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センター試験 数学II・数学B 2018年度追試 第3問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

問題編

問題

 $s$ を定数とし、数列 $\{a_n\}$ を次のように定義する。\[ a_1=\dfrac{1}{2},\ a_{n+1}=\dfrac{2a_n+s}{a_n+2}\ (n=1,2,3,\cdots)\quad \cdots ① \]

(1) $s=4$ とする。 $a_2=\myBox{ア}$, $a_{100}=\myBox{イ}$ である。

(2) $s=0$ とする。 $b_n=\dfrac{1}{a_n}$ とおくと、 $b_1=\myBox{ウ}$ である。さらに、 $b_n$ と $b_{n+1}$ は関係式 $b_{n+1}=b_n+\dfrac{\myBox{エ} }{\myBox{オ} }$ を満たすから、 $\{a_n\}$ の一般項は\[
a_n=\dfrac{\myBox{カ} }{n+\myBox{キ} } \]である。

(3) $s=1$ とする。 $c_n=\dfrac{1+a_n}{1-a_n}$ とおくと、 $c_1=\myBox{ク}$ である。さらに、 $c_n$ と $c_{n+1}$ の関係式を求め、数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めることにより、 $\{a_n\}$ の一般項は\[ a_n=\myBox{ケ}-\dfrac{\myBox{コ} }{\myBox{サ}^{\raise5pt\myBox{シ} }+1} \]であることがわかる。ただし、 $\myBox{シ}$ については、当てはまるものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。

 0: $n-2$
 1: $n-1$
 2: $n$
 3: $n+1$
 4: $n+2$

(4) (3)の数列 $\{c_n\}$ について\[ \sum_{k=1}^n c_k c_{k+1}=\dfrac{\myBox{スセ} }{\myBox{ソ} }\left(\myBox{タ}^n-1\right) \]である。

 次に、(3)の数列 $a_n$ について考える。 $s=1$ であることに注意して、①の漸化式を変形すると\[ a_n a_{n+1}=\myBox{チ}(a_n-a_{n+1})+\myBox{ツ} \]である。ゆえに\[ \sum_{k=1}^n a_k a_{k+1}=\myBox{テ}+\dfrac{\myBox{ト} }{\mybox{サ}^{\raise5pt\myBox{ナ} }+\myBox{ニ} } \]である。ただし、 $\myBox{テ}$ と $\myBox{ナ}$ については、当てはまるものを、次の 0~4のうちから一つずつ選べ。同じものを選んでもよい。

 0: $n-2$
 1: $n-1$
 2: $n$
 3: $n+1$
 4: $n+2$

考え方

終始、計算力が必要な問題です。

(2)は、漸化式の逆数を考えてみましょう。(3)は、 $c_{n+1}$ と $c_n$ との関係を導くために、 $a_{n+1}$ と $a_n$ との関係を用います。 $c_n$ が求められても、そこから $a_n$ に変換しなければならず、なかなか大変です。 $n=1$ などとして、合っているか確認しながら進みましょう。

(4)の前半は、公比に注意しましょう。後半は、「足していくと打ち消し合う」という和を考えることになります。部分分数分解をして和を求める、というような問題に取り組んでいれば思いつけるでしょう。


【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)

解答編

問題

 $s$ を定数とし、数列 $\{a_n\}$ を次のように定義する。\[ a_1=\dfrac{1}{2},\ a_{n+1}=\dfrac{2a_n+s}{a_n+2}\ (n=1,2,3,\cdots)\quad \cdots ① \]

(1) $s=4$ とする。 $a_2=\myBox{ア}$, $a_{100}=\myBox{イ}$ である。

解説

$s=4$ を漸化式に代入すると
\begin{eqnarray} a_{n+1} &=& \frac{2a_n+4}{a_n+2}=2 \end{eqnarray}なので、 $a_2=a_{100}=2$ となります。

