センター試験 数学I・数学A 2017年度追試 第4問 解説
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
問題編
問題
(1) 不定方程式\[ 21x+13 = 16y+12 = 96z+28 \]の整数解 x, y, z を求めるためには、2つの不定方程式
\begin{eqnarray} 21x+13 &=& 16y+12 \quad \cdots ① \\ 16y+12 &=& 96z+28 \quad \cdots ② \end{eqnarray}の共通の整数解を求めればよい。まず、①の整数解 x, y のうち、 $|x|$ が最小になるのは $x=\myBox{ア}$, $y=\myBox{イ}$ であり、①のすべての解は s を整数として \begin{eqnarray} x &=& \mybox{ア}+\myBox{ウエ}s, \\ y &=& \mybox{イ}+\myBox{オカ}s \end{eqnarray}と表される。次にこれらのうち、②を満たすものを求める。②に $y = \mybox{イ}+\mybox{オカ}s$ を代入すると\[ \myBox{キ}z-\myBox{ク}s=1 \quad \cdots ③ \]となる。③の整数解 z, s のうち、 $|z|$ が最小になるのは $z=\myBox{ケコ}$, $s=\myBox{サシ}$ であり、③のすべての解は t を整数として
\begin{eqnarray} z &=& \mybox{ケコ}+\myBox{ス}t, \\ s &=& \mybox{サシ}+\myBox{セ}t \end{eqnarray}と表される。よって、①、②の共通解は \begin{eqnarray} x &=& \myBox{ソタチ}+\myBox{ツテ}t, \\ y &=& \myBox{トナニ}+\myBox{ヌネ}t, \\ z &=& \mybox{ケコ}+\mybox{ス}t \\ \end{eqnarray}である。(2) 自然数 n は、21で割ると13余り、16で割ると12余り、96で割ると28余るとする。このとき、 x, y, z をそれぞれの商とすると\[ n = 21x+13 = 16y+12 = 96z+28 \]を満たす。このような n のうち、最小のものは $\myBox{ノハヒ}$ である。
考え方
前半の不定方程式を解くところが一番難しく、進むにつれてだんだん簡単になっていきます。不定方程式を解く問題は、難しめですが、出題される頻度は高いので、よく練習しておきましょう。
(2)は(1)の結果を使うだけの、おまけみたいな問題です。
【選択問題】(第3問~第5問から2問選択)
解答編
問題
(1) 不定方程式\[ 21x+13 = 16y+12 = 96z+28 \]の整数解 x, y, z を求めるためには、2つの不定方程式
\begin{eqnarray} 21x+13 &=& 16y+12 \quad \cdots ① \\ 16y+12 &=& 96z+28 \quad \cdots ② \end{eqnarray}の共通の整数解を求めればよい。まず、①の整数解 x, y のうち、 $|x|$ が最小になるのは $x=\myBox{ア}$, $y=\myBox{イ}$ であり、①のすべての解は s を整数として \begin{eqnarray} x &=& \mybox{ア}+\myBox{ウエ}s, \\ y &=& \mybox{イ}+\myBox{オカ}s \end{eqnarray}と表される。
解説
①は、\[ 21x-16y=-1 \]と書けます。これを満たす整数解を見つけるのは大変なので、次のように変形します。\begin{eqnarray} 21x-16y &=& -1 \\[5pt] (5+16)x-16y &=& -1 \\[5pt] 5x-16(y-x) &=& -1 \\[5pt] \end{eqnarray}ここで、 $y-x=a$ とすると\[ 5x-16a=-1 \]となります。これを満たす整数解の1つ(特殊解)に、 $x=3,a=1$ がありますね。このとき、 $y=x+a=4$ です。よって\[ 21 \cdot 3 -16 \cdot 4=-1 \]が得られます。上の式から辺々引くと \begin{eqnarray} 21(x-3)-16(y-4) &=& 0 \\[5pt] 21(x-3) &=& 16(y-4) \\[5pt] \end{eqnarray}となり、 $21$ と $16$ は互いに素だから、整数 $k$ を用いて、 $x=16k+3$, $y=21k+4$ となることがわかります。これから、 $|x|$ が最小になるのは、 $x=3,y=4$ のときであることがわかります。また、$k=s$ として、\[ x=3+16s, \ y=4+21s \]と書けることがわかります。解答
