解説

$X\lt 50$ を変形して、左辺が $Z$ になるようにすると
\begin{eqnarray} X & \lt & 50 \\[5pt] X-50.2 & \lt & 50-50.2=-0.2 \\[5pt] \frac{X-50.2}{0.4} & \lt & \frac{-0.2}{0.4}=-0.5 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、\[ P(X\lt 50) = P\left(Z\lt -0.5\right) \]であることがわかります。

$Z$ は標準正規分布に従うので、正規分布表を使えば確率を求めることができます。
\begin{eqnarray} P(Z\lt -0.5) &=& P(Z\gt 0.5) \\[5pt] &=& P(Z\geqq 0)-P(0\leqq Z\leqq 0.5) \\[5pt] \end{eqnarray}であり、1つ目の項は $0.5$ で、2つ目の項は正規分布表より $0.1915$ なので、求める確率は\[ 0.5-0.1915=0.3085 \]となり、四捨五入して $0.31$ となります。

解答

アイ:05
ウエ:31

解答編 つづき

問題

(2) 標準偏差 $\sigma$ が 0.4 のとき、製造される菓子1個あたりの重さが 50g未満となる確率が 0.04 となるように $m$ の値を定めることを考える。まず、標準正規分布に従う確率変数 $Z$ について、 $P(Z\lt z)$ が最も $0.04$ に近い値をとる $z$ を正規分布表から求めると $P\left(Z\lt -\myBox{オ}.\myBox{カキ}\right)=0.0401$ であることがわかり、 $z=-\mybox{オ}.\mybox{カキ}$ となる。よって\[ P\left(Z\lt -\mybox{オ}.\mybox{カキ}\right)=P(X\lt 50) \]と考えることにより、 $m$ を $\myBox{クケ}.\myBox{コ}$ とすればよい。

解説

$P(Z\lt z)$ が $0.5$ より小さいので、 $z$ は負です。正規分布表が使えるように、先ほどと同じように変形すると
\begin{eqnarray} P(Z\lt z) &=& P(Z\gt -z) \\[5pt] &=& P(Z\geqq 0)-P(0\leqq Z\leqq -z) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これがもし 0.04 となるとすると \begin{eqnarray} P(Z\geqq 0)-P(0\leqq Z\leqq -z) &=& 0.04 \\[5pt] P(0\leqq Z\leqq -z) &=& 0.5-0.04=0.46 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。正規分布表から、確率が 0.46 に近い値のところを探すと 1.75 が見つかります。\[ P(0\leqq Z\leqq 1.75) =0.4599 \]となります。よって、 $z=-1.75$ だとわかります。

これより、\[ P(Z\lt -1.75)=P(X\lt 50) \]となるような $m$ を求めればいいことがわかります。 $Z=\dfrac{X-m}{\sigma}$ で、 $\sigma=0.4$ なので、
\begin{eqnarray} Z & \lt & -1.75 \\[5pt] X-m & \lt & -1.75\times 0.4=-0.07 \\[5pt] X & \lt & m-0.07 \\[5pt] \end{eqnarray}と変形できます。右辺が 50 となればいいので、 $m=50.7$ であることがわかります。

解答

オカキ:175
クケコ:507

解答編 つづき

問題

(3) この菓子工場では、製造された菓子を無作為に 9個選び箱に詰めて 1個の商品としている。 9個の菓子の重さ(単位はg)を表す確率変数を $X_1,X_2,\cdots,X_9$ とし、平均 $m$ は 50.2、標準偏差 $\sigma$ は 0.4、また、箱の重さはすべて同じで 80g とする。商品1個あたりの重さ(単位はg)を表す確率変数を $Y$ とすると、 $Y$ の平均は $\myBox{サシス}.\myBox{セ}$、 $Y$ の標準偏差は $\myBox{ソ}.\myBox{タ}$ である。

解説

$Y$ は、 $X_1$ から $X_9$ までの和と 80 を足したものですね。 $Y$ の平均は、それぞれの平均を足せばよく、 $X_1$ から $X_9$ までは、いずれも平均が 50.2 であり、定数の平均は定数そのままであることから、 $Y$ の平均は\[ 50.2\times 9+80=531.8 \]となります。

次に、 $Y$ の標準偏差ですが、これは分散を先に求めましょう。一般に、確率変数が独立であれば、和の分散は、各分散の和となります。よって、 $X_1$ から $X_9$ までの和の分散は、各 $X_i$ の分散を足し合わせたものになります。また、定数は分散に影響しないので、 $Y$ の分散は\[ 0.4^2\times 9=1.44 \]となります。よって、 $Y$ の標準偏差は $\sqrt{1.44}=1.2$ となります。