解答

アイ:22

解答編 つづき

問題

(2) $s=0$ とする。 $b_n=\dfrac{1}{a_n}$ とおくと、 $b_1=\myBox{ウ}$ である。さらに、 $b_n$ と $b_{n+1}$ は関係式 $b_{n+1}=b_n+\dfrac{\myBox{エ} }{\myBox{オ} }$ を満たすから、 $\{a_n\}$ の一般項は\[
a_n=\dfrac{\myBox{カ} }{n+\myBox{キ} } \]である。

解説

$b_1$ の値は\[ b_1=\dfrac{1}{a_1}=\dfrac{1}{\frac{1}{2} }=2 \]となります。

漸化式に $s=0$ を代入すると\[ a_{n+1}=\dfrac{2a_n}{a_n+2} \]となります。逆数の数列を考えるので、漸化式も逆数にして考えてみましょう。
\begin{eqnarray} \frac{1}{a_{n+1} } &=& \frac{a_n+2}{2a_n} \\[5pt] &=& \frac{1}{2}+\frac{1}{a_n} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これより、\[ b_{n+1}=b_n+\dfrac{1}{2} \]となります。

以上のことから、数列 $\{b_n\}$ は、初項が $2$ で、公差が $\dfrac{1}{2}$ の等差数列なので、一般項は
\begin{eqnarray} b_n=2+\dfrac{1}{2}(n-1)=\frac{1}{2}n+\dfrac{3}{2} \end{eqnarray}となります。この逆数が $a_n$ なので、 \begin{eqnarray} a_n &=& \frac{1}{\frac{1}{2}n+\frac{3}{2} } \\[5pt] &=& \frac{2}{n+3} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

解答

ウ:2
エオ:12
カキ:23

参考

解答編 つづき

問題

(3) $s=1$ とする。 $c_n=\dfrac{1+a_n}{1-a_n}$ とおくと、 $c_1=\myBox{ク}$ である。さらに、 $c_n$ と $c_{n+1}$ の関係式を求め、数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めることにより、 $\{a_n\}$ の一般項は\[ a_n=\myBox{ケ}-\dfrac{\myBox{コ} }{\myBox{サ}^{\raise5pt\myBox{シ} }+1} \]であることがわかる。ただし、 $\myBox{シ}$ については、当てはまるものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。

 0: $n-2$
 1: $n-1$
 2: $n$
 3: $n+1$
 4: $n+2$

解説

$c_1$ は、 $a_1=\dfrac{1}{2}$ を代入して
\begin{eqnarray} c_1 &=& \frac{1+a_n}{1-a_n} \\[5pt] &=& \frac{1+\frac{1}{2} }{1-\frac{1}{2} } \\[5pt] &=& \frac{2+1}{2-1} \\[5pt] &=& 3 \end{eqnarray}と求められます。

次に、数列 $\{c_n\}$ の一般項を考えましょう。そのために、 $c_{n+1}$ を変形して考えてみましょう。
\begin{eqnarray} c_{n+1} &=& \frac{1+a_{n+1} }{1-a_{n+1} } \\[5pt] &=& \frac{1+\frac{2a_n+1}{a_n+2} }{1-\frac{2a_n+1}{a_n+2} } \\[5pt] &=& \frac{(a_n+2)+(2a_n+1)}{(a_n+2)-(2a_n+1)} \\[5pt] &=& \frac{3a_n+3}{-a_n+1} \\[5pt] &=& 3\times \frac{1+a_n}{1-a_n} \\[5pt] &=& 3c_n \end{eqnarray}となります。つまり、数列 $\{c_n\}$ は、初項が $3$ で、公比が $3$ の等比数列です。よって、 $c_n=3^n$ となります。これから、 $a_n$ は \begin{eqnarray} 3^n &=& \frac{1+a_n}{1-a_n} \\[5pt] (1-a_n)3^n &=& 1+a_n \\[5pt] (-3^n-1)a_n &=& -3^n+1 \\[5pt] a_n &=& \frac{3^n-1}{3^n+1} \\[5pt] &=& \frac{(3^n+1)-1-1}{3^n+1} \\[5pt] &=& 1-\frac{2}{3^n+1} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められます。シには、2の $n$ が入ります。