アイ:34
ウエ:16
オカ:21
参考
解答編 つづき
問題
次にこれらのうち、②を満たすものを求める。
②に $y = \mybox{イ}+\mybox{オカ}s$ を代入すると\[ \myBox{キ}z-\myBox{ク}s=1 \quad \cdots ③ \]となる。
解説
先ほど求めた $y=4+21s$ を $16y+12 = 96z+28$ に代入すると
\begin{eqnarray}
16(4+21s)+12 &=& 96z+28 \\[5pt]
4(4+21s)+3 &=& 24z+7 \\[5pt]
84s -24z &=& 7-16-3 \\[5pt]
7s -2z &=& -1 \\[5pt]
2z-7s &=& 1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
解答
キク:27
解答編 つづき
問題
③の整数解 z, s のうち、 $|z|$ が最小になるのは $z=\myBox{ケコ}$, $s=\myBox{サシ}$ であり、③のすべての解は t を整数として
\begin{eqnarray} z &=& \mybox{ケコ}+\myBox{ス}t, \\ s &=& \mybox{サシ}+\myBox{セ}t \end{eqnarray}と表される。
解説
$2z-7s = 1$ を満たす整数解を探すと、 $z=4,s=1$ が見つかります。 $2\cdot 4-7\cdot 1=1$ をこの式から辺々引くと
\begin{eqnarray}
2(z-4) &=& 7(s-1) \\
\end{eqnarray}が得られます。 $2$ と $7$ は互いに素なので、整数 $k$ を用いて、 $z=7k+4$, $s=2k+1$ と書けます。よって、 $|z|$ が最小になるのは、 $k=-1$ のときです。このとき、 $z=-3$, $s=-1$ となります。
また、 $k=t-1$ とすると、 $z=-3+7t$, $s=-1+2t$ と書けることがわかります。
解答
ケコ:-3
サシ:-1
スセ:72
解答編 つづき
問題
よって、①、②の共通解は
\begin{eqnarray} x &=& \myBox{ソタチ}+\myBox{ツテ}t, \\ y &=& \myBox{トナニ}+\myBox{ヌネ}t, \\ z &=& \mybox{ケコ}+\mybox{ス}t \\ \end{eqnarray}である。
解説
$s=-1+2t$ を $x=3+16s$ に代入して
\begin{eqnarray}
x
&=&
3+16(-1+2t) \\
&=&
-13+32t \\
\end{eqnarray}が得られます。
また、 $y=4+21s$ に代入して
\begin{eqnarray}
y
&=&
4+21(-1+2t) \\
&=&
-17+42t \\
\end{eqnarray}が得られます。
解答
ソタチ:-13
ツテ:32
トナニ:-17
ヌネ:42
解答編 つづき
問題
(2) 自然数 n は、21で割ると13余り、16で割ると12余り、96で割ると28余るとする。このとき、 x, y, z をそれぞれの商とすると\[ n = 21x+13 = 16y+12 = 96z+28 \]を満たす。このような n のうち、最小のものは $\myBox{ノハヒ}$ である。
解説
(1)の結果から、 $x=-13+32t$ なので
\begin{eqnarray}
n
&=&
21x+13 \\
&=&
21(-13+32t)+13 \\
&=&
-260 +672t
\end{eqnarray}と書けます。 $t$ は整数なので、最小の自然数 $n$ は、 $t=1$ のときで、 $n=412$ と求めることができます。
解答
ノハヒ:412