解答

サシスセ:5318
ソタ:12

解答編 つづき

問題

 $X_1,X_2,\cdots,X_9$ 標本平均 $\overline{X}$ が 50未満である確率を求めよう。標本平均の分布が正規分布であることを利用すると、 $\overline{X}$ の標準偏差が $\dfrac{0.4}{\myBox{チ} }$ であるので、確率は $0.\myBox{ツテ}$ となる。

解説

各 $X_i$ が正規分布に従っていることから、この標本平均 $\overline{X}$ も正規分布に従います。よって、確率を求めるには、平均と標準偏差がわかるといいですね。

$\overline{X}$ の平均は、もとの確率変数の平均と一緒で、50.2 となります。標準偏差は、先ほどと同じように分散から考えましょう。

$\dfrac{1}{9}(X_1+X_2+\cdots+X_9)$ の分散は、 $X_1+X_2+\cdots+X_9$ の分散の $\dfrac{1}{9^2}$ 倍になります。また、 $X_1+X_2+\cdots+X_9$ の分散は、 $X_1$ の分散の $9$ 倍になります。

以上から、 $\overline{X}$ の分散は、 $X_1$ の分散の $\dfrac{1}{9}$ 倍となります。よって、標準偏差は $\dfrac{1}{3}$ 倍になるので、 $\overline{X}$ の標準偏差は $\dfrac{0.4}{3}$ となります。

これらから、 $\overline{X}$ が50未満となる確率を求めましょう。
\begin{eqnarray} \overline{X} & \lt & 50 \\[5pt] \overline{X}-50.2 & \lt & 50-50.2=-0.2 \\[5pt] (\overline{X}-50.2)\div\dfrac{0.4}{3} & \lt & -0.2\div\dfrac{0.4}{3}=-1.5 \\[5pt] \end{eqnarray}と変形できます。最後の式の左辺は、標準正規分布に従います。正規分布表の $z_0=1.5$ のところを見れば 0.4332 だとわかるので、求める確率は、\[ 0.5-0.4332=0.0668 \]だから、四捨五入して 0.07 だとわかります。

解答

チ:3
ツテ:07

解答編 つづき

問題

(4) この菓子工場では、新しい機械を導入した。新しい機械については、標準偏差 $\sigma$ は 0.2 であるが、平均 $m$ はわかっていない。 $m$ を推定するために、この機械で 100個の菓子を試験的に製造したところ、それらの菓子の重さの標本平均は 50.10g であった。このとき、 $m$ に対する信頼度 95% の信頼区間は\[ 50.\myBox{トナ}\leqq m \leqq \myBox{ニヌ} \]となる。

 平均 $m$ に対する信頼区間 $A\leqq m \leqq B$ において、 $B-A$ をこの信頼区間の幅とよぶ。信頼度と標準偏差 $\sigma$ は変わらないものとして、上で求めた信頼区間の幅を半分にするには、標本の大きさを $\myBox{ネ}$ にすればよい。 $\myBox{ネ}$ に当てはまるものを、次の 0~5 のうちから一つ選べ。

 0: 25
 1: 50
 2: 150
 3: 200
 4: 300
 5: 400

解説

母平均の推定ですね。

標準正規分布であれば、正規分布表で $z_0=1.96$ のときの確率が 0.4750 であることから、信頼度95%とは、平均から上下1.96の範囲内であることがわかります。しかし、今の場合は、標準偏差のズレを考えなくてはいけません。

各菓子の重さの標準偏差は 0.2 です。また、(3)の後半からもわかりますが、独立同分布な確率変数 $n$ 個の平均の分散は、もとの分散の $\dfrac{1}{n}$ 倍であり、標準偏差で考えれば $\dfrac{1}{\sqrt{n} }$ 倍となります。今の場合、100個の平均をとっているので、標準偏差は $\dfrac{1}{10}$ 倍になる、ということですね。

よって、 $m$ に対する信頼度95%の信頼区間は、\[ 50.10-1.96\times\frac{0.2}{10}\leqq m\leqq 50.10+1.96\times\frac{0.2}{10} \]であり、計算して四捨五入すると\[ 50.06\leqq m\leqq 50.14 \]となります。

また、信頼度と母標準偏差が変わらないまま、信頼区間を半分にするには、標本平均の標準偏差が小さくなるようにするしかありません。この標準偏差は、標本の大きさを $n$ 倍すると $\dfrac{1}{\sqrt{n} }$ 倍になります。よって、標準偏差を $\dfrac{1}{2}$ 倍にするには、標本の大きさを4倍にすればいいので、400個にすればいいことがわかります。

解答

トナ:06
ニヌ:14
ネ:5

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