解答

ケコサシ:1232

解答編 つづき

問題

(4) (3)の数列 $\{c_n\}$ について\[ \sum_{k=1}^n c_k c_{k+1}=\dfrac{\myBox{スセ} }{\myBox{ソ} }\left(\myBox{タ}^n-1\right) \]である。

解説

(3)より、 $c_n=3^n$ なので、
\begin{eqnarray} c_kc_{k+1}=3^k\cdot 3^{k+1}=3^{2k+1}=3\cdot 9^k \end{eqnarray}となります。これより、 $\displaystyle \sum_{k=1}^n c_k c_{k+1}$ は、初項が $27$ で公比が $9$ の等比数列の、初項から第 $n$ 項までの和なので、 \begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n c_k c_{k+1} &=& \dfrac{27(9^n-1)}{9-1} &=& \dfrac{27}{8}(9^n-1) \end{eqnarray}と求められます。

解答

スセソタ:2789

参考

【基本】等比数列の和

解答編 つづき

問題

 次に、(3)の数列 $a_n$ について考える。 $s=1$ であることに注意して、①の漸化式を変形すると\[ a_n a_{n+1}=\myBox{チ}(a_n-a_{n+1})+\myBox{ツ} \]である。ゆえに\[ \sum_{k=1}^n a_k a_{k+1}=\myBox{テ}+\dfrac{\myBox{ト} }{\mybox{サ}^{\raise5pt\myBox{ナ} }+\myBox{ニ} } \]である。ただし、 $\myBox{テ}$ と $\myBox{ナ}$ については、当てはまるものを、次の 0~4のうちから一つずつ選べ。同じものを選んでもよい。

 0: $n-2$
 1: $n-1$
 2: $n$
 3: $n+1$
 4: $n+2$

解説

$s=1$ として ①の漸化式を変形すると
\begin{eqnarray} a_{n+1} &=& \dfrac{2a_n+1}{a_n+2} \\[5pt] (a_n+2)a_{n+1} &=& 2a_n+1 \\[5pt] a_n a_{n+1} &=& 2a_n-2a_{n+1}+1 \\[5pt] &=& 2(a_n-a_{n+1})+1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

これより、 $a_k a_{k+1}$ で $k=1$ から $k=n$ までとしたものを足し合わせた結果は、 $2(a_k-a_{k+1})+1$ で $k=1$ から $k=n$ までとしたものを足し合わせた結果と同じになります。後者は、足し合わせると、たくさんの項が打ち消し合います。例えば、 $k=1$ から $k=4$ までとして考えてみましょう。
\begin{eqnarray} & & \ 2(a_1-a_2)+1 \\ & & +2(a_2-a_3)+1 \\ & & +2(a_3-a_4)+1 \\ & & +2(a_4-a_5)+1 \\ \end{eqnarray}上の式で足していくと、 $a_2$ 同士、 $a_3$ 同士、 $a_4$ 同士が打ち消し合ってなくなることがわかります。結果的に、残るものは、最初の $a_1$ と、最後の $a_5$ と、各行の後半にある $+1$ ですね。

これらのことから、 $2(a_k-a_{k+1})+1$ を $k=1$ から $k=n$ までとして足し合わせたものは、 $2a_1$ と $-2a_{n+1}$ と $n$ 個の $+1$ が残ることがわかるので、
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n a_k a_{k+1} &=& 2a_1-2a_{n+1}+n \\[5pt] &=& 2\cdot\frac{1}{2}-2\left(1-\frac{2}{3^{n+1}+1}\right)+n \\[5pt] &=& 1-2 +\frac{4}{3^{n+1}+1} +n \\[5pt] &=& n-1 +\frac{4}{3^{n+1}+1} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。テには1の $n-1$ が入り、ナには3の $n+1$ が入ります。

このような、たくさん打ち消し合うことで和が計算できるようになる問題は、【基本】和の記号Σと部分分数分解などが参考になるはずです。

解答

チツ:21
テトナニ:1431